シンガポールのシンクタンク「東南アジア研究所」ASEAN研究センター(ASC)が2月10日に発表した調査によると、東南アジアの専門家の間で米国支持が高まっていることが明らかになった。
「東南アジア研究所」が発表した「東南アジアの現状2021」は、ASEAN全体で1,000人以上の回答者を対象に、新型コロナウイルス対策、リーダーシップにおける最大の懸念や地政学的見解、意見を調査したものである。調査は、ASEANに加盟する10カ国の議員、ジャーナリスト、ビジネスマン、専門家を対象に、昨年の11月から今年の1月にかけてオンラインで実施された。
ニュースサイト『ザ・ディプロマット』は、2020年は新型コロナウイルスのパンデミック、東南アジアのいくつかの国での政治的動乱、米国と中国の間の緊張の高まりに支配された年であったことから、発表された報告書には多くの関心が集まっていると報じている。...
全部読む
「東南アジア研究所」が発表した「東南アジアの現状2021」は、ASEAN全体で1,000人以上の回答者を対象に、新型コロナウイルス対策、リーダーシップにおける最大の懸念や地政学的見解、意見を調査したものである。調査は、ASEANに加盟する10カ国の議員、ジャーナリスト、ビジネスマン、専門家を対象に、昨年の11月から今年の1月にかけてオンラインで実施された。
ニュースサイト『ザ・ディプロマット』は、2020年は新型コロナウイルスのパンデミック、東南アジアのいくつかの国での政治的動乱、米国と中国の間の緊張の高まりに支配された年であったことから、発表された報告書には多くの関心が集まっていると報じている。
同ニュースサイトは、最も明白で印象的なのは、2つの超大国に対するASEAN地域の相対的な意見の変化であると伝えている。仮にどちらの国と同盟を組むかという質問に対して、回答者の61.5%が「どちらかといえばアメリカと同盟を組む」と答えたのに対し、中国を選ぶと回答した人は38.5%にとどまり、昨年の46.4%から大幅に減少した。同調査の研究者はまた、東南アジア諸国からの不信感が上昇した唯一の大国は中国であり、2020年の60.4%から2021年には63.0%に上昇したと指摘している。
ここ数年の調査結果と同様に2021年の調査でも、東南アジアのエリートは中国の力に感心しているものの、恐れも抱いているという結果が出た。回答者の76.3%が中国を東南アジアで最も影響力のある経済大国としているが(米国は7.4%)、72.3%がこの地域の「懸念」でもあると回答している。同様に、49.1%の回答者が中国をこの地域で最も重要な「政治的・戦略的」パワーであると見なしており、88.6%の回答者がこの事実が気がかりであると回答している。
報告書は、「ASEAN地域における中国の支配的な経済的および政治的影響力は、愛情よりも畏敬の念を生み出した」とし、「大多数の人は、このような中国の経済的影響力と軍事力が組み合わされて、自国の利益と主権を脅かすために利用される可能性があることを心配している。」と報告している。
一方、米国に対しては、回答者の48.3%が好意的に捉えていると回答し、2020年の30.3%から「驚くほどの好転」を見せた。米国を信頼している東南アジアの人々は、米国には「グローバルなリーダーシップを提供する政治的意志」があり、その軍事力は「世界の平和と安全のための資産である」と信じていると答えている。
報告書はまた、日本が最も友好的で信頼できる戦略的パートナーとして選ばれ、信頼度は昨年の61.2%から67.1%に上昇したと報告している。EUへの信頼を表明した人の割合も、昨年の38.7%から2021年には51%と上昇した。
シンガポールのオンラインニュースサイト『アセアン・トゥデイ』によると、中国は東南アジア人の間で不信のレベルが高まっている唯一の主要国であり、63%が、北京が「世界の平和、安全、繁栄、統治に貢献する」という確信をほとんどまたは全く持っていないと回答し、2019年の51.5%から上昇した。しかし、この不信感は、中国のリーダーシップ、能力、信頼性に対する疑念よりもむしろ、経済的、軍事的な力を乱用するかもしれないという懸念によるものであった。
なお、国別に見ると、「中国を支持したい」との回答が多数を占めた国はラオスとブルネイであった。逆にアメリカへの支持率が最も高かったのはフィリピン(86.6%)とベトナム(84%)であった。
閉じる