欧州連合(EU)とインドは8日、ビデオ会議を行い、貿易協定の交渉を再開することで合意した。EUとインドは、中国の台頭を背景に互いに経済関係を強化したいと考えている。
仏メディア
『RFI』は、13億人の人口を抱え、パンデミック前には6%近い力強い成長を遂げていたインドが、EUにとって重要な市場であると伝えている。
EUとインドの間の経済関係は、この10年間でますます強まっており、EUはインドにとって最大の貿易相手国になっている。欧州議会の資料によると、2019年にEUはインドの貿易の11.1%を占め、中国と米国をわずかに上回っていた。貿易額は1,150億ドル(約12兆5千億円)に達し、4,500社ほどの欧州企業がインドで事業を展開し、600万人の直接・間接雇用を生み出している。...
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仏メディア
『RFI』は、13億人の人口を抱え、パンデミック前には6%近い力強い成長を遂げていたインドが、EUにとって重要な市場であると伝えている。
EUとインドの間の経済関係は、この10年間でますます強まっており、EUはインドにとって最大の貿易相手国になっている。欧州議会の資料によると、2019年にEUはインドの貿易の11.1%を占め、中国と米国をわずかに上回っていた。貿易額は1,150億ドル(約12兆5千億円)に達し、4,500社ほどの欧州企業がインドで事業を展開し、600万人の直接・間接雇用を生み出している。ヨーロッパからのインドへの投資は外国投資の18%を占め、EUはインドで最大の外国投資家となっている。
EUとインドは、これまでも自由貿易協定のための交渉を進めてきた、しかし5年に及ぶ話し合いの末、2013年に交渉が中断された。インド側が産業や農業を保護するために巨大な国内市場の開放に消極的だったことが一因としてあげられる。
しかし、最近の中国の拡張主義的な政策に直面して、EUもインドも自由協定を進め、共に近づいていこうと決意しているようだ。世界経済が非常に低迷していることや、インドで大流行している新型コロナウイルスも、EUとインドが経済的・戦略的な関係を強化したいという願望を強める要因となっている。
また、この10年間で、EUとインドの間の貿易は約72%増加していることから、EUは、インドとの自由貿易協定の確立に向けて、これまで以上に意欲的に取り組んでいる。
仏金融紙『レゼコー』によると、8日の会議には、EU加盟国の全首脳が参加し、インドの首相は、新型コロナウイルスのパンデミックのため、オンラインで参加したという。EUのある外交筋は、インドのEUに対する関心の低さは長年続いていたが、ここに来てインドのEUに対する態度が「急激に変化」したと指摘している。ブリュッセルに駐在するインドの外交官たちは、ここ数週間、EUに対し積極的な話し合いを求めて活動しているという。
香港の『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』によると、インドは現在、中国に次いで世界で2番目に人口の多い国で、13億人以上の人口を抱えているが、EUにとっては10番目に大きな貿易相手国に過ぎないという。
EU委員長は、インドのナレンドラ・モディ首相との会談後、記者団に対し、投資協定と地理的表示に関する交渉も開始すると述べた。
今回のオンライン会議では、バスマティ米、ロックフォールやパルメザンチーズ、ダージリン紅茶などの原産地表示の保護に関する合意を目指すことや、投資、デジタル技術、輸送に関する協定の模索などについても話し合われた。
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