米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)が医学雑誌「ランセット」に発表した研究によると、世界の人口は2064年に97億人に達した後、22世紀の始まりまでに88億人に減少する可能性があるという。特にアジアやヨーロッパで人口が減少すると予測されている。
『ルモンド』によると、米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)の研究チームは、今後女性の避妊や教育機会が高まることによって、世界的に初産の平均年齢が上昇し、世界全体で出生率が下がると予測している。
この調査は、国連(UN)が2年ごとに発表している世界人口予測とは異なる見通しを提案している。2019年に国連が発表した世界人口の予測は、2100年の今世紀末には108億人に達し、今世紀中に減少することは予想されていない。...
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『ルモンド』によると、米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)の研究チームは、今後女性の避妊や教育機会が高まることによって、世界的に初産の平均年齢が上昇し、世界全体で出生率が下がると予測している。
この調査は、国連(UN)が2年ごとに発表している世界人口予測とは異なる見通しを提案している。2019年に国連が発表した世界人口の予測は、2100年の今世紀末には108億人に達し、今世紀中に減少することは予想されていない。
こうした予測の違いは、基にしている資料の違いが理由となっている。国連の専門家らは、死亡率、出生率、移住に関する過去の統計を基に、長期的な見通しを予測している。
一方、IHMEの研究チームは、疾病により失われた生命や生活の質の総合計である「疾病負荷(GBD)」を研究しているチームであり、教育と健康における政治的決定が出生率や移住に影響を与える可能性を考慮に入れた上でGBDデータを基に見通しを立てた。
『ルフィガロ』によると、今回の調査は、女性の教育や避妊の機会が増えることで、今日の出生率2.37が2100年には1.66に低下すると予測している。これは国連の予測よりもはるかに速いスピードでの出生率の低下を予測していることになる。今回、調査対象となった195ヵ国のうち183ヵ国で、移民に頼ることなく人口を維持するために必要な出生率2.1を下回ることになる。
しかし、死亡率や移住も含む人口の推移は、地域や国によって異なると研究者たちは述べており、国家の力は必ずしも人口のサイズだけで決定されるわけではないものの、経済的、地政学的な力関係が再配分される可能性が予想できるという。
例えば、現在14億人の中国の国民は2100年には7億3000万人と、約半数近くに減少する可能性があり、労働力人口の減少により経済成長が妨げられることが推測できる。
中国以外のアジアの国々やヨーロッパ諸国でも、人口の減少が予測されている。現在人口1億2800万人の日本人は6000万人に、7100万人のタイ人は3500万人に、4600万人のスペイン人は2300万人に、6100万人のイタリア人は3100万人に、1000万人のポルトガル人は450万人に、そして5300万人の韓国人は2700万人に減少すると予測されている。なお、世界の中で23の国が、人口が半減すると見られている。
対照的に、サハラ以南のアフリカ諸国では、10億人から30億人へと、人口が3倍に増えると見られている。特にナイジェリアは、現在約3億人の人口が約8億人までに増加すると予測されており、2100年にはインドに次いで世界で2番目に人口の多い国になるという。
今後、労働力人口が減少する代わりに、80代以上が現在の1億4000万人から8億6600万人と、約6倍に増える世界では「現在の社会保障制度と医療サービスの構造を見直す」必要があると、IHME所長のクリストファー・マレー氏は指摘している。
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