飲食店の注文だけでなく、日用品などもオンデマンドにデリバリーしてくれるスペインの新興企業「グロボ」。スペインの最高裁判所は23日、グロボが受注・配送管理するITツールを管理しているため、配送プラットフォームの配達員は自営業ではなく、従業員として見なされるべきだという判決を下した。
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『レゼコー』によると、グロボは、スケジュールや仕事量を自分たちで管理している配達員は「自営業」であると主張していたが、スペインの最高裁判所は、雇用主と従業員の関係であるという判決を下した。
最高裁判所は声明で、「グロボは、お店と配達員の間のサービス仲介者ではなく、集荷・宅配サービスを提供する会社であり、これらのサービスを提供するための必須条件を定めている」と述べている。そして、グロボが受注・配送管理に使用するコンピューターツールを管理していることや、グロボの「業務組織の一部として組み込まれながらサービスを提供している、独自の独立した組織を持たない配送員を使用している」点などを例示している。...
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『レゼコー』によると、グロボは、スケジュールや仕事量を自分たちで管理している配達員は「自営業」であると主張していたが、スペインの最高裁判所は、雇用主と従業員の関係であるという判決を下した。
最高裁判所は声明で、「グロボは、お店と配達員の間のサービス仲介者ではなく、集荷・宅配サービスを提供する会社であり、これらのサービスを提供するための必須条件を定めている」と述べている。そして、グロボが受注・配送管理に使用するコンピューターツールを管理していることや、グロボの「業務組織の一部として組み込まれながらサービスを提供している、独自の独立した組織を持たない配送員を使用している」点などを例示している。
労働組合や配達員からの苦情が増え続けている裁判所で前例となる判決が下され、「奴隷制と不法移民の搾取に終止符を打つ」ことを求める労働組合UGTは賞賛している。
労働組合や配達員らは、会社から課せられた労働リズムに依存させられているのに、自営業者であると自己申請させられ、社会保険料を自腹で支払うことを強要されていると、配送プラットフォーム側が搾取していると糾弾している。
スペインでは、2019年にバルセロナで交通事故の被害者となった配達員が死亡して以来、配達員の動員が活発化し、配達員組合は、配達員の不安定な状況を訴えていた。
その際組合は、プラットフォームのアルゴリズムが、デリバリー時間の正確さを改善し、最も収益性の高い時間帯や地域にアクセスできるよう、どのようにして配達率を加速させ、自己責任でより速く、より速く移動することを配達員に奨励していたかを実証することができた。
米『テッククランチ』は、人件費の全額がバランスシート上に載るとすると、「オンデマンド配信」モデルがどの程度の実行可能性があるのかということが問題になってくると報じている。
プラットフォーム企業が、荷物配送のために依存している何千人もの人間の雇用費を、法的に回避できないことは、市場におけるユニットエコノミックスを変えることになるだろうと指摘している。実際、すでに新興企業の一部は、人間の配達員をドローンやロボットに置き換えるためお研究開発を進めている。
グロボは先週、今年初めに中東から撤退した後、事業を欧州市場にさらに集中させるため、ドイツの競合相手Delivery Heroへの中南米事業の売却(2億7,200万ドル)を発表している。
2021年に収益性を達成することを目標にしているグロボだが、今回の判決で大量の配達員を従業員として扱うことになるとすれば、その目標達成は困難になることが予想される。最高裁の判決はグロボのビジネスに大きな影響を与える可能性がある。
今回の判決は、DeliverooやStuart、Uber Eatsなどの他の競合企業にとっても前例を作ることになる。
なお、欧州司法裁判所は昨年4月、配達員がサービスを拒否したり、競合企業で働く可能性があるため、プラットフォーム企業とは雇用主と従業員の関係ではないとする真逆の判決を下している。
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