8月13日の
『CNNニュース』は、北朝鮮が標準時を30分遅らせる「平壌時間」を設定し、日本植民地解放70周年の8月15日以降実施すると報じた。
今後、北朝鮮は東京やソウルより標準時を30分遅らせ、日本の植民地時代以前のグリニッジ標準時(GMT)+8時間30分に変更することになる。朝鮮中央放送は、「卑劣な日本帝国主義者は、5千年の歴史と文化を誇る国を殲滅する意図をもって容赦なく踏みにじり、朝鮮標準時さえ強奪する許しがたい犯罪をおこなったのだ」と、変更の正当性を主張している。...
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8月13日の
『CNNニュース』は、北朝鮮が標準時を30分遅らせる「平壌時間」を設定し、日本植民地解放70周年の8月15日以降実施すると報じた。
今後、北朝鮮は東京やソウルより標準時を30分遅らせ、日本の植民地時代以前のグリニッジ標準時(GMT)+8時間30分に変更することになる。朝鮮中央放送は、「卑劣な日本帝国主義者は、5千年の歴史と文化を誇る国を殲滅する意図をもって容赦なく踏みにじり、朝鮮標準時さえ強奪する許しがたい犯罪をおこなったのだ」と、変更の正当性を主張している。北朝鮮では既に暦に関して、イエス・キリストではなく建国者である金日成の生誕から起算する独自の暦を採用している。金日成が生まれた1912年をチュチェ元年とし、今年はチュチェ104年にあたる。
韓国統一省は、「標準時変更によってカイソン工業地区での交易を含む両国交流に支障が生ずる可能性があり、長期的には両国統一に向けて悪影響がある」との見解を示している。韓国では、1954年から1961年まで、「新平壌標準時」と同様のGMT+8時間30分を採用したことがあり、ここ数年それに戻そうという動きがある。2013年には韓国与党セヌリ党の趙明哲国会議員が「日本帝国主義の残りかすから抜け出す機会だ」と主張し、標準時を30分遅らせる議案を発議したが実現には至っていない。韓国政府は、ソウル標準時は歴史的経緯ではなく実務上の理由で決まったものとの立場である。
8月14日の
『ABSニュース』はAP電として、北朝鮮が標準時を変更すると発表したことに韓国は驚いており、朴大統領は北朝鮮が韓国政府とこの問題で協調しなかったことを批判したと報じている。これまで、韓国及び北朝鮮は日本の植民地支配のもとで決められたGMT+9時間という日本と同じ標準時を採用してきた。植民地時代の遺産を払拭しようとするこの試みは、日本の過酷な支配を忘れず日本に対し深い恨みを抱いている北朝鮮と韓国の両国民にとって、共感を集めるものである。
北朝鮮が「平壌標準時」と呼ぶこの新標準時は、もともと統一朝鮮時代の1908年に採用されたが、日本が朝鮮を植民地とした2年後の1912年に日本標準時に変更させられた。その後、韓国では1954年から1961年まで一時的に旧に復したが、北朝鮮は現在まで日本標準時を維持してきた。北朝鮮が30分の時差を設けたことは奇異に映るが、前例が無い訳ではない。インド、イラン、ミャンマーなどは30分、ネパールは45分それぞれ隣国と時差がある。
標準時の変更は、既に地上で最も孤立した国である北朝鮮を、さらに孤立に追いやることになる。しかし、北朝鮮と韓国の独立をもたらした日本の敗戦を祝い、国民が一つにまとまる決定であることは確かだと報じている。
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