国際重量挙げ連盟（IWF）が新型コロナウイルスの影響で予選基準を改正したことに加え、様々な国の選手達が欠場するため、ハバード選手が大会に参加する可能性が高まったという。...

国際重量挙げ連盟（IWF）が新型コロナウイルスの影響で予選基準を改正したことに加え、様々な国の選手達が欠場するため、ハバード選手が大会に参加する可能性が高まったという。

英メディア『ガーディアン』によると、2015年11月に発行された国際オリンピック委員会（IOC）のガイドラインでは、男性から女性に移行した選手は、血清中の総テストステロン濃度を1リットルあたり10ナノモル以下に12カ月以上維持すれば、精巣を摘出する手術を必要とせずに女性のカテゴリーに出場できることになっており、国際ウエイトリフティング連盟（IWF）もこのルールに従っている。

43歳のハバード選手は東京大会で最年長の重量挙げ選手となるが、87kg超スーパーヘビー級の予選では14人中4位の成績を収めており、メダル獲得の可能性は十分にあるという。

しかし最近では、思春期を迎えた男性は、テストステロン濃度を抑える薬を服用しても、パワーや強さの面で明らかに優位であることを示す科学論文が数多く発表されている。ハバード選手は、35年間男性として生活した後、2012年に女性への移行を初めた。その後、女子カテゴリーで重量挙げの大会に出場するようになり、2017年には世界大会で銀メダルを獲得し、2019年のアジア大会では優勝した。

今回の展開は、トランスジェンダーのアスリートにとって大きな前進だと評価する人々がいる一方で、他の女性選手と比べて不当に有利な立場になると主張する人々の間で意見が大きく分かれている。

英『デイリーメール』によると、イギリスの元オリンピック競泳選手シャロン・デイビスは、ハバード選手の女子カテゴリーでの参加の可能性に対し、「私はすべての人がスポーツをすることに賛成ですが、競技への参加は、自認する性別ではなく、生物学上の性を重視すべきだと思います。」と反対の意を示した。「男性の方が強くて速いという当たり前のことについて対処しないと、若い女性の中にはメダルや順位や成功を失ってしまう人が出てくるでしょう。これは、オリンピックのすべての競技で示される生物学的な現実です」。と説明している。そして「尊重しながら話し合い、公平な解決策を見つける必要があります。女性のカテゴリーと、オープンな、包括的カテゴリーを設けるなど。私は反トランスジェンダーではありませんが、女性のスポーツ、正確な情報、そして公正さを支持します。感情でスポーツを分類するのはフェアではありません。私たちの生物学的な性別は、生まれた日から死ぬ日まで同じです。」と主張している。

何人かの女性アスリートもデイヴィスの考えに共感しているが、スポンサーからは、論争やトランスジェンダーコミュニティとの衝突を避けるために、沈黙を守るように言われているという。