パナマというタックスヘイブンを利用した世界の裕福層の租税回避の実態がパナマ文書で明らかにされてから1か月。5月10日に実名リスト公表が予定されるタイミングで、その発端となった告発者が身元を隠したまま、暴露の経緯や動機を新聞で発表した。ジョン・ドウと名乗る告発者の告白文についてフランスメディアは次の通り報じる。
『フィガロ紙』によると、ジョン・ドウは
『南ドイツ新聞』に送った告白文の中で、まずスパイである事を否定した。「どの国の政府でも情報機関でも働いたことはなく、コンサルティングのように間接的にも関ったことはなく」、「モサック・フォンセカの法律事務所のやり口を告訴するための行動」と、その動機を説明する。
ジョン・ドウはこの告白文でもう一つのメッセージを送っている。「フィガロ紙」によると、ジョン・ドウは「各国所轄の当局と協力する心づもりがある」ようだ。...
全部読む
『フィガロ紙』によると、ジョン・ドウは
『南ドイツ新聞』に送った告白文の中で、まずスパイである事を否定した。「どの国の政府でも情報機関でも働いたことはなく、コンサルティングのように間接的にも関ったことはなく」、「モサック・フォンセカの法律事務所のやり口を告訴するための行動」と、その動機を説明する。
ジョン・ドウはこの告白文でもう一つのメッセージを送っている。「フィガロ紙」によると、ジョン・ドウは「各国所轄の当局と協力する心づもりがある」ようだ。もし司法当局のみがパナマ文書を入手できて評価するとしたら、パナマ文書によって数千の起訴が生じる可能性があるからだ。無料で協力するかどうかは明言していないが、ジョン・ドウが出した条件は「身の安全の保障」である。「各国政府はジョン・ドウのための法的保護プログラムを確立していないが、パナマ文書を入手するにはメディアが行った文書解析に頼らざるを得ないだろう」と予告する。
ジョン・ドウの突然の告白の背後には、「ジョン・ドウの動機は金稼ぎ」という疑いがある。
しかし
『ルモンド紙』は「モサック・フォンセカの一部データが既に英米独の当局に売却された」事を報じ、「南ドイツ新聞」へのリークが「公共の利益への貢献である事を確認しようとしている」とみる。ジョン・ドウは告白文の中で「社会的不平等を生む癒着システムによって、弁護士の職業倫理の逸脱、裕福層の免責が可能になる事」、「それを終わらせる政治指導者の勇気の欠如」を指摘する。また「次の革命はデジタル革命」と予言めいた発言をしている。
また「ルモンド紙」によると、ICIJが中心となって世界中の108のメディアのジャーナリストがパナマ文書の調査に参加した一方で、一部大手メディアはパナマ文書に全く興味を示さなかった事を伝える。特定の億万長者は趣味かのようにメディアを保有し、真面目な調査報道は常に資金不足である。ジョン・ドウは大手メディアの姿勢に批判的であり、パナマ文書の調査に参加した「ルモンド紙」もこの点に同意するようだ。驚くべきは、ジュリアン・アサンジュ氏の
『ウィキ・リークス』がジョン・ドウのパナマ文書の扱いを批判した事だ。リーク全体を公表を求める「ウィキ・リークス」はジョン・ドウの身の安全の条件に応じなかったようだ。
告発者の身元は未だに全く謎でジョン・ドウという仮名しか知られていない。「ルモンド紙」は「ジョン・ドウはアングロサクソン圏で匿名の人物を指す名称」である事、「きちんとした英語で、米国や英国の政治状況について力説する」事から、英語圏出身者の可能性を指摘する。いずれにせよ明日10日で大きな展開があるだろう。
閉じる