国連や国際機関における中国の影響力の拡大(2021/06/04)
インドの大手シンクタンクは1日、中国が過去10年間に、国連および関連組織への自発的な寄付を約350%増加させるなど、様々な措置を講じて着実に影響力を高めてきたとする調査結果を発表した。
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『サウス・アジア・モニター』 によると、外交政策を扱うインドのシンクタンク「ゲートウェイ・ハウス」は、中国が資金調達、主要幹部の戦略的配置、最も影響力のある機関や組織の選定などを駆使して、国連における影響力を着実に高めているという報告書を発表した。
同シンクタンクは、中国が国連、その関連組織、および影響力のある非国連多国間組織において拡大している影響力を追跡したところ、いくつかの重要な多国間組織において、中国が人的にも資金的にも重要な地位を占めていることが明らかになった。...
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『サウス・アジア・モニター』 によると、外交政策を扱うインドのシンクタンク「ゲートウェイ・ハウス」は、中国が資金調達、主要幹部の戦略的配置、最も影響力のある機関や組織の選定などを駆使して、国連における影響力を着実に高めているという報告書を発表した。
同シンクタンクは、中国が国連、その関連組織、および影響力のある非国連多国間組織において拡大している影響力を追跡したところ、いくつかの重要な多国間組織において、中国が人的にも資金的にも重要な地位を占めていることが明らかになった。
中国の存在感が最も顕著な組織は、国際電気通信連合(ITU)、国連工業開発機関(UNIDO)、国際民間航空機関(ICAO)、国連食糧農業機関(FAO)、および国際海事機関(IMO)である。
ITU は、中国のファーウェイ に関わってくるグローバルな通信規格を設定している機関である。UNIDOは開発途上国の工業化を促進するために設立されたが、各国が役に立たないと判断したため、その重要性は薄れ、中国が主導権を握ることになった。中国はすぐにUNIDOを一帯一路構想に関わらせ、現在UNIDOは一帯一路を支持している。航空法や安全基準を定めているICAOでは、中国の影響力が強い世界保健機関(WHO)と同様に、パンデミック時に、すべての話し合いから台湾が除外されることになった。
インド紙『ヒンドゥスタン・タイムズ』 によると、シンクタンクは、中国の影響力の拡大が、様々な組織に対する金銭的な貢献の増加によって可能になったと報告している。国連加盟国としての義務的な寄付は、2010年から2019年の間に1,096%増加し、自発的な寄付は、2010年の5,100万ドルから2019年の1億7,200万ドルへと346%増加している。
印ニュースサイト『ザ・プリント』 によると、中国は15の主要な国際機関のうち、4つの機関FAO、UNIDO、ITU、ICAOで直接指揮をとっており、中国が役職に就いていない国連機関では、一帯一路構想の覚書が交わされているという。
報告書は、複数の協定を例に挙げて、「中国の外交政策のアジェンダは、国連によって承認され、共同推進されている」と主張している。例えば、2017年5月、ICAOのファン・リュウ事務総長は中国の商務次官と協定を結び、中国政府が「航空輸送の安全、セキュリティ、持続可能な開発に関連する」プロジェクトのためにICAOに400万ドルの助成を約束した。報告書は、これを一帯一路向けの投資と見ている。
米『エポックタイムズ』 によると、中国は、世界保健機関(WHO)、世界銀行、国際農業開発基金(IFAD)、国際通貨基金(IMF)、世界観光機関(WTO)で、副代表の地位を占めているという。
報告書はさらに、中国が国連内での支配的な地位と資金援助を利用して、国連機関の中に「中国の代理人」を醸成してきた事例として、2017年に中国が支持するWHOの事務局長、テドロス・アダノム・ゲブレイェソスが選出されたことを挙げている。テドロス氏は、アフリカにおける中国の最大の投資先のひとつであるエチオピアの元保健大臣兼外務大臣である。新型コロナウイルスのパンデミックに対してWHOの警告や渡航制限が遅れたことは、「世界に壊滅的な結果をもたらし、これは中国の影響力による」と報告書は述べている。
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リトアニア、中・東欧経済協力「17+1」から離脱を表明(2021/05/24)
リトアニア政府は、2012年にバルト諸国が参加した中国の「17+1」の経済協力の枠組みから離脱することを表明した。
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『ヒンドゥスタン・タイムズ』 によると、人口280万人に満たない小国リトアニアは22日、中国が主導する中・東欧諸国「17+1」の枠組みは「分断をもたらす」として離脱することを発表した。同国は、他の国々にも中国が2012年に設立したこの枠組みから離脱するよう促した。
リトアニアのランズベルギス外相は22日、リトアニアはもはや自らを「17+1」の経済協力フォーラムの「メンバーとは考えておらず、このイニシアチブには参加しない」と語った。...
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『ヒンドゥスタン・タイムズ』 によると、人口280万人に満たない小国リトアニアは22日、中国が主導する中・東欧諸国「17+1」の枠組みは「分断をもたらす」として離脱することを発表した。同国は、他の国々にも中国が2012年に設立したこの枠組みから離脱するよう促した。
リトアニアのランズベルギス外相は22日、リトアニアはもはや自らを「17+1」の経済協力フォーラムの「メンバーとは考えておらず、このイニシアチブには参加しない」と語った。外相はまた、この中国との経済協力は欧州連合(EU)に「分断をもたらし」、EU加盟国に対し、はるかに効果的な「27+1」による中国への対応及び交渉を求めていくように促し、「欧州の強さと影響力はその結束にある」と強調した。
『ヒンドゥスタン・タイムズ』 は、この発表は、以前から計画されていたものだと伝えている。リトアニアは、この地域の他のいくつかの国と同様に、以前から中国への疑念を深めていたという。バルト三国は2019年に初めて、中国のスパイ活動が自国の安全保障に対する脅威であると認識したためだ。
「バルティック・タイムズ」が2019年に出した記事によると、国防省傘下の国家安全局と第二調査局は「国家脅威評価2019」の報告書で、中国の経済的・政治的野心がリトアニアをはじめとするNATOやEU諸国に対し高まるにつれ、中国の諜報機関や治安機関の活動がますます積極的になっていると述べていた。
報告書はさらに、中国情報機関が資金提供する中国への旅行は、リトアニア市民の勧誘に利用されていると指摘し、「中国の情報機関は、意思決定者や中国に同調し、政治的影響力を行使できる人物など、ふさわしいターゲットを探している。贈り物をしたり、中国への旅行費用を支払ったり、中国で開催されるトレーニングやコースの費用を負担したりすることで、そのような個人に影響を与えようとしている」と述べていた。
米『エポックタイムズ』 も、リトアニアが中国との経済協力から抜けることを決めたのは、予想外のことではないと伝えている。「17+1」構想は、参加国が金融、健康、貿易、技術など多くの分野で中国と協力することを求めるものであるが、ランズベルギス外相は3月に、ドイツ紙「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング」に対し、「17+1」の経済協力は、相互利益をもたらすものではなかった、特に投資については自国の期待が裏切られたと語っていた。また、「この枠組みは、EU内に分断をもたらし、中国からの多大な政治的圧力が伴っていた」として、参加したことは利益をもたらさなかったと述べた。
香港『サウスチャイナモーニング・ポスト』 は、リトアニアの動きは、中国とEUの関係が悪化していることを示していると伝えている。欧州議会は12日、欧州議会議員や学者に対する中国の制裁措置がある限り、EUと中国の投資協定の検討を一切拒否することを圧倒的多数で決議した。
またここ数カ月、リトアニアは中国からの投資を阻止し、台湾に貿易事務所を開設すると発表するなど、中国政府の反発を買うような措置をとってきた。リトアニア議会は12日、中国の少数民族ウイグル人に対する扱いを「人道に対する罪」および「ジェノサイド」と非難する決議も採択した。また、中国のウイグル人収容所を国連が調査することや、欧州委員会に中国との関係を見直すことを求めている。
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