『ザ・ローカル紙』によると、「アサンジ氏はスウェーデン検察がロンドンに来て取り調べを行うか、テレビ電話による尋問を以前から求めていた」が、「英国外務省がこの可能性を歓迎して、スムーズな取り調べへの計らいを申し出た」にも関わらず、「ストックホルム検察は今まで通常の法的慣行ではないと主張し続けた」。この突然のスウェーデン検察の方向転換には、「アサンジ氏に対する容疑の多くの罪状が2015年8月に“出訴期限”を迎え、法的手続きが開始される」事を考慮したスウェーデン最高裁判所の決定がある。「スウェーデン検察の発表の数日前に、スウェーデン最高裁は、アサンジ氏がスウェーデン送還に抵抗し続けるために、アサンジ氏の欧州国内での逮捕状取り下げの訴えを、審理する事に合意した」とザ・ローカル紙は報じている。
「アサンジ氏の弁護人のサミュエルソン弁護士が、この決定が今回の起訴におけるアサンジ側の勝利との見方を示した」と伝え、「理論上は最高裁決定による勝利で、アサンジ氏は逮捕の心配なくエクアドル大使館を出る事が可能になり、エクアドルへの安全な道程を認められたのも同然」とアサンジ側の一定の勝利と評するも、「実際は、英国警察はエクアドル大使館に政治亡命を求めた当時の保釈条件違反で、アサンジ氏を拘留可能」な点を指摘し、アサンジ氏の今後は以前不明と言える。
ウィキリークスも「米国の起訴が続いており、例えスウェーデン移送請求が取り下げられても、英国はアサンジ氏をいずれにせよ逮捕する」とツイッター上で述べた。
『スウェーデンラジオ』は「エクアドル大使館では、取り調べの質の低下を招く」が、「今最も重要なのは時間だが、ロンドンでの取り調べ以外に取るべき措置がないため、捜査上の欠陥を受入れる必要があると考えた」と、スウェーデン検察幹部ナイ氏の見解を引用し、苦渋の決断だった事を示すが、「将来裁判が行われれば、アサンジ氏はいずれにせよスウェーデンに滞在する必要がある」、「DNA採取をナイ検察長官が要求した」と報じるように、妥協点となったと見られる。しかしサミュエルソン弁護士によると、2010年に既に採取サンプルを提出している。
ローカル紙は、「アサンジ氏の見張りと警備費用が累積で1億2千5百万クローナ(1500万ドル)で、英国納税者となっている事は英国にとってフラストレーション」とクレッグ英副首相の言葉を報じ、費用問題の現実を示唆する。
ローカル紙は「アサンジ法律チームの陳情では、アサンジ氏は2年間大使館から一歩も外に出られず、窓によりかかる事すらできなかった事を挙げ、亡命を求めて以来アサンジ氏の自由が不当に制限された点に焦点が当てられた」と、人権大国スウェーデンの司法に対する論点を明かした。
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