東京五輪・パブリックビューイング候補地「上野」の山を歩く(第32回)
8月19日、その日午後2時ごろ、JR上野駅を降り目の前の上野公園に入った。...
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8月19日、その日午後2時ごろ、JR上野駅を降り目の前の上野公園に入った。
雲はかかっていたが、空は明るく見えた。
東京文化会館から歩き始めて、上野動物園を正面とする広い道路が国立博物館前に広がる道路と交差する地点が、やはり上野公園の中心地となるのだろうか。
その辺りでは、大道で弾き語りをしたり、前衛的なダンスを踊って道行く人に披露していた。
辺りを歩く人々も、そうした上野の山独特の文化を、立ち止まって鑑賞したり、カメラを向けたりして楽しんでいるように見えた。
その交差点を博物館の方に少し移動すると、白い大きなスクリーンが目の前に登場し、その日は「お笑い芸人」の舞台となっていた。
東京五輪開催のタイミングで、大きなスクリーンを置き、その模様をパブリックビューイングで大勢の人々が一緒に楽しむとすれば、ここしかないかなと思った。
結構、広い空間があり、地形的にも警備が万全にでき、特に山のような地形になっているので、車も完全にシャットダウンできるので、その候補地としては理想的な感じがした。
この公園には、いくつもの博物館や美術館等があり、特に世界文化資産として登録された「国立西洋美術館」も存在する。
東京には珍しい近代文化の集積地とも言える。いや上野寛永寺などもあり、明治維新前夜の出来事も歴史的側面を感じさせる雰囲気もあった。
大きな木々が生い茂り、夏の盛りであってもなぜか涼やかな風が吹き、都会の雑踏を感じさせない場所でもあった。
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向島百花園(第31回)
8月5日、午後2時半ごろ半蔵門線の錦糸町駅から、乗車し「東向島」駅で降りて、東武博物館の横を通り、「向島百花園」まで歩いた。...
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8月5日、午後2時半ごろ半蔵門線の錦糸町駅から、乗車し「東向島」駅で降りて、東武博物館の横を通り、「向島百花園」まで歩いた。
この時間、少し歩いただけでも汗が出て来るほど暑かった。
入り口を見つけると、傍らに福禄寿の碑が建っていた。
入り口の門は、屋根と塀で作られており、瀟洒な日本風のものだった。中に入ると野点の赤い傘と2つの椅子が目に入ってきた。
近くには、桔梗の花が咲いており、秋の訪れが近いことを感じさせた。
百日紅の木の赤い花やその近くには、白や黄色の実を付けた草花が展開し、なるほど「百花園」かという感じが伝わってきた。
その時間には、すっかり萎れてしまった朝顔ではあったが、どういうわけか一輪だけまだ咲いていた。
緑の多いその園では、セミが大きな鳴き声を立てていた。
中央に大きな池があり、蓮等が別箱の中に浮かんでいた。
濃い黄色の菊科の植物と思われる花が咲いていた。
この園の中心にある萩のトンネルもまだ青々として枝がからまっているように見えるだけだった。
夏の暑い盛りにしては、この園だけが別世界で、何かひんやりと感じた。
雰囲気がそうさせるのか、凄いものだと思った。
それにしても園、そのものは想像よりも小じんまりしていると感じた。
同時に夏の盛りの花園は、咲いている花がそれほどなく、少し寂しく感じた。
有志の皆さんで朝顔を集めているゾーンもあったが、当たり前のように、朝だけの特別なものだった。
ともあれ、江戸時代から続いているという「百花園」の雰囲気を楽しみ、再び東向島の駅へと向かった。
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7月29日「隅田川の花火」(第30回)
7月29日、土曜日、その日は「隅田川の花火」が行われる日だった。...
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7月29日、土曜日、その日は「隅田川の花火」が行われる日だった。
午後3時半ごろ、浅草見付辺りの神田川には、川がほとんど埋まるほどの屋形船が浮かんでいた。
屋形船の乗り場には、老若男女が集まり、これからの祭典を楽しみにしている様子であった。
更に、柳橋の方に歩いて行くと、待ち合わせをしている人々が、手に手にスマホを持ち時間や場所の確認をしている姿が目立った。
緑色に塗られたその橋から眺めると、浅草橋方面から、屋形船が少しずつ動き出しているようにも見えた。
一方、神田川が合流する隅田川には、まだ警備をする船が数艘浮かんでいるだけで、屋形船の姿は一隻もなかった。
例年であると、あと2時間もすると、この辺りは屋形船でびっしりと川が埋まってしまうことになる。
両国橋の方に歩き、橋を渡り始めると、警備のためと思われる柵がびっしりとしつらえてあることに気づいた。
川にはまだ一艘の屋形船も浮かんでいなかった。
戻って浅草橋駅の方に柳橋を歩いてみた。
大きな寿司屋が目立つぐらいで閑散とした感じだった。
ただ、警備の車が、時折走っているのが目についた。
駅の周辺は、相当ごった返していた。
江戸通りには、まだ見物客を規制する柵がなく、これから大掛かりな規制が牽かれてゆくのだと感じた。
「まだこれからなのか」と思った。
浴衣姿の人々が行き交う、光景の中、頬に雨のしずくがあたった。
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