世界銀行と国連は23日、マイクロソフト、アマゾン、グーグルなどのIT企業大手と連携し、人工知能(AI)やデータ分析などの最新技術を活用して、発展途上国での飢饉の認識・防止に取り組む新たな世界的構想について明らかにした。
世銀と国連の共同声明によると、新設される飢饉行動メカニズム(FAM)の構想の下では、飢饉に対し、待ちの姿勢で多くの命が失われてから対応するのではなく、危機的な状況になる前に対策を講じるために、資金調達に取り掛かるきっかけとなるよう、IT大手企業がデータの予測力を活用する。早期介入ができれば、数百万人の命が救える他、人道支援の費用を最大30%削減することも可能になるという。
FAMは飢饉となり得る食料危機を認識するため、初期段階で警告を出し、早期介入が可能となるよう、事前に練られた資金調達計画を発動する。...
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世銀と国連の共同声明によると、新設される飢饉行動メカニズム(FAM)の構想の下では、飢饉に対し、待ちの姿勢で多くの命が失われてから対応するのではなく、危機的な状況になる前に対策を講じるために、資金調達に取り掛かるきっかけとなるよう、IT大手企業がデータの予測力を活用する。早期介入ができれば、数百万人の命が救える他、人道支援の費用を最大30%削減することも可能になるという。
FAMは飢饉となり得る食料危機を認識するため、初期段階で警告を出し、早期介入が可能となるよう、事前に練られた資金調達計画を発動する。マイクロソフト、アマゾン・ウェブ・サービス、グーグル他のIT企業は、一連の分析モデル「アルテミス(Artemis)」を開発するための専門性を提供する。同モデルは、人口知能(AI)や機械学習などの技術を利用し、リアルタイムで食料危機の悪化を評価・予測する。こうした予測が政策立案者を支援して、その早期対応を促すことになる。
昨年、ナイジェリア、ソマリア、南スーダン、イエメンなどで、2,000万人超が飢饉に直面し、現在も51カ国で1億2,400万人が危機的な食料不足の状況で生活しており、生存のために緊急の人道支援を必要としているという。その半数以上は紛争地域の住民だ。
世銀のジム・ヨン・キム総裁は声明で、「多くの子供を含む数百万人の人々が、21世紀になってもなお、深刻な栄養不良や飢饉に苦しむ現実は、世界的な悲劇だ。」「『これ以上許さない』と言うために、我々は前例のない世界的な連合体を形成している。」と述べた。
マイクロソフトのブラッド・スミス社長は声明で、「もし我々が、将来の飢饉がいつどこで起きるかをうまく予見できるのであれば、より早期に対応し、効果的に人命を救うことができる。AIや機械学習などは、穀物の不作、干ばつ、自然災害、紛争など、食料不足の早期の兆候を予測・検知する。」と先進技術の貢献の意義を強調した。
FAMは当初、飢饉が生じやすい5カ国を対象とし、最終的には全世界に展開される。10月13日、インドネシアのバリ島で行われる国際通貨基金(IMF)・世銀年次総会の一環としてFAMの指導者らが集まり、導入についての更なる議論を行う予定である。
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