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「追跡!“ファーウェイショック”~5G米中攻防の最前線~」(1月19日放送)
従業員19万人、売り上げ13兆円のファーウェイ。ファーウェイの展開する次世代通信規格5Gが世界を席巻している。「5Gを制するものが次の世代を制す」と専門家たちが指摘する中、5Gは今年、世界各地で運用が本格化する。通信速度はこれまでの4Gの10倍。膨大なデータを瞬時にやり取りでき、様々なハイテク技術に不可欠な通信インフラになるといわれている。これまでその内情をほとんど公にしてこなかったファーウェイ内部にカメラが入った。...
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従業員19万人、売り上げ13兆円のファーウェイ。ファーウェイの展開する次世代通信規格5Gが世界を席巻している。「5Gを制するものが次の世代を制す」と専門家たちが指摘する中、5Gは今年、世界各地で運用が本格化する。通信速度はこれまでの4Gの10倍。膨大なデータを瞬時にやり取りでき、様々なハイテク技術に不可欠な通信インフラになるといわれている。これまでその内情をほとんど公にしてこなかったファーウェイ内部にカメラが入った。5Gは軍事技術も飛躍的に高めることができるため、中国が一手に握れば世界の安全保障に重大な影響を与えかねないと米国が危機感を強めている。
ファーウェイ製スマートフォンのシェアはアップルを抜き世界2位、過去最高益を記録する見込みである。中国・深センの中心部から車で2時間。ファーウェイの一大研究拠点はヨーロッパ風の町並みで、敷地面積は東京ドーム26個分に当たる120万平方メートル。研究開発費は毎年売り上げの10%以上、日本円で1兆円を超える。今、ファーウェイが開発に力を入れている最先端の技術がスマートシティで、深セン市が世界に先駆けて取り入れた。スマートフォンなどの位置データを集積し、刻一刻と変わる人々の動きや混雑状況を正確に割り出す。更に車からのデータを分析し、交通渋滞を解消するなどネットワークによって都市全体を管理することができる。 5GのGとはジェネレーション(世代)を意味する。5Gでは通信速度がこれまでの10倍になる。監視カメラなど接続できる機器の数も4Gに比べ10倍に増える。3G以降通信速度が飛躍的に向上した。深センのスマートシティには既に8万台の監視カメラが接続され、町中の映像が24時間リアルタイムで集積されている。5Gによって都市の治安も強化される。特に効果的とされるのが監視カメラの映像をもとにAIが行う顔認証技術。異常を検知すると個人を特定し、犯罪と判断すれば警察に即時にその情報を送る。実際に起きた強盗事件ではこのシステムを使いわずか30分で犯人を検挙した。ファーウェイのスマートシティを導入した結果、過去3年で事件の発生率は25%減少したという。ファーウェイ・梁華会長は5Gと合わせマートシティの技術を世界中に広げていき「すべてのものがつながった社会を築き上げたい」としている。 ファーウェイは今、スマートシティなどを実現するためのインフラとなる5Gの設備を世界中に売り込んでいる。強みはコストで、設置費用などを抑えることによって他社より最大で3割も安い。5G通信基地局シェアはファーウェイが34%、ZTEが18%、サムスン電子が21%、エリクソン15%、ノキア9%、その他3%となっている(出典:IHSマークイット)。今、世界の5Gの基地局のシェア争いはファーウェイが韓国・サムスン電子やエリクソンなどのヨーロッパ勢を抑え、トップを独走している。5Gの本格運用を前に既にファーウェイの5G導入を決めている通信会社がある国はロシアや中東諸国などおよそ40か国。更に実証実験を行うなどして、導入を検討している国を合わせると80を超える。もともとアジアやアフリカで強いファーウェイが今、攻勢をかけているのがヨーロッパだ。 ドイツ西部にある工業都市デュイスブルクを中国総領事・馮海陽が訪れていた。出迎えたのはデュイスブルク市で中国企業の誘致を担当しているヨハネスフルーク。デュイスブルク市はファーウェイの5Gとあわせスマートシティの導入にも舵を切った。5Gのネットワークで町全体をつなぎ市役所の業務は全て電子化する。更に渋滞を予測し、解消するなど都市機能を飛躍的に向上させ最先端の都市を目指す。フルークによれば、中国の深センを実際に訪れ、ファーウェイのスマートシティを視察したことや安さや優れた技術が採用の決め手になったという。中国とデュイスブルクの関係が深まったきっかけは中国の巨大経済圏構想一帯一路にあった。一帯一路は鉄道や港の建設を通じてアジアとヨーロッパをつなぐ壮大な戦略だが、一帯一路に沿った大陸横断鉄道の終着駅が置かれたのがデュイスブルク。更に中国はこの一帯一路に沿って新たに「デジタルシルクロード構想」を打ち出している。「デジタルシルクロード構想」とは、まず中国企業が5Gなどの通信網を整備し、そこにスマートシティなどのハイテク技術を輸出し、中国発の巨大デジタル社会を作り上げるという構想である。 「一帯一路国際協力ハイレベルフォーラム」では、習近平国家主席自らが一帯一路に関係する国の代表を招き、「デジタルシルクロード構想」への参加を呼びかけた。中国政府に経済政策などの提言を行う呉暁波教授は中国の国家戦略にとってファーウェイは民間企業でありながら、最前線で通信インフラの建設を進める不可欠な企業だという。「デジタルシルクロード構想」の重要拠点となったデュイスブルクではファーウェイのスマートシティ導入を決めたことを契機にして中国企業が続々と進出しようとしている。中国・深センを拠点に電気自動車を手がけるハイテク企業が今、開発しているのがネット通販で注文を受けるとその荷物を無人で届けることができる自動運転車だ。ファーウェイの5Gを利用し研究開発を進める予定である。更にデュイスブルクは中国企業を集めた拠点となる「中国貿易センターヨーロッパ」を新たに建設する。町の未来を変える存在としてファーウェイに期待をかけるデュイスブルクは長年雇用を支えてきた製鉄所の閉鎖が相次ぎ、人口の流出に歯止めがかからず、市の財政も厳しい状況が続いており、ファーウェイに大きな期待を寄せている。そのデュイスブルクの期待とはうらはらにファーウェイを巡る事態が大きく動き出していた。トランプ大統領がNATO(北大西洋条約機構)の首脳会議に出席し、その場で各国の首脳に対し、ファーウェイの5Gを排除するよう迫ったのだ。 ドローンやロボット兵器が戦場の情報を瞬時に共有し攻撃できるようになり、5Gは軍事面も大きく変えるとされているが、米国が特に懸念しているのが安全保障を脅かす情報セキュリティの問題である。通信機器のセキュリティを独自に調査し企業や政府機関に助言をしてきたファイナイトステートは去年、ファーウェイの通信機器500種類以上を調査し、ある問題を発見した。ネットワークの構築に必要な通信機器に搭載されたソフトウェアに外部からの侵入を可能にするアカウントが存在し、これが技術者によって意図的に組み込まれた可能性があるという。ソフトウェアは開発段階でセキュリティ上の弱点が生じることがあるといい、開発者が不正にアクセスするためにその弱点を意図的に設けた場合、情報の抜き出しや遠隔操作を行うためのバックドアになる可能性があるという。調査の結果、ファーウェイのソフトウェア一つにつき平均で100を超える弱点が見つかった。国務省でサイバーセキュリティを担当するロバートストレイヤー国務次官補代理も中国政府がバックドアを利用する危険性を指摘している。米国がこうした事態を強く警戒するのは中国に中国のあらゆる組織や個人に対して国家の情報活動を支援し協力するよう義務づける「国家情報法」という法律が存在するためである。米国が懸念しているのがこの法律に基づき中国政府が情報を引き渡すよう求めた場合、ファーウェイはこれを拒否できず、軍事情報などの国家機密を中国に抜き取られる恐れがある。この懸念にファーウェイ・梁華会長は「中国政府の要請に応じることはない」と強く反論した。ホームページでも米国の調査について「調査方法自体に問題があり、重大な弱点を発見したとは言えない」と反論した。 一企業にすぎないファーウェイの排除を世界各国に求める米国。ポンペイオ国務長官はドイツ・メルケル首相にファーウェイを排除するよう迫った。それまでメルケル首相はファーウェイを排除しない方針を示唆してきたが、3日後、ドイツ連邦議会が新たな動きを見せた。連立与党でサイバーセキュリティを担当するハクヴェルディ議員は安全保障上の懸念が指摘される中、ファーウェイ導入の是非を検討する公聴会を開いた。公聴会にはファーウェイドイツの代表も呼ばれた。5Gの本格的な運用が始まる前に問題がないか見極めようという公聴会で質問は中国政府と一企業であるファーウェイとの関係に集中した。公聴会で更に疑念を深めたというハクヴェルディ議員は議会でファーウェイを排除する法律の成立を目指している。 スマートシティ導入を決めているデュイスブルクでは中国企業の誘致を進める中国担当・ヨハネスフルークの周囲でも変化が及んでいた。町の再生をかけたスマートシティの導入は安全保障を巡るファーウェイへの批判をきっかけに反発が広がり始めていた。急遽、駐ドイツ中国大使・呉墾がデュイスブルクを訪問。大使は市民に対し、中国政府とファーウェイとのつながりを否定し、「問題はない」と訴え続けた。呉墾とデュイスブルク市の代表との話し合いが船の上で行われることになった。フルークと于凱も代表のメンバーとして船に向かった。後日の取材によれば新たな投資案件が持ちかけられ呉墾はドイツ政府に対してファーウェイ排除につながる決定を下した場合、中国政府は黙って見過ごすわけにはいかないと警告したという。ヨーロッパで問題となっているのは安全保障だけではない。ファーウェイの技術が導入されることで民主主義や人権が脅かされるのではないかという懸念も広がっている。これまでにファーウェイの5G導入が決定もしくは検討されている国はカンボジアやミャンマー、パキスタンなどのアジア諸国からアルジェリアやケニア、ナイジェリアなどのアフリカ諸国に至るまで近年、中国との関係を強めている国が多い。またハンガリーやベラルーシといった東ヨーロッパの旧社会主義国なども目立つ。そうした国の一つ、セルビアで強権的な政権運営が欧米から懸念されているブチッチ大統領は今、急速に中国との結び付きを強めている。セルビア政府はファーウェイのスマートシティを首都ベオグラードに導入。市民の間には政府がスマートシティを利用することで民主主義が脅かされるのではないかという不安が広がっている。 各国にファーウェイの排除を迫っている米国だが、これまでその要請に従ったのはオーストラリアや事実上排除すると見られる日本など僅かな国と地域にとどまっている。ファーウェイは今、排除を迫るその米国の足元さえも揺るがし始めている。ファーウェイ米国の幹部を務めるドナルドモリシーは副社長と対米国戦略を協議。モリシーは企業の議会対策を行うロビイストとして議員たちと人脈を築いてきた。パーティーに出席していた政財界の関係者らにファーウェイ排除の政策を見直すよう働きかけを行っていた。モリシーがロビー活動を急ぐ背景には議会で審議が進められている法案の存在がある。米国国内に既に設置されたファーウェイの機器を撤去し他社の機器に交換させる撤去交換法案。人口1万8000人のオレゴン州ハーミストンで通信会社を営むジョーフラネルはファーウェイの機器を使用して高速インターネット回線を整備してきたが、「本当に安全性の問題なのか納得していない。私には米中貿易戦争の中で政治的な理由でやっているようにしか思えない」と語った。 ファーウェイ米国幹部・ドナルドモリシーは地方の声を集め、ファーウェイが排除されれば何が起きるのかという内容のビデオを製作した。このビデオは、仮に地方の情報通信を支えてきたファーウェイを排除することになれば「デジタル格差が進み、その結果、住んでいる場所によって将来が決まることになり、米国社会が掲げてきた平等という理念が奪われかねない」と訴えている。2020年、日本では東京オリンピック開催までに5Gの運用が本格的に始まるが、既に日本の大手通信会社はファーウェイではなくエリクソンやノキアなどを使うことを決定している。こうした中、ファーウェイ・梁華会長が自ら来日し、選択を見直すよう日本に働きかけを続けている。米国と中国2つの大国の攻防を研究しているハーバード大学のグレアムアリソン教授は「5Gをはじめとするハイテク覇権を中国が握ろうとすることでこれまでの世界秩序が大きく揺らいでいる」と指摘しつつも、「中国は米国や日本が考えるような民主主義体制をとるつもりはなく、政治的自由を与えることもない。だからこそ米国やヨーロッパ、日本のようにプライバシーなど個人の権利や民主主義といった同じ価値観を持つ国々と中国との間で、バランスをとりながら新たな世界秩序を模索していくしかない」と提言した。
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「10years after 未来への分岐点1」(1月1日放送)
現在、地球の平均気温は人類が出した二酸化炭素などの温室効果ガスによって産業革命前から既に1℃上昇。10年後にやって来る分岐点では+1.5℃。2030年に地球の平均気温が+1.5℃を超えてしまうかどうかで人類の未来が大きく変わってくると言われている。
すでに地球温暖化によって世界各地で異変が起きている。日本の面積の40倍地上の氷の9割を占める南極。これまで南極の氷は大規模に解けることがないとされていたが、その定説が覆ろうとしている。...
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現在、地球の平均気温は人類が出した二酸化炭素などの温室効果ガスによって産業革命前から既に1℃上昇。10年後にやって来る分岐点では+1.5℃。2030年に地球の平均気温が+1.5℃を超えてしまうかどうかで人類の未来が大きく変わってくると言われている。
すでに地球温暖化によって世界各地で異変が起きている。日本の面積の40倍地上の氷の9割を占める南極。これまで南極の氷は大規模に解けることがないとされていたが、その定説が覆ろうとしている。 北海道大学・低温科学研究所・杉山慎教授は現地調査で大規模融解の端緒を掴んだ。その鍵を握るのが、陸から海にせり出した棚氷と呼ばれる氷の塊。今、棚氷の下の海水の温度が氷が解けるまで上昇している。棚氷が下から解かされることで内陸の氷も次々と流れ出し融解が一気に進んでしまう可能性がある。 地球温暖化が世界中の人々の暮らしに深刻な影響を与え始めている。国土の半分が海抜7m以下にあるバングラデシュは、サイクロンに襲われる度に高潮の被害を受け、海岸が削り取られている。クトゥプディア島はおよそ50年間で大幅に面積が縮小し、人が住める場所が年々狭まっている。国連は温暖化が想定を上回るスピードで進んでいると警告している。+1.5℃の分岐点に早ければ2030年にも達する勢いで、気候変動研究の世界的権威ヨハンロックストローム博士は2018年、「ホットハウスアース理論」という衝撃の研究を発表。平均気温が+1.5℃に達したあと更に上昇すると、いつ温暖化が暴走し始めるのか分からなくなるという。 ポツダム気候変動研究(ドイツ)・ヨハンロックストローム共同所長は「今、地球が不安定化する瀬戸際にあることは明らかである。これからの10年が地球と人類の未来を決める」と語った。北極を覆う氷が大量に解け、太陽光を反射して気温の上昇を防ぐ機能が失われ、海水が太陽に熱せられ温暖化が加速する。その影響はアマゾンに及び、二酸化炭素を吸収していた熱帯雨林が高温や乾燥により立ち枯れや火災が頻発し、大部分が荒れた草原となる。その結果、熱帯雨林に蓄えられていた大量の二酸化炭素が放出され、さらに温暖化が加速される。シベリアやアラスカでは永久凍土が解け、地下に蓄えられていた二酸化炭素の25倍もの温室効果があるメタンガスが大爆発し、大量に放出される。こうした現象が連鎖的に発生することで地球は熱くなり続け、今世紀末には平均気温が4度以上上昇し、灼熱地球と化す。 日本では、これまで100年に一度と言われていた災害が毎年のように起きる。その要因の一つが海面上昇。地球上の氷が大量に解けることで今世紀末に1m以上上昇するといわれている。台風19号を上回る台風が満潮を迎えた東京湾を直撃し、高潮はおよそ5メートルに到達する。堤防が決壊し各地で今、以上に深刻な浸水被害を受ける。スカイツリー周辺では3メートル近い浸水。東京オリンピックパラリンピック会場も水没。都市機能が完全にマヒする。 +1.5℃という分岐点を超えないために2030年までに何をすればいいのか。2050年には世界のCO2排出量を正味ゼロにする必要があり、そのためには2030年には半分にしなければならない。そのためには今年2020年には、まずCO2が減り始めなくてはならない。国連が真っ先に取り組むべきものとして挙げているのが、石炭火力発電所の新設の中止。資源が乏しい日本はエネルギー政策上、必要としているが、二酸化炭素を大量に排出するとして国際社会から非難されている。そして今年11月に開かれる国連の会議COP26で、温室効果ガス削減の目標を2050年ゼロにまで引き上げること。日本もそれに合意できるか問われてくる。更に風力や太陽光など再生可能エネルギーの拡大や、製造時に二酸化炭素を発生させるプラスチックの削減。それらを可能にするイノベーションが必要となるが、最も重要なことは常識の変化である。 これまで、国家間の枠組みではなかなか進まなかった対策が、個人や民間組織が動くことで国際社会を大きく動かすという新たなステージに入っている。海の上で温暖化対策に取り組むオランダ人のボイヤンスラット、25歳は世界中で急増している海のプラスチックごみを大量に回収し再利用することを目指している。ボイヤンがこの活動を始めたのは、高校生の時のギリシャへの家族旅行がきっかけだった。以来、ボイヤンは友人とごみの回収方法を研究しながらNPOを設立し、17歳の時、そのアイデアを世界規模のプレゼンテーションの場で訴えかけた。一見無謀とも言える計画に1000万円を超える寄付が寄せられ、更に世界各地から専門的な知識を持つ人も集まってきた。海洋学者や生物学者軍の技術士官など、「自分にもできることがある」と協力を申し出てきた。メンバーは試行錯誤を重ねながらごみを回収する専用のシステムを開発。企業などからも寄付が集まり、その資金は実に44億円を超えるまでになった。独自に開発した巨大なパイプを使って去年ついに世界で初めてプラスチックの大量回収に道筋をつけた。 今、注目を集めているのが再生可能エネルギー100%のビジネスを目指すRE100という取り組み。世界で221社、日本でも30社が参加。RE100を宣言した企業の一つ流通最大手のイオン。グループで消費する電力は日本の電力量の1%。原発1基分にも相当するばく大な量を全て再エネに替えることを目指している。実はイオンも近年の異常気象による災害で大きな被害を受け、温暖化対策を経営の大きな課題と位置づけている。イオンでは店舗の屋上や壁に太陽光パネルを敷き詰めたり、家庭で発電された電気を買い取ったりするなど再エネをかき集めている。最も期待しているのは洋上風力発電で海に囲まれた日本では大きな可能性があるといわれている。今後、こうした新エネルギーも活用し国の目標に先んじて2050年までに脱炭素を達成したいと考えている。 課題を乗り越えていくために国連が掲げているのがSDGs。この先、どういう社会を実現していくのか地球レベルで考え、世界中の国々で合意したもの。いわば「21世紀の国際社会の憲法」ともいわれている。気候変動を食い止めるという目標など、10年後の2030年までに達成すべき17の目標が掲げられている。SDGsでは、2030年までに世界中に安全な水を行き渡らせるということを目指している。なぜ国連は水不足と格差の解消を急ぐのかといえば、この問題を放置すると人口が急増する10年後、各地で紛争が多発すると考えられているからである。その危機が迫っているのがアフリカ南部。今、この地域では人口の4割4億人以上が安全な水を得ることができていない。南アフリカの経済都市ケープタウン。高い経済成長を背景に世界各国から富裕層の流入が続くこの都市では水を巡る格差が広がっている。富裕層が暮らす高級住宅街のすぐ横ではバラックが立ち並ぶスラム街に暮らす人々は常に水不足に苦しんでいる。更に水を巡る格差を深刻にしているのが経済のグローバル化。南アフリカは主要産業の一つワインの生産に必要な水を確保するためいくつもため池をつくっている。実はワインを造る為には大量の水が必要。遠いアフリカの水を巡る格差に世界全体が関わっている。 水を巡る格差は国と国との間でも広がっている。南アフリカの隣国、最貧国のモザンビークでは安全な水どころか農業用水すら欠乏し、深刻な食糧危機に陥り始めている。今、国連の機関WFP・世界食糧計画はモザンビーク各地を巡回し水や食料の支援をしている。支援対象者は急増し、250万人に上っている。水や食料が枯渇するモザンビークの人々は今、次々と隣国南アフリカに移り住み始め、そのことが南アフリカで社会の混乱を生んでいる。南アフリカの人と移民との間で憎悪が拡大。暴動や殺人事件が相次ぐ事態に発展。世界の人口が85億人に達する2030年までに格差を解消しなければ、国際社会は深刻なダメージを受ける。こうした状況は米国とメキシコの国境やインドとパキスタンの国境でも起きている。ただ、2030年の人口を考えると、2030年の世界の人口に対して淡水の全部の量は足りている計算になるが、偏っていることで深刻な格差が生まれ深刻な水不足につながっている。
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「証言ドキュメント・永田町・権力の興亡・最長政権その光と影」(12月29日放送)
憲政史上最長の在任期間を更新し、権力を保持し続ける内閣総理大臣・安倍晋三は政権発足から7年の間、深刻な危機に少なくとも直3度(安保法、衆院解散、データ改ざん)直面したという。内閣支持率の支持と不支持が逆転し、いずれも一歩間違えれば政権が行き詰まりかねない局面だった。菅官房長官によれば特に危機的状況だったのは2015年の安全保障関連法の成立が危ういと感じられた局面だったという。
2015年5月・安保法案の国会審議が始まると安倍総理への支持率が落ち始めた。...
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憲政史上最長の在任期間を更新し、権力を保持し続ける内閣総理大臣・安倍晋三は政権発足から7年の間、深刻な危機に少なくとも直3度(安保法、衆院解散、データ改ざん)直面したという。内閣支持率の支持と不支持が逆転し、いずれも一歩間違えれば政権が行き詰まりかねない局面だった。菅官房長官によれば特に危機的状況だったのは2015年の安全保障関連法の成立が危ういと感じられた局面だったという。
2015年5月・安保法案の国会審議が始まると安倍総理への支持率が落ち始めた。国会で憲法学者が「法案は違憲だ」と指摘し、世論の反発が強まる中、7月に支持と不支持が初めて逆転した。野党からの追及に対し、政権与党が結束して危機を乗り越えられるのかどうかの厳しい局面を迎えていた。安保法成立を目指した安倍総理の狙いは日米同盟を強化し、安全保障環境の変化に対応することだった。その為にはこれまで認められてこなかった集団的自衛権の行使を可能にすることが不可欠だと考えていた。実は安倍総理は政策の転換に向けて、政権発足の前から次々と布石を打っていた。その鍵は人事で、安倍総理が狙いを定めたのは法の番人とも呼ばれる組織の内閣法制局だった。 集団的自衛権の行使について歴代内閣は一貫して憲法9条の下では許されないとしてきた。その憲法解釈を支え続けてきたのが内閣法制局だった。憲法や法律の解釈の一貫性を保つためには長年の経験と知識が必要とされてきたため、内閣法制局の長官は発足以来、内部から昇格するのが慣例となってきた。安倍総理はこの慣例を覆す異例の人事案を温めていた。安倍総理は小泉政権の官房長官時代に、憲法解釈の変更が可能かどうか検討したことがあったが、その時、共に案を練った外務省国際法局長・小松一郎に目を付けた。安倍内閣の下で法制局長官を務めてきた山本庸幸は官邸幹部から突然、「参院選後にやめてもらう」と衝撃の言葉を告げられた。組織のトップが小松一郎に代わったことを機に、法制局は安倍総理が目指す憲法解釈の変更を下支えしていくことになった。当時の法制局幹部は大きく方針が変わったことを「役所は理屈が全てだから理屈が立つなら付き合えると思った。特別な感情などはない」と語った。 安倍総理が練っていた人事はそれだけではなく、ハト派の派閥出身の重鎮・谷垣禎一を取り込んでいくということもあった。最初の組閣で安倍総理は谷垣禎一に安保法案の審議で要となる大臣ポストを示していた。安倍総理の盟友・甘利明元経済再生担当大臣によればハト派的な立場の谷垣を取り込むことによって党内の結束を図り、厳しい世論を乗り越えようという思惑もあったようだ。更に安倍総理は憲法解釈の変更に向け最も難しいとみられていた公明党の説得に乗り出した。公明党は集団的自衛権の行使を容認することに当初から強い懸念を示していたが、公明党の党是は平和である。公明党前衆議院議員・漆原良夫(元国会対策委員長)は公明党の存在意義が問われる事態になっていたと明かした。安倍総理は集団的自衛権の行使を広く認める考えを封印。これに対し公明党は更に厳しい歯止めをかけることを主張し、自民党がこれを受け入れる形で両党は憲法解釈の変更に合意した。国論が二分する中で迎えた2015年9月、安保法は自民党、公明党などの賛成多数で成立した。ここにおいて戦後日本の安全保障政策は大きく転換したことになった。公明党の支持者の間からは安保法に反対する声が上がり、漆原良夫は説明に終始することになった。 第2次安倍政権が発足した7年前、自民党と公明党が交わした文書の冒頭には「決して驕ることなく真摯な政治を貫く」と記されていた。3度の危機を乗り越えた安倍政権の支持率は今もなお40%台を保ち続けている。一方で総理大臣主催の「桜を見る会」を巡る新たな問題も浮上してきた。この問題は、今後の政権運営の火種となりかねない勢いになっている。NHKの世論調査では「総理のこれまでの説明に納得できない」が7割を超えている。野党は次の衆議院選挙を見据えて勢力の結集を図り、巨大与党に対抗しようと動き出し始めた。
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「天安門事件・運命を決めた50日」(6/10)
中華人民共和国のシンボルでもある北京・天安門広場。1989年、天安門広場は100万を超す学生や市民で埋め尽くされ、政府に対するデモで言論の自由や政治の民主化を求めた。デモが始まってから50日後の6月4日に突如軍が発砲。中国政府は319人が死亡したとしているが、被害の全貌や事件に至る詳細な経緯は未だに明らかにされておらず天安門事件は中国最大のタブーとなっている。事件から30年、中国は目覚ましい経済発展を遂げる一方で共産党の強権的な統治が強まっている。...
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中華人民共和国のシンボルでもある北京・天安門広場。1989年、天安門広場は100万を超す学生や市民で埋め尽くされ、政府に対するデモで言論の自由や政治の民主化を求めた。デモが始まってから50日後の6月4日に突如軍が発砲。中国政府は319人が死亡したとしているが、被害の全貌や事件に至る詳細な経緯は未だに明らかにされておらず天安門事件は中国最大のタブーとなっている。事件から30年、中国は目覚ましい経済発展を遂げる一方で共産党の強権的な統治が強まっている。今回NHK取材班がそのタブーに迫る。
天安門事件で息子を失った女性に話を聞いた。当局から遺族に対する説明は一切ないという。女性はほかの遺族と共に目撃者を捜し出し、息子たちの最期をたどろうとしてきた。その結果、ようやく134人の命が奪われた場所が分かった。突き止められたのは一部の犠牲者だけで被害の全体像は今も誰にも分からない。取材班は当時、権力中枢に身を置き、事件の内幕を知る重要人物に接触した。事件をきっかけに8年間投獄され、今も当局から厳しい監視を受けているという。当時の共産党指導部の最高実力者・トウ小平は改革開放路線を進めていた。党の総書記にはトウ小平から抜擢された改革派の趙紫陽がいた。当時の首相は党内で隠然たる力を持つ保守派の李鵬だった。これまでデモの鎮圧は保守派が主導したとされてきたが、今回の取材で指導部内の路線対立が深刻化し、激しい駆け引きの末、事件に至ったことが分かってきた。 全ての始まりは鎮圧の50日前、4月15日まで遡る。改革派で国民の人気も高かった胡耀邦元総書記が急死し、学生たちが追悼のために天安門広場に集まった。この時の集会が次第に言論の自由や政治の民主化を求めるデモに変化していった。デモのリーダーの一人で当時、大学院生だった男性に話を聞いた。男性は共産党が進める経済の改革開放路線が政治改革にもつながることを期待していたという。学生の期待に応えようとしたのが胡耀邦のあとを継いだ趙紫陽だった。事態が急変したのはある出来事がきっかけだった。趙紫陽が外遊のため北京を留守にしていた4月26日、共産党の機関紙「人民日報」の一面に「デモは動乱だ」とする社説が掲載された。動乱とは国家の秩序を揺るがす犯罪行為に等しい言葉である。学生のデモは「民主化の名を借りた共産党打倒の企て」と断定された。当時、学生たちは壁新聞やビラを発行し主張を伝えていた。デモが始まった時は「民主万歳」「言論の自由」「腐敗反対」など改革を求める言葉が並んだ。社説の掲載以降は「歪曲」や「欺瞞」といった政府を糾弾する言葉が目立ち、ついには「共産党打倒」の声もあがるようになった。なぜあえて学生たちを挑発する社説が掲載されたのか。社説の掲載を進めたのは保守派の首相・李鵬だったが、李鵬自らがつづっていた記録によれば改革開放を進めてきたはずのトウ小平が社説の掲載に深く関わっていた。学生デモに対して厳しい姿勢を示したトウ小平は民主化に前のめりになる趙紫陽に対する警戒心を特に強めていたという。 改革の方向性を巡ってトウ小平とトウ小平が抜擢したはずの趙紫陽の溝がその後の悲劇へとつながっていく。「人民日報」社説の「動乱」という言葉にあおられ、学生たちの行動はますますエスカレートしていった。命の危険を冒してハンガーストライキという手段に訴える者も相次いだ。学生への共感が広がり多くの市民そしてメディアや国の機関に勤める人もデモに合流していった。デモが始まって1か月が経った5月17日、天安門広場は100万人の群衆で埋め尽くされ最高潮を迎えた。 トウ小平は自宅に党の最高幹部7人を招集した。李鵬首相が綴っていたやりとりによると、出席者は次々と「人民日報」社説を支持し趙紫陽のみが孤立した。黙ってやり取りを聞いていたトウ小平が最後に口を開きデモを収束させるために軍を動員する決断を下した。この時点で趙紫陽の失脚が決まった。会議から2日後、趙紫陽は学生で埋め尽くされた天安門広場に突然姿を見せ、早く広場から立ち去ってほしいと訴えた。これが趙紫陽が公の場に姿を現した最後となった。翌5月20日、建国以来初めてとなる戒厳令が施行された。 この時から中国共産党政権が自国の市民を武力鎮圧するまで15日、その間何があったのか。当時、北京で情報収集にあたっていた英国は戒厳令後の人民解放軍の動きを日ごとにつかんでいた。動員されたのは首都・北京の防衛を担う精鋭部隊第38軍に加え、中国各地の少なくとも9つの部隊だった。戒厳令から4日後には天安門広場の周囲40キロを10万を超える将兵が包囲していたことが明らかになった。当時、英国大使館で情報収集を指揮していた元英国大使館一等書記官・ジェームズホアに話を聞いた。当初は動員された現場の兵士も学生たちも流血の事態が起きるとは思ってはいなかった。人民のための軍隊だと信じていた兵士たちは、軍の上層部からの圧力を受け、追い詰められていた。取材部はこれまでかたく口を閉ざしてきた人民解放軍の将兵たちの1人に接触することができた。元第38軍下士官は去年、米国に亡命した。市民に銃口を向けることはできないと拒否した司令官は更迭され部隊への厳しい締めつけが始まり、別の部隊では明確な命令もないまま発砲せざるをえない状況に置かれていったという。被害を把握しようとした英国の外交官・ジェームズホアが天安門広場の周囲に駆けつけた時には血の跡しか残っていなかった。機密報告書に記された犠牲者の数は混乱の中次々と変わっていった。天安門広場を制圧した直後の写真に写っている元第39軍中尉は今もあの日のことが脳裏から離れないという。 市民に銃口を向けることを決断したトウ小平。英国の機密資料には共産党内部からリークされたトウ小平が語ったとされる言葉が記されていた。中国は天安門事件のあと民主化を求める声を封じながらひたすら経済の改革開放を推し進めた。事件を受け、国際社会は表向きは中国を強く非難していたが、水面下では中国の潜在的な経済力に期待し関係維持を図ろうとしていた。当時の米国大統領・ブッシュが事件直後に秘かにトウ小平に書簡を送っていた。天安門広場で学生デモが起きた時、米国の中国大使だったウィンストン・ロードは「事件の責任を問うよりも経済の発展を促す方が中国の民主化につながる」という見通しをもっていたという。天安門事件から30年、世界第2の経済大国となった中国は「当時の対応は間違っておらず、社会に安定をもたらした」としているが、かつて若者たちが求めた言論の自由や政治の民主化は実現していない。学生リーダーの一人として事件のあと拘束された男性は釈放後も当局の監視を受け仕事を転々としてきたという。片時もこの事件のことを忘れたことはないが、民主化運動からは一切手を引いたという。当時リーダーの一人だった男性はその後人権派と呼ばれる弁護士になり、政権を批判して拘束された人々の支援に取り組んできた。5年前、自らも逮捕され弁護士資格を剥奪されたが今も声をあげ続けているという。
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「朝鮮戦争秘録・知られざる権力者の攻防」(2/4)
69年前に勃発し、朝鮮戦争はいまだ終わっていない。朝鮮半島には太平洋戦争で日本に投下された爆弾の4倍の66万9000トンが投下されていたことが米国や韓国の軍の記録から明らかになった。爆撃作戦に部隊を送り込んだカーチスルメイ司令官はかつて東京大空襲など日本本土への爆撃を指揮した人物である。共産主義陣営を封じ込めるためには激しい空爆も正当化された。
1950年に始まった戦争は今も休戦状態のため半島の有事に備え続けている。...
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69年前に勃発し、朝鮮戦争はいまだ終わっていない。朝鮮半島には太平洋戦争で日本に投下された爆弾の4倍の66万9000トンが投下されていたことが米国や韓国の軍の記録から明らかになった。爆撃作戦に部隊を送り込んだカーチスルメイ司令官はかつて東京大空襲など日本本土への爆撃を指揮した人物である。共産主義陣営を封じ込めるためには激しい空爆も正当化された。
1950年に始まった戦争は今も休戦状態のため半島の有事に備え続けている。米国を主体とする国連軍と北朝鮮軍それを支援する中国軍が3年にわたり激しい攻防を繰り広げた朝鮮戦争では300万人以上が犠牲になった。この戦争が北朝鮮が独裁体制を強め、核開発へと突き進んでいく原点になったとされてきた。なぜ戦争は始まったのか。 入手した4000点もの外交資料から見えてきたのは朝鮮半島の武力統一を目論む北朝鮮とその背後にいたソビエトや中国のしたたかな思惑だった。権力者たちの間で交わされた書簡から謀略や駆け引きが浮かび上がってきた。当時、世界では米国が率いる資本主義陣営とソビエトが率いる共産主義陣営との間で冷戦が深刻化していた。ヨーロッパは鉄のカーテンで東西に分断され、アジアの対立の最前線は朝鮮半島で、南には米国の支援を受けたイスンマンを大統領とする大韓民国、北にはソビエトを後ろ盾とする金日成率いる朝鮮民主主義人民共和国があった。この米国とソビエト率いる二大陣営が冷戦下で初めて戦火を交えたのだ。米国は朝鮮戦争で原子爆弾の使用まで検討していた。マッカーサーがまとめた原爆投下の計画案ではウラジオストク、北京、大連など共産主義陣営の26か所を原爆投下の目標に挙げていた。核保有国となったソビエトとの全面戦争を恐れたトルーマン大統領はマッカーサーを解任し、最終的に原爆の使用を思いとどまったという。戦況は膠着状態に陥り、米国の呼びかけで休戦に至った。 日本は米国に軍需物資を供給することで戦後復興が進んだとされているが、その陰では2000人もの日本人が米国の軍事作戦に従事させられていた。朝鮮戦争での日本人の死者は少なくとも57人。朝鮮戦争への日本人の関わりの全体像は今なお見えないままだ。朝鮮戦争の開戦から3年目には共産主義陣営を主導してきたスターリンが死去した。残された毛沢東はようやく戦火を収めることに同意したものの、東西冷戦の下で和平協定が結ばれることはなく、暫定的な休戦協定にとどまっている。南北は38度線で分断されたままこの対立が66年に及んでいる。 今、北朝鮮は核兵器の保有を宣言し、北東アジア情勢の不安定要因となっている。その路線を敷いた金日成は朝鮮戦争を通じ米国への敵意だけでなく自らの後ろ盾だった中国やソビエトへの不信も募らせた。休戦から5年後には自ら核開発に乗り出したとされている。その執念は息子、孫へと受け継がれていった。米国は冷戦後も日本と韓国の基地を維持し北朝鮮と対峙してきた。今70年近く続いてきた対立に動きが出始めている。 チャールズマクダニエルの父親は朝鮮戦争に従軍し行方不明となった。昨年、その遺骨が突然戻ってきた。北朝鮮が米兵の遺骨の返還に応じたのだった。マクダニエルは戸惑いを隠せずに「私は言葉を失ってしまった。68年前に消えてしまった父が再び現れたのだから。これまで確かなものは何もなかったのに」と語った。 今月下旬に行われる予定の米朝首脳会談では北朝鮮の非核化と戦争の終結が焦点となっている。それは北東アジアに真の平和と安定をもたらすものになるのだろうか。それとも新たな駆け引きの始まりなのか。
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