フロランス・パルリ仏国防相は4日、未来の脅威を予想する活動を担う「レッドチーム(Red Team)」を正式に発足させた。10名のSF作家で構成されたこのチームは、2030年から2060年にかけてフランスを襲うと思われる脅威を、作家としての自由な発想力を活かしながら、予想を立てていく。
仏金融紙
『レゼコー』によると、この「レッドチーム」プロジェクトは、装備総局(DGA)傘下の防衛イノベーション機構(AID)が2019年末に立ち上げたもので、国防省はこのプロジェクトについてSNSやYoutube、Vimeoなどで積極的に発信してきた。
AIDに寄せられた600人の応募のうち、当選したのは10人。SFシリーズ『オマル 導きの惑星』の作者ローラン・ジュヌフォールなどをはじめ、フランス国内で有名な漫画家や脚本家、スリラーの作者などが選ばれている。...
全部読む
仏金融紙
『レゼコー』によると、この「レッドチーム」プロジェクトは、装備総局(DGA)傘下の防衛イノベーション機構(AID)が2019年末に立ち上げたもので、国防省はこのプロジェクトについてSNSやYoutube、Vimeoなどで積極的に発信してきた。
AIDに寄せられた600人の応募のうち、当選したのは10人。SFシリーズ『オマル 導きの惑星』の作者ローラン・ジュヌフォールなどをはじめ、フランス国内で有名な漫画家や脚本家、スリラーの作者などが選ばれている。また、文章で提出されたものの視覚化していく担当のイラストレーターやデザイナーや、調査や研究の専門家として著名社会学者などがメンバーとなっている。
軍事省はレッドチームの公式サイトで、「彼らの仕事は、軍の、さらには省外の活動における戦略的、作戦的、技術的、組織的思考を養うことを目的としており、極秘扱いとなる内容も出てくる」と説明している。
レッドチームは、海面上昇、コンピュータの脅威、ロボット兵士など、フランス軍と共に技術や軍事的な課題を予測するために、未来を想像していく。パルリ国防相は「サイエンス・フィクションを通してフランスの利益、順応性、戦略的自律性を守るための行動を起こしていく」と述べている。
レッドチームのメンバーの1人、作家のローラン・ジュヌフォールは、仏政治ニュース誌『ル・ポワン』のインタビューで、レッドチームに参加を決めた理由を語っている。自分で考えたことだけを書いていく、問題を起こさない、以外は完全に自由にやってよいと言われた点や、ハイレベルの専門家と仕事をすることができる点が決め手だったと言う。
活動内容については、「私たちは、知識の厳密な応用というよりは、想像力を駆使しているものであり、先見の明に近い。未知の事柄を既知の事柄から推定していくことに取り組んでおり、それが現実的であるかどうかは問題ではない、最も重要なことは、考える体験である」と語っている。
軍と一緒に仕事をすることで、フランスのSF界で批判されたり排斥されたりするのは怖くないのかという質問に対し、ジュヌフォール氏は、次のように答えている。「自分たちのやっていることを調べようともしないような人たちに批判されたり、判断されたりすることになるだろう。独断的な、議論が不可能になるようなことを警戒している。」また、「SF界で議論が起こるとするならば、それは健全なことだ。 生きた社会であることを証明している。これが罵りや嫌がらせ、脅迫になってくるとすれば、それは問題だ」と語った。そして、匿名を希望するレッドチームのメンバーがいることも理解できると付け加えた。
閉じる