第二波、第三波に備える(5月17日)
日本は幸運なことに第一波を防いだように見えるが、今後、第二波、第三波に備える必要がある。大いに気になることは、新型コロナウイルスがらみの政府関係者や地方自治体トップの会見では数値は示すが、計算式や数的根拠を示さなかったり、抽象的な説明が多かったりしたことである。
今後、求められるのは科学的エビデンスに裏打ちされた基準を明確に示すことや、インディケータを作り国民のコンセンサスを得た上で適格な判断を行っていく姿勢が要求されている。...
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日本は幸運なことに第一波を防いだように見えるが、今後、第二波、第三波に備える必要がある。大いに気になることは、新型コロナウイルスがらみの政府関係者や地方自治体トップの会見では数値は示すが、計算式や数的根拠を示さなかったり、抽象的な説明が多かったりしたことである。
今後、求められるのは科学的エビデンスに裏打ちされた基準を明確に示すことや、インディケータを作り国民のコンセンサスを得た上で適格な判断を行っていく姿勢が要求されている。状況が刻々と変化する中で不断の見直しを行い、より良い基準に置き換えていくことが求められている。
またPCR検査にしても、従来の「鼻や喉の奥から検体を採取するPCR検査」から「唾液によるPCR検査キット」を検査手法として採用した場合、北海道大学病院検査輸血部によると「11人の新型コロナ感染者の鼻や喉の粘液と唾液の両方でPCR検査を行ったところ同等の精度だった」という研究結果が得られている。同等の精度であれば、検体提供者、採取者双方にとって使い勝手がよい(お皿に唾液を採取するのみ)採取者が検体提供者に接近する必要がないため感染リスクを低減できる。鼻や喉の奥に綿棒などを突っ込まれるようなことがなく検体提供者への負担が少ないことなど「唾液によるPCR検査キット」の方がメリットが多いことは誰もが理解できる。
科学的に新しい尺度を創り出し、それを指標にし具体的に政策に反映させたシステムを確立していくことが今後の急務となっている。
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第二波にどう備えるか(5月16日)
世界各国の経済・社会に大きな被害をもたらしている新型コロナウイルスだが、ここに来て感染拡大のペースと死者数が減少傾向を見せ始め、ようやく第一波がピークアウトの兆しを見せている。この流れを受けて、世界は段階的にではあるが経済や国民生活への制限を解除する方向に舵を切り始めた。
いち早く中国は上海にあるディズニーランドを世界に先駆けて再開させ、中国がポストコロナの先頭に立っていることを印象づけた。...
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世界各国の経済・社会に大きな被害をもたらしている新型コロナウイルスだが、ここに来て感染拡大のペースと死者数が減少傾向を見せ始め、ようやく第一波がピークアウトの兆しを見せている。この流れを受けて、世界は段階的にではあるが経済や国民生活への制限を解除する方向に舵を切り始めた。
いち早く中国は上海にあるディズニーランドを世界に先駆けて再開させ、中国がポストコロナの先頭に立っていることを印象づけた。
死者数8万5000人に達するなど世界で最もコロナウイルスの被害を受けている米国・トランプ大統領も、この流れに乗り遅れまいと「我々の戦いは新しい局面を迎えている。これは米国を再開させるための戦いなのだ」と発言し、時期尚早だとの声も上がる中で経済活動を段階的に再開させていく姿勢を鮮明に示している。
日本でも14日、39県において緊急事態宣言が解除されたことを受け、経済社会活動を再開する動きが各地で見られている。東京は緊急事態宣言が未だに解除されていないが、交通機関や繁華街などでは4月上旬と比較すると人出に増加の兆しが出てきている。
こうした中、第二波を懸念する声も上がっている。経済社会活動緩和路線の先頭を走っていた中国と韓国ではクラスター感染が再び発生し、感染者数が増加する兆しを見せている。世界各国は第二波に発展する可能性もあるとみて、警戒感を強めている。
感染症に詳しい白鴎大学の岡田晴恵教授は新型コロナウイルスは高温・多湿に弱いため、日本においては梅雨や夏に新型コロナウイルス流行が小休止する可能性があることを指摘している。その上で「この間に、秋冬に想定される第二波にどう備えるかが重要で、十分な備えができていない場合には新型コロナとインフルエンザの両方が出てきた場合に対応できない恐れがある」と警鐘を鳴らしている。
日本に求められることは(1)ワクチンの開発を急ぐ(2)新薬の承認を急ぐ(3)精度が高く早く結果が出るPCR検査、抗原検査、抗体検査体制を充実させる(4)感染者を迅速に隔離し治療できる医療体制の構築(5)医療崩壊を防ぐため医療施設を拡充し、十分な医療防護具の確保、医療従事者の確保を行う(6)国と地方自治体で緊密な連携を取って制限を緩めたり強めたりでき、国民が納得できる科学データ、数値をシステマティックに国民に示すことができる体制を強化することなどである。
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第二波、第三波にどう備えるか(5月9日)
第二波、第三波はどのような形で日本を襲ってくるのだろうか。
一つの例として考えれば、ミネソタ大学感染症研究政策決定センターは過去のインフルエンザの流行などを基に3つのシミュレーションを作成した。
このシミュレーションによるとシナリオ(1)は1年から2年の間で反復的な感染の小さな波が何度もやってくるというものになる。この対策としては封鎖と緩和措置を何度も続ける必要がある。
シナリオ(2)は、秋もしくは冬に大規模な大波である第二波が来て、さらに来年も小規模で不規則な波が複数回やってくるというもの。...
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第二波、第三波はどのような形で日本を襲ってくるのだろうか。
一つの例として考えれば、ミネソタ大学感染症研究政策決定センターは過去のインフルエンザの流行などを基に3つのシミュレーションを作成した。
このシミュレーションによるとシナリオ(1)は1年から2年の間で反復的な感染の小さな波が何度もやってくるというものになる。この対策としては封鎖と緩和措置を何度も続ける必要がある。
シナリオ(2)は、秋もしくは冬に大規模な大波である第二波が来て、さらに来年も小規模で不規則な波が複数回やってくるというもの。この場合は、感染拡大軽減措置が必要になるとともに医療崩壊を防ぐ取り組みが必要になってくる。
シナリオ(3)は、我々にとって一番楽なシナリオである。ゆっくりとした低い波が継続するシナリオで、感染者および死者も継続的に発生するものの、軽減措置の再施行は不要となる可能性が高い。
最悪の場合、集団免疫が形成されるまでパンデミックは1年半から2年間は続くと腹をくくっておいた方がよいかも知れない。
現時点で考える時(2)はあってはならない一番悪いシナリオだが、このシナリオを避けるためにも今からPCR検査体制、抗原検査体制、抗体検査体制の充実、医療人員・備品の補充、確保、病床の確保を万全にしておくべきである。
予測する時は最悪のシナリオに照準を合わせておけば後で慌てずに済む。我々に求められているのは医療崩壊、経済崩壊を避け、ウイルスとうまく付き合っていく知恵であると考える。
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日本型民主主義で成功すれば新たな潮流を作れるか(5月2日)
新型コロナウイルスの感染者数は世界全体で約317万人、死者は22万人となっている(ジョンズ・ホプキンス大学調べ4/30)。ちなみに国別の死者数は米国が5万9392人、イタリアが2万7682人、英国が2万6097人、スペインが2万4275人、フランスが2万3660人である。
これを見ていくと日本の死者数481人は圧倒的に少ない数字ということがわかる。日本のインフルエンザの年間死者数でさえ約3000人であり、現段階ではこの数も下回っている。...
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新型コロナウイルスの感染者数は世界全体で約317万人、死者は22万人となっている(ジョンズ・ホプキンス大学調べ4/30)。ちなみに国別の死者数は米国が5万9392人、イタリアが2万7682人、英国が2万6097人、スペインが2万4275人、フランスが2万3660人である。
これを見ていくと日本の死者数481人は圧倒的に少ない数字ということがわかる。日本のインフルエンザの年間死者数でさえ約3000人であり、現段階ではこの数も下回っている。
日本にとっては、まずはこれ以上、院内感染を増やさないことが重要である。特に病院に来る患者に絞って「蛍光LAMP法」やPCR検査、抗体検査、抗原検査などを増やし症状が出ていない人も含めて、隠れコロナ患者を早期に見つけ出すことが肝要である。
さらに国民ができることとして重要なのは緊急事態宣言に伴う自立的な外出自粛とソーシャルデイスタンシングの徹底することである。営業自粛については従わない一部の業者もおり、一部からは罰則規定を設けるべきとかいろいろな声も聞かれるが、現時点では大した問題もなく日本人はうまくやれている。
これら全てが功を奏した場合、中国のように強制的ではなく、国民に強制するやり方でもない日本型民主主義の成功例として世界で評価される日がくるのかもしれない。
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テレワークの前に立ちふさがる大きな障害(5月2日)
政府の緊急事態宣言発出に伴い、各企業は「接触機会の8割削減」を達成すべくテレワークへのシフトを急いでいる。現在、大企業を中心にテレワークが実現している。
今後、テレワークが一気に定着し企業の在り方が大きく変わってくることが予想されるが、目の前には乗り越えるべき大きな山が立ち塞がっている。それは、これまでになかった大量のデータの往来をどうさばいていくのかという問題であり、もう一つはCDN(コンテンツデリバリネットワーク)の問題である。...
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政府の緊急事態宣言発出に伴い、各企業は「接触機会の8割削減」を達成すべくテレワークへのシフトを急いでいる。現在、大企業を中心にテレワークが実現している。
今後、テレワークが一気に定着し企業の在り方が大きく変わってくることが予想されるが、目の前には乗り越えるべき大きな山が立ち塞がっている。それは、これまでになかった大量のデータの往来をどうさばいていくのかという問題であり、もう一つはCDN(コンテンツデリバリネットワーク)の問題である。
これまで想定していなかった数の人々がインターネットを常時同時接続するようになるために、光ファイバーによる基幹回線やCDNへの大きな負荷が発生することが予想される。そのことによって生じてくる不具合には例えば回線速度の低下、切断、遅延などがある。
現状ではテレビ会議の打ち合わせ中に一番重要な内容が飛んでしまったりする可能性すらある。こうした障害を解決しなければ本格的なテレワーク時代は到来しない。
今注目すべき最重要課題は、情報のセキュリティとインターネットの高速化、安定化であるといっても過言ではない。
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