国連貿易開発会議(UNCTAD)の試算によると、汚職、密輸、脱税などの犯罪行為が、アフリカに毎年約890億ドルの損失をもたらしている。これは、大陸が受ける公的な開発援助や外国からの直接投資に相当する金額である。
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『RFI』によると、UNCTADは28日、アフリカ大陸の資本逃避は890億ドル(約9兆3912億円)にのぼるという報告書を発表した。ただし、資本逃避は違法行為によるものであり、推定値にしか過ぎず、低めに推定していると述べている。
毎年アフリカ諸国で失われている890億ドルは、公式の開発援助と外国からの直接投資を合算すると、大陸が毎年受け取る額に相当する。15年間では推定約8,360億ドル(約88兆円)と、アフリカ諸国の対外債務を合計した額を上回る、膨大な金額となる。...
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『RFI』によると、UNCTADは28日、アフリカ大陸の資本逃避は890億ドル(約9兆3912億円)にのぼるという報告書を発表した。ただし、資本逃避は違法行為によるものであり、推定値にしか過ぎず、低めに推定していると述べている。
毎年アフリカ諸国で失われている890億ドルは、公式の開発援助と外国からの直接投資を合算すると、大陸が毎年受け取る額に相当する。15年間では推定約8,360億ドル(約88兆円)と、アフリカ諸国の対外債務を合計した額を上回る、膨大な金額となる。
UNCTADは、こうした資本逃避にはいくつかの経路があると報告している。金業界だけで資本流出の3分の2を占めると推定されており、税金を払わないために、金を申告せずに他国に売却する密輸や、輸出の過少請求などが行われている。
過小請求は特に、特定の国の有利な税制を利用して、その国で利益を申告し、活動を行っている国に損害を与える特定の多国籍企業が好む経路となっている。
仏『レゼコー』によると、毎年、アフリカ大陸GDPの3.7%に相当する額が不法に大陸から出て行っているという。
資本逃避は、原材料部門で最も大きい。UNCTADは、2015年の採取産業の輸出で、不法な資金流出により400億ドル(約4兆円)が失われたと試算している。この400億ドルのうち77%が金の供給プロセスが占めており、次いでダイヤモンド(12%)、プラチナ(6%)となっている。
もう一つの問題は、これらの不正な資金の流れに対する税収の損失が大きいことだ。2014年、UNCTADはタックス・ヘイヴンへの損失額を96億ドル(税収の2.5%)と試算している。
しかしアフリカのほとんどの国では、移転価格に関する国内規制が存在しないため、現地の司法当局は、多国籍企業の脱税に対抗するための必要な手段や方法を持てないでいる。
UNCTADは、国際的な税務協力と汚職対策によって解決していくことを提唱している。そのために国際社会は、発展途上国における税務・税関当局の能力構築に、より多くの資源を投入すべきだと述べている。
UNCTADは、断固とした行動がなければ、「アフリカは、現在の公的収入と開発援助で持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための大きな資金ギャップを埋めることができないだろう」と警告している。
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