ジョー・バイデン次期大統領の息子ハンター・バイデン氏(弁護士・実業家)について、デラウェア州の連邦地検が納税について調査を開始した。中国を中心に、海外事業における脱税やマネーロンダリング等が精査されるという。ハンター氏は検証により、違法行為がないことが証明されると確信しているとしている。バイデン政権移行チームは調査について知らされたかは明らかにしていない。今後バイデン氏への不信感が広がる可能性がある。
12月9日付米国
『ウォール・ストリート・ジャーナル』は「税金の調査を受けているとするハンター・バイデン」との見出しで以下のように報道している。
次期大統領の息子ハンター・バイデンは9日声明で、デラウェアの検察当局の税務調査を受けていると発表。父が政権樹立を進める一方で、バイデンの金融取引に注目が集まっている。ハンター氏は、当件を「非常に深刻に受け止めており、専門的、客観的調査から、私が合法的に適切な納税をしていたことが証明されるだろう」等とコメントしている。...
全部読む
12月9日付米国
『ウォール・ストリート・ジャーナル』は「税金の調査を受けているとするハンター・バイデン」との見出しで以下のように報道している。
次期大統領の息子ハンター・バイデンは9日声明で、デラウェアの検察当局の税務調査を受けていると発表。父が政権樹立を進める一方で、バイデンの金融取引に注目が集まっている。ハンター氏は、当件を「非常に深刻に受け止めており、専門的、客観的調査から、私が合法的に適切な納税をしていたことが証明されるだろう」等とコメントしている。同氏は8日顧問弁護士を通して最初に調査について知ったという。
情報筋によると、税金問題を含む刑事捜査は2018年に開始された。これはハンター・バイデンと彼のビジネス上の取引に限定され、他の家族やバイデン次期大統領は含まない。外国との疑わしい銀行取引に関する報道があったことも調査の理由の一部。
バイデン政権移行チームは、いつこの調査について知ったかに関してはコメントしていないが、同チームは、バイデン次期大統領は「ここ数ヶ月起きた個人への攻撃を含む困難の中、たくましく闘う息子を非常に誇りに思っている。」としている。
一か月先には就任式を控えており、調査が新政権にまで長引けば、新司法長官がこの調査を統括することになるが、今まさにその候補を決定しようという段階に入っており、情報筋に依れば、来週には決定される予定で、マサチューセッツ州のデヴァル・パトリック知事、サリー・イェーツ元司法長官、退任するダグ・ジョーンズ上院議員、メリック・ガーランド連邦判事が主力候補となっている。
一方、ハンター氏の調査はトランプが選挙キャンペーンで批判していたこととは関係ないという。トランプ氏は、ジョー・バイデンと家族が副大統領時代から金銭的恩恵を受けていたと主張してきた。50歳のハンター氏は2014 年~ 2019年ウクライナの天然ガス会社の役員や、中国の民間未公開株投資会社の取締役をしていた。トランプによるウクライナ政府に調査を申し入れは、弾劾裁判の焦点となっていた。選挙中には、ジョー・バイデン氏は不正行為を否定し、息子の外国との取引に関わりはないと主張してきた。
12月10日付米国『CNN』は「連邦検察がハンター・バイデンの中国事業を調査」との見出しで以下のように報道している。
選挙前には沈黙していた連邦当局がハンター・バイデンの事業調査を始めた。選挙が終了し、新たな段階に入っている。デラウェアの連邦検察が、内国歳入庁の犯罪調査局やFBIと協力し、召喚状で聴取を求めるなど、調査を行っているという。司法省のガイドラインでは、選挙に影響する大々的な活動は禁止されているという。
当局は複数の金銭問題、ハンターと関係者の中国を主とする海外との事業における脱税やマネーロンダリング等を精査しているという。事業の中には、防諜上の懸念のある取引も含まれる可能性があるという。
調査は中国とのつながりに焦点とするとみられており、9月に共和党が財政委員会と国土安全保障政府問題委員会で公表したインタビューや文書に幾つかは公けになっているものもある。少なくとも調査の一つは2017年、マイアミでの会合後、ハンターがCEFCの創業者の葉簡明(Ye Jianming)前会長から受け取った2.8カラットのダイヤモンドのギフトが調査対象となるとみられる。
2019年New Yorkerのインタビューでハンター氏は、(1万ドルの価値の)ダイヤは別のアソシエートに渡したと答えていたが、離婚手続きの際、妻側の弁護士には、ダイヤは受け取り、8万ドルの価値だったと述べていたという。
先週のCNNのインタビューで、ジョー・バイデン次期大統領は、司法省は政治に干渉されてはいけないと強調。「私が誰それを捜査せよと指示するつもりはない。私が任命する司法省職員は、捜査対象を独立して決められる人々となるだろう。」と述べている。
共和党内ではこの調査を受け、ハンター氏の中国での事業が父の利害相反だとの議論により拍車ががかるだろう。
トランプ氏も就任後、2016年の大統領選挙陣営で元ロシア大使との会合を行っていたジェフ・セッションズ元司法長官がロシア干渉疑惑捜査への関与を辞退したことで同様の問題に直面していた。
閉じる