菅義偉首相(72歳)は昨年10月、2050年までにカーボンニュートラル(注1後記)を達成するとぶち上げた。しかし、政府が3年前に立てた中期計画によると、2030年度に再生可能エネルギー比率を22~24%に引き上げるというものであった。そこで、日本を代表する大手企業が加盟する日本気候変動イニシアティブ(JCI、注2後記)が、菅首相のいうような目標達成のためには、少なくとも2030年度達成目標を40%超へ倍増する必要があると訴えた。
1月18日付
『AFP通信』:「日本の大手企業グループ、政府に対して2030年度再生可能エネルギー比率の大幅引き上げを要求」
ソニー、パナソニック、日産といった日本を代表する大手企業グループが1月18日、2030年度の再生可能エネルギー比率を現行目標値の2倍に引き上げるよう政府に要求した。
菅義偉首相は昨年、2050年までにカーボンニュートラルを達成すると宣言したが、日本の中期的再生可能エネルギー比率目標は低すぎるとの批判が出ている。...
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1月18日付
『AFP通信』:「日本の大手企業グループ、政府に対して2030年度再生可能エネルギー比率の大幅引き上げを要求」
ソニー、パナソニック、日産といった日本を代表する大手企業グループが1月18日、2030年度の再生可能エネルギー比率を現行目標値の2倍に引き上げるよう政府に要求した。
菅義偉首相は昨年、2050年までにカーボンニュートラルを達成すると宣言したが、日本の中期的再生可能エネルギー比率目標は低すぎるとの批判が出ている。
すなわち、3年前に策定された中期計画によると、2030年までに再生可能エネルギー比率を22~24%に引き上げるとしている。
これに対して、JCI加盟企業のうち92社が1月18日、当該目標値を倍以上の40~50%に設定するよう求めた。
この企業グループには、他に富士フイルム、東芝、大手保険会社、大手食品・飲料メーカー等が名を連ねている。
政府宛の声明文では、“世界的な気候変動対策に取り組む上で、主導的立場を担う必要がある日本として、達成目標はもっと意欲的な高い数値に設定する必要がある”と言及している。
日本の再生可能エネルギー比率は、2017年に約17%であった。
それが、2020年の場合は、新型コロナウィルス感染問題に伴う景気後退による電力需要の大幅減少に遭って、当該比率は一時的に20%余りとなっていると推定される。
ただ、日本は2011年発生の東日本大震災に伴う深刻な原発事故発生のため、脱原発政策を取らざるを得ず、結果として化石燃料主体の火力発電に頼らざるを得ない状況が続いている。
すなわち、石炭火力発電が3分の1、LNGが40%近くとなっている。
なお、日本は、2019年に再生可能エネルギー発電増強のために165億ドル(約1兆7,160億円)を注ぎ込むと表明しているが、総投資額は中国、米国、欧州に比べて依然かなり低い。
(注1)カーボンニュートラル:日常生活や経済活動によって排出される温室効果ガスのうち、排出者自身の努力では削減できない分を、他の場所で達成された削減・吸収量で相殺することによって、温室効果ガスの増加を実質的にゼロにすること。また、脱炭素を可能とする再生可能エネルギー比率を大きく増やすことも求められる。
(注2)JCI:2018年7月、情報発信や意見交換を強化する場として設立された、気候変動対策に積極的に取り組む企業や自治体、団体、NGOなど国家政府以外の多様な主体が集まったネットワーク。2015年のパリ協定成立を受け、気候変動対策の強化に取り組むために世界各国で設立された非政府組織に対応したもの。
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