フランスの公共・民間のラジオ局6社が、新アプリ「ラジオプレイヤー・フランス」を立ち上げた。3年の歳月をかけて開発されたこのアプリでは、200近くのラジオ局を聴くことができる。最新のテクノロジーに対応し、番組配信の管理を強化することが目的だ。
仏経済誌
『キャピタル.fr』によると、フランスのラジオの世界で初の試みが実現した。公営と民営のラジオ局が初めて手を組み、ビッグテックやストリーミングサービスとの競争に対応するために、共通のプラットフォーム「ラジオプレイヤー」を立ち上げた。8日からすべてのデジタルメディア(スマートフォン、パソコン、スピーカー、コネクテッドTVセット)で利用できる。アプリには、ラジオ視聴者の90%以上を占める「200以上のラジオ局と600以上のウェブラジオ局」が参加している。
また、10万以上の番組やコラムなどをポッドキャストで提供しており、すべて無料でアクセスできる。広告は、ラジオ局自体が放送する広告のみ流れる。
フランスの主要なラジオグループ6社による前例のない取り組みは、GAFAや、デジタルラジオやポッドキャストのエコシステムを支配しようとしているストリーミングサービスなどの仲介者に、よりよく対抗することを目的としている。
同アプリのジャン・エリック・ヴァリ会長は、「GAFAやストリーミング・プラットフォームで競争が激化する中、私たちは団結しなければならない。」と、往年のラジオ放送を革新し、ラジオサービスの在り方を再発明していかなければならないと訴えている。
また、1日の平均視聴者数4,000万人のうち、15%にあたる約800万人のリスナーが毎日オンラインで聴いており、特に移動中に聴いている。そのため、利用方法の変化にも対応していくことが求められている。
仏民間ラジオ局『ヨーロッパ1』によると、同アプリは、ヨーロッパの他の13カ国ですでに導入されている技術を活用しており、ストリーミング・プラットフォームのように、ユーザーの聴取習慣に基づいてアルゴリズムがパーソナライズされたコンテンツを提供してくれる。また、ユーザーは、番組名、アーティスト名、タイトルなどの付加情報や、7日間の番組スケジュールをチェックすることができる。
「ラジオプレイヤー」はイギリスに10年前に誕生し、14カ国で展開されているネットワークとなっている。
仏ニュースサイト『01net』によると、「ラジオプレイヤー」はすでに「何百万台ものコネクテッドカー」で利用されているが、BMW、フォルクスワーゲン、ポールスターなど、ヨーロッパ市場に展開するすべてのメーカーに、車内のオーディオプログラムに取り入れてもらえるように交渉が進められている。
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