欧州委員会(EC)は25日、新型コロナウィルスの危機からの教訓として、将来的にすべての患者が医薬品不足のリスクにさらされることなく、革新的で安全かつ手頃な価格の医薬品にアクセスできるようにするための「医薬品戦略」を発表した。
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『レゼコー』は、欧州で新型コロナウィルス感染が拡がった当初、病院や市民は、自由に使えるマスクや検査機器を持ち合わせていない現実を目のあたりにしたと報じている。マスクだけでなく、解熱鎮痛薬など一般の医薬品も中国やインドからの輸入がなければ手に入らないことが初めて認識された。
『ルフィガロ』によると、この「欧州の医薬品戦略」は、12月に加盟国によって議論される予定となっており、EC執行部が優先的に取り組んでいる「健康なヨーロッパ」プロジェクトの一環でもある。...
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『レゼコー』は、欧州で新型コロナウィルス感染が拡がった当初、病院や市民は、自由に使えるマスクや検査機器を持ち合わせていない現実を目のあたりにしたと報じている。マスクだけでなく、解熱鎮痛薬など一般の医薬品も中国やインドからの輸入がなければ手に入らないことが初めて認識された。
『ルフィガロ』によると、この「欧州の医薬品戦略」は、12月に加盟国によって議論される予定となっており、EC執行部が優先的に取り組んでいる「健康なヨーロッパ」プロジェクトの一環でもある。「健康なヨーロッパ」プロジェクトを通して、7年間で50億ユーロの予算を与えられた組織が、ワクチンや医薬品の共同購入、緊急時用の備蓄、生物医学研究機関の設立に取り組んでいくことになっている。
マルガリティス・シナスEC副委員長(欧州生活様式推進担当)は、新型コロナウィルスが「入手可能な医療データ、医薬品の供給、生産能力の面で、我々の限界を明確に示した。我々はこうした問題を二度と見たくない」と会見で語った。
国民の健康は依然として加盟国が各々取り組んでいく中、EUは医薬品生産における「戦略的自律性の構築」を目標としている。保健衛生担当委員のステラ・キリヤキデス氏は「我々はすでにサプライチェーンの弱点を明確に特定するための研究を開始しており、2022年にはEUの医薬品法の野心的な見直しを提案する 」と述べている。
具体的には、ECは、医薬品の購入や価格政策に関するEU加盟国間の協力を促進し、希少疾患や小児がんを含む研究開発を促進したいと考えている。また、EUでは毎年約33,000人が抗生物質耐性のために死亡しているため、抗菌剤耐性による代替品の研究も優先される。EUでは来年から、より良い協力関係を築くために、健康データを収容する「強固なデジタル・インフラ」を構築していく予定だという。
『レゼコー』は、欧州の「戦略的自治」による第三国依存度の低下が、必然的に欧州への投資や生産の「移転」を伴うのか、あるいは単純な「生産の分散化」や戦略的備蓄品の構築という形になるのかは、予測が難しいところであると報じている。
ECは、医薬品戦略は、医薬品の調達を確保することを目的としているだけでなく、「研究開発、臨床試験、販売許可、製造、ジェネリック医薬品や類似品の上市」を監督するものであると説明している。その目的は、EUの医薬品産業の競争力、生産能力、持続可能性を強化すると同時に、医薬品産業の環境への配慮を高めることにあるという。
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