国連によると、今後10年で地球の温度上昇を1.5~2度の温度上昇に抑えるためには、1年間のCO2排出量増加を10~20億トンに留めなければならない。だが、昨年新型コロナウィルスによる世界的なロックダウンで減ったにもかかわらず、その減少幅は約26億トン(7%)に留まっていたという。
3月4日付
『ロイター通信』は「世界のCO2排出量7%減、今後のリバウンドに警戒感」との見出しで以下のように報道している。
新型コロナウィルスによる活動抑制により世界の炭素排出量は7%減少したが、「Nature Climate Change」に掲載された論文によると、その減少傾向も長くは続かないとみられている。71カ国、6つの経済セクターで、電気使用量や追跡情報を利用し、日ごとのCO2排出量を分析。...
全部読む
3月4日付
『ロイター通信』は「世界のCO2排出量7%減、今後のリバウンドに警戒感」との見出しで以下のように報道している。
新型コロナウィルスによる活動抑制により世界の炭素排出量は7%減少したが、「Nature Climate Change」に掲載された論文によると、その減少傾向も長くは続かないとみられている。71カ国、6つの経済セクターで、電気使用量や追跡情報を利用し、日ごとのCO2排出量を分析。論文著者の一人ノルウェー気候調査機関(CICERO)のGlen Peters氏は、「化石燃料インフラが再稼働されれば、2009年の金融危機の時のように、2021年に排出量の大きなリバウンドが起こる恐れがある」としている。
パンデミックが依然続いていることから、今年完全なリバウンドになる可能性は低いが、今後の排出量は各国の経済回復に依存するところが大きい。パリ条約の基準に達するには、化石燃料からの脱却に加え、アフターコロナで2016~2019年比10倍の排出量削減が求められる。
論文著書の一人グランサム研究所のRobin Lambollは、「2年の減少だけでは長期的には影響しない。今後の排出量減少は文化の変容、エコロジー政策に向けた政府支援に掛かっている。」としている。今週、国際エネルギー機関は、2020年の世界のCO₂減少は5.8%だったと発表。
3月3日付英国『ガーディアン』は「2年毎にコロナ禍並みのCO2排出減を」との見出しで以下のように報道している。
水曜「Nature Climate Change」に発表された論文によると、地球温暖化を安全な範囲にとどめるには、今後10年、世界的ロックダウン相当のCO2排出量減少を2年毎に保つ必要があるという。昨年は世界的なロックダウンにより、CO2排出量の減少幅が7%(約26億トン)に留まった。しかし、今後10年で地球の温度上昇を1.5~2度に留めるには、排出量を毎年10~20億トンの間に抑える必要があるという。
論文著者Corinne Le Quéré氏は、政府はパンデミックからの経済回復に資金を回しているが、ロックダウン並みの排出量削減を2年毎にするくらいの対策が必要だとしている。また、パンデミックによる温室効果ガス排出の劇的減少は、長期的な削減目標の上ではほとんど効果がなく、各国が早急に化石燃料への経済依存を改める対策をしなければ、すぐにリバウンドがおきるとしている。
著者の一人でノルウェーの気候研究所のGlen Peters氏は、化石燃料から脱却する構造的変化が必要だと指摘し、「2020年はインフラが閉鎖されていたからではなく、化石燃料インフラの使用が減ったから排出量の減少が起きていた。インフラが再開されれば、2021年には大きなリバウンドが起きるだろう。」としている。
論文では、パンデミック以前には多くの主要国で排出量は抑えられていたとする。「グローバル・カーボン・プロジェクト」によると、150カ国で排出量が増加していた2011年~2015年と比較し、64カ国で2016~2019年の間排出量が減っていた。
調査によると、年間排出量削減を、パンデミック以前の10倍にする必要があるという。また、途上国では、2016~2019年の間、それ以前の10年と比較し実質的な排出量減少は見られなかった。パリ条約の目標達成には、このような国でも排出量削減を増やす必要がある。
閉じる