1月14日付欧米
『ロイター通信』:「トランプ政権、任期切れ直前でも中国企業等に対する制裁発令」
トランプ政権は1月14日、任期切れ間際にも拘らず、対中強硬政策継続の一環で、南シナ海における悪行を理由として、中国高官及び中国大手企業に対して制裁を科すと発表した。
ジョー・バイデン次期大統領(78歳)が1月20日に正式発足する直前の行為であり、米中関係の緊張が益々高まる恐れがある。...
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1月14日付欧米
『ロイター通信』:「トランプ政権、任期切れ直前でも中国企業等に対する制裁発令」
トランプ政権は1月14日、任期切れ間際にも拘らず、対中強硬政策継続の一環で、南シナ海における悪行を理由として、中国高官及び中国大手企業に対して制裁を科すと発表した。
ジョー・バイデン次期大統領(78歳)が1月20日に正式発足する直前の行為であり、米中関係の緊張が益々高まる恐れがある。
今回制裁対象とされたのは、中国国営企業幹部、中国共産党及び中国軍高官、及び中国海洋石油集団(CNOOC、1982年設立、本社北京)で、南シナ海の領有権争いのある関係国を不当に抑圧したためとしている。
1月14日に電話取材に応じた米政府高官は、南シナ海以外でCNOOCが共同で行っている石油掘削事業には適用されないとコメントした。
また、米国防総省が、中国軍と関係の深い9社を新たに制裁対象に加えたとして、航空機メーカーの中国商用飛機(COMAC、2008年設立、本社上海)、携帯電話メーカー小米科技(シャオミー、2010年設立、本社北京)等を挙げている。
これらの9社に対しては、新規出資が禁止され、かつ、出資済みの米企業は2021年11月までに保有株式の売却を義務付けられた。
COMAC、及びシャオミーの他に制裁対象とされたのは、精密機械メーカーの先端技術微細加工(AMEC、2006年設立)、データサービス会社の西安連合信息技術(2005年設立)、IT技術センターの北京中関村開発投資(2010年設立、中国版シリコンバレー)、半導体メーカーのゴーウィン半導体(2014年設立)、大新華航空(2007年設立)、通信機器メーカーのグローバル・コミュニケーション技術(2013年設立)、中国航空集団(1988年設立の中国国際航空子会社)である。
これに対して駐米中国大使館は1月14日、1月7日付の中国外交部(省に相当)の公式見解に言及して、“米政府は経済・貿易問題を政治問題化した上に、国家安全保障を口実にして権力を以て海外企業の取り締まりを強化している”として糾弾している。
制裁発令に当たって、マイク・ポンペオ国務長官(57歳)は、“米政府は、国際法に準拠して、南シナ海で領有権問題を抱える東南アジア諸国の主権、権益を擁護する”と宣言した。
同長官は、これに基づく制裁として、中国国営企業幹部や中国海軍高官、更には中国共産党高官宛のビザ発給を制限するとした。
また、米商務省は、CNOOCがベトナム等による南シナ海における石油掘削作業等を妨害したと非難した。
同省のウィルバー・ロス長官(83歳)は、CNOOCが“中国軍に代わって南シナ海周辺国をいじめている”とし、また、中国軍は“民間・軍融合作戦に基づきこれら企業を用いて邪悪な目的を達せしめようとしている”と糾弾した。
同省はまた、CNOOCを“エントリー・リスト”に掲載することとし、今後米企業が最先端技術製品等を同社に供給しようとした場合、事前許可取得が義務付けられることになる。
一方、中国問題で柔和とされるスティーブン・ムニューシン財務長官(58歳)は1月13日、中国IT大手のアリババ(1999年設立)、テンセント(1998年設立)、バイドゥ(2000年設立)3社を制裁対象リストに加えるとしていた当初の計画を撤回している。
1月15日付香港『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙:「任期切れ間際のトランプ政権が対中国駆け込み制裁」
退陣間際の米政府が1月14日、中国企業9社及び多くの政府・軍高官に対して制裁を発動した。
これに対して中国外交部の趙立堅(チョウ・リーチアン、48歳)報道官は1月15日、“自国のことを棚に上げたダブルスタンダード”である上、“いじめ以外の何ものでもない”と非難した。
同報道官は、“民間・軍融合戦略は、米国こそが第一次大戦以前から取っていた政策である”とした上で、“米国企業の多くが、同戦略に基づいて生まれている”と指摘した。
更に同長官は、“南シナ海における中国政策に関わる理由で以て、CNOOCを制裁対象としたことは、重大なる内政干渉だ”とも糾弾した。
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