米中両国は、貿易紛争に始まり、直近では新型コロナウィルス感染問題に関わる応酬と、対立が激化するばかりである。そうした中、今度は核兵器削減に関わる協議についても、双方の要求はすれ違っている。
7月10日付米
『AP通信』:「中国、米国との軍縮協議参加を拒絶」
中国外交部(省に相当)の趙立堅(チャオ・リーチアン)報道官は7月10日の定例会見で、米国から申し入れがあった米ロ間核兵器削減協議への参加を拒絶すると表明した。
同報道官の説明では、“米国の態度は真剣でもなければ誠実でもない”とし、“何故なら(中国へのはたらき掛けの前に)ロシア側から提案されている新戦略兵器削減条約(New START、注後記)延長の話についてまず真摯に対応することが先決だが、それに一切応えていないから”だという。...
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7月10日付米
『AP通信』:「中国、米国との軍縮協議参加を拒絶」
中国外交部(省に相当)の趙立堅(チャオ・リーチアン)報道官は7月10日の定例会見で、米国から申し入れがあった米ロ間核兵器削減協議への参加を拒絶すると表明した。
同報道官の説明では、“米国の態度は真剣でもなければ誠実でもない”とし、“何故なら(中国へのはたらき掛けの前に)ロシア側から提案されている新戦略兵器削減条約(New START、注後記)延長の話についてまず真摯に対応することが先決だが、それに一切応えていないから”だという。
New STARTは米ロ間で締結されている核兵器削減協定であるが、ドナルド・トランプ大統領はかねてより、米ロに続く核兵器保有国である中国の同協定への参加を呼び掛けてきた。
なお、趙報道官は、“米国がロシアとの同条約延長に合意した上で、他の核兵器保有国を招き入れる条件作り等を行うというのであれば、中国は門戸を開放しておく”と言及している。
同日付ロシア『タス通信』:「中国、米国がNew STARTに招き入れようとする背景には政治的捏造があると非難」
中国外交部の趙報道官は、“米国が米ロ間New STARTに中国を招き入れようとしているが、そこには政治的欺瞞や捏造がある”と非難した。
“何故なら、米国はロシア側が提案している同条約延長交渉に臨もうとせず、一方的に中国の参加をこの交渉条件に仕立て上げようとしているから”だと強調した。
なお、同部軍縮担当の傅聰(フー・ツォン)主任は7月8日、“米国は中国が保有する核弾頭の20倍も所有しているが、これを中国並みまで削減した上であるならば、中国は米ロが主導する核兵器削減協議に参加してもよいと考えている”と表明している。
(注)New START:2011年2月に米国とロシア連邦の間で発効した核兵器の軍縮条約で有効期限は2021年2月。1994年12月に発効し、期限延長されないまま2009年12月に失効した第一次戦略兵器削減条約(START)に代わるもの。戦略核弾頭(大型兵器)は1,550発を、大陸間弾道ミサイル・潜水艦発射弾道ミサイルの保有数は800基、そしてその配備数は700基を上限とする等が取り決められている。なお、両国の合意によって更に5年間の延長が可能。
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