既報どおり、森喜朗大会組織委員会会長(83歳)の女性蔑視と取られる発言に端を発し、東京大会開催に当たって益々問題がややこしくなっている。そうした中、与党・自民党幹部や財界トップから次々に男女差別と取られかねない失言の連鎖が起こっているが、そもそも彼らが男女平等思想を全く理解していないことに原因がある、と欧米メディアが糾弾している。
2月17日付
『ロイター通信』:「与党重鎮、役員会にもっと多くの女性議員の参加を希望も、但し発言権はないとコメント」
森喜朗大会組織委員会会長が今月初め、女性は会議で長く話し過ぎる等と女性蔑視と取れる発言をしたことから、辞任に追い込まれている。
そして、国内外から日本の男女不平等の問題について、改めて厳しく指摘され始めている。
そこで、与党・自民党の二階俊博幹事長(82歳)は2月16日、今後党内の役員会等に(役職に就いていない)女性議員5人に、オブザーバーとして出席してもらうことを検討したいと表明した。...
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2月17日付
『ロイター通信』:「与党重鎮、役員会にもっと多くの女性議員の参加を希望も、但し発言権はないとコメント」
森喜朗大会組織委員会会長が今月初め、女性は会議で長く話し過ぎる等と女性蔑視と取れる発言をしたことから、辞任に追い込まれている。
そして、国内外から日本の男女不平等の問題について、改めて厳しく指摘され始めている。
そこで、与党・自民党の二階俊博幹事長(82歳)は2月16日、今後党内の役員会等に(役職に就いていない)女性議員5人に、オブザーバーとして出席してもらうことを検討したいと表明した。
同役員会等は男性議員で占められているとの批判から飛び出した案で、同幹事長は、役員会等での討議や決議プロセスを“見学”してもらうことが重要だと付言した。
『日経新聞』報道によると、オブザーバー参加であるから、当該女性議員に発言権はなく、意見等があれば、会議後に事務局に意見書を提出することはできるという。
首相在任経験のある森氏が発言した内容から分かるとおり、日本社会においては男女格差の風土が長く根付いている。
世界経済フォーラムが発表した「男女格差指数2020(注1後記)」によると、日本は、対象153ヵ国中121位と、先進国中最低ランクとなっている。
これは偏に、経済界や政界での女性に対する権限移譲が非常に低いことが原因とされている。
自民党幹事長の発言について、野党議員からは、女性議員に“社会見学”させようとしていると嘲笑えば、ツイッター・ユーザーの多くが、森氏失言問題があっても、自民党の男性中心体制が全く変わっていないと批判している。
ニュージーランドのワイカト大学(1964年設立の国立大学、6割が女子学生)文化社会学者のベリンダ・フィートン准教授は『ロイター通信』のインタビューに答えて、“これらの人たちは、女性をPR要員としか捉えていないとみられる”と批評した。
更に同准教授は、“そろそろ、何故70代や80代の高齢者がこのような幹部職に就いているのか、本当に40代や50代、更には女性では務まらないのか、真剣に問う時期に来ていると思う”と付言した。
なお、財界からも同様の失言が飛び出している。
経済同友会(1946年設立)の櫻田謙悟代表幹事(65歳)が2月16日、日本においてガラスの天井(注2後記)があるとすれば、それは“女性側にも一部原因がある”と発言している。
(注1)男女格差指数2020:世界経済フォーラムが2006年より公表しているジェンダー・ギャップ指数の2020年版。世界の各国の男女間の不均衡を示す指標で、スコアはランキングの形で示される。最新版では、153の主要国と重要国が含まれており、日本は過去最低となる121位となっている。因みに、米国53位、中国106位、韓国108位、インド112位で、日本より下位は、アフリカや太平洋島嶼国の途上国やイスラム圏の国々。
(注2)ガラスの天井:資質・実績があっても、女性やマイノリティを一定の職位以上には昇進させようとしない組織内の障壁を指す。女性やマイノリティが実績を積んで昇進の階段をのぼってゆくと、ある段階で昇進が停まってしまい先へ進めなくなる現象を、「目に見えないガラスの障壁に阻まれている」様子にたとえた表現。
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