2019年に初めて、太陽光、風力、バイオマスなど新世代の再生可能エネルギーが、世界の電力構成の中で原子力発電よりも比重が大きくなった。原子力産業は新型肺炎のパンデミックの影響を受ける中、停滞が続いている。
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『ルフィガロ』によると、2020年の「世界原子力産業現状報告書(WNISR)」は、2019年に再生可能エネルギーが世界の電力の10.39%を生産したのに対し、原子炉は10.35%だった報告している。
年次報告書は、2020年の第1四半期において、再生可能エネルギーの導入や生産は、原子力エネルギー部門よりもパンデミックの影響に耐えてきたとも指摘している。この間、再生可能エネルギーの生産量は約3%増加し、世界の生産量に占める再生可能エネルギーの相対的な割合は1.5ポイント増加した。...
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『ルフィガロ』によると、2020年の「世界原子力産業現状報告書(WNISR)」は、2019年に再生可能エネルギーが世界の電力の10.39%を生産したのに対し、原子炉は10.35%だった報告している。
年次報告書は、2020年の第1四半期において、再生可能エネルギーの導入や生産は、原子力エネルギー部門よりもパンデミックの影響に耐えてきたとも指摘している。この間、再生可能エネルギーの生産量は約3%増加し、世界の生産量に占める再生可能エネルギーの相対的な割合は1.5ポイント増加した。
この増加の主な要因は、「風力発電の割合が2ケタ増加したことと、前年度に設置された太陽光発電の生産量が急増したこと」だという。
一方、原子力発電所の生産量は、需要の減少や一部の地域で稼働している原子炉の数が減少したため、この間に「約3%」減少した。
『ロイター』によると、原子力発電の支持者は、低炭素電力として、各国が気候目標を達成するために不可欠であると述べているが、世界のいくつかの発電所が寿命を迎えつつあり、多くの新規発電所が遅れに直面しているという。
同報告書によると、2020年7月時点、31ヵ国で408基の原子炉が稼働しており、2019年半ばから9基減少している。2002年のピーク時の438基よりも30基減だ。
世界で建設中の52の新規プラントのうち、少なくとも33が予定より遅れており、2020年前半に稼働した新規プロジェクトは1つもないという。
報告書はまた、2019年の原子力発電所建設の投資決定額は約310億ドルで、風力や太陽光の約10分の1と報告しており、原発の新規プロジェクトは再生可能エネルギーとの競争の中で資金確保に苦労しているという。
特に今年は、新型肺炎のパンデミックにより、多くの国で外出禁止措置が取られ、経済活動が止まったことで電力需要が減少し、電力料金が低下するなど、原子力発電所の運営に打撃を与えている。
一部の地域では、電力消費量が数年とまではいかないまでも、数ヵ月の間はパンデミック前のレベルに戻る可能性は低く、原発事業者の財政に影響を与えていると報告書は述べている。
なお原子力の発電量は前年比3.7%増加しているが、その半分は中国の原子力発電所による生産量の19%以上の増加と連動しているという。
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