既報どおり、中国人民解放軍(PLA)は新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行の影響は微塵も受けていないと強調するべく、周辺海域での活動をむしろ活発化させている。そしてこの程、PLAが今週、南シナ海のパラセル(西沙)諸島海域で5日間にわたり軍事演習を挙行することに対して、米国防総省が強い非難声明を発信した。また、中国との領有権問題を抱えるフィリピン・ベトナム両政府も、それぞれ抗議する声明を発表している。
7月3日付
『ロイター通信』:「米国防総省、領有権争いのある南シナ海で軍事演習を強行する中国軍を非難」
米国防総省は7月2日、PLAが今週、南シナ海において軍事演習を実施することに対して、領有権争いのある同海域の安全保障を益々不安定化させるとして厳しく非難する声明を発表した。
同声明では、“軍事演習を強行することで、領有権争いのある南シナ海の緊張を緩和し、安定化に繋げようとする努力を踏みにじる”と強調されている。...
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7月3日付
『ロイター通信』:「米国防総省、領有権争いのある南シナ海で軍事演習を強行する中国軍を非難」
米国防総省は7月2日、PLAが今週、南シナ海において軍事演習を実施することに対して、領有権争いのある同海域の安全保障を益々不安定化させるとして厳しく非難する声明を発表した。
同声明では、“軍事演習を強行することで、領有権争いのある南シナ海の緊張を緩和し、安定化に繋げようとする努力を踏みにじる”と強調されている。
中国は先週、7月1日から5日間にわたって、南シナ海のパラセル諸島周辺海域で軍事演習を実施すると発表していた。
同海域では、中国とベトナムが領有権で対峙している。
国防総省は声明で、“軍事力の誇示は、南シナ海周辺国の東南アジア諸国に対して、違法な海洋権主張を押し付けるためのものでしかない”とも言及している。
同日付『ラジオ・フリー・アジア』(1996年設立、米議会出資の短波放送局):「フィリピンとベトナム、中国による南シナ海軍事演習に抗議」
フィリピン及びベトナム両政府は7月2日、中国軍による南シナ海の軍事演習は同海域の緊張を高めるだけだと非難した。
フィリピンのデルフィン・ロレンザーナ国防相は、“パラセル諸島海域で7月1日から始められたPLA海軍の軍事演習は、非常に挑発的”だと強調した。
ベトナム外務省も、“ベトナム主権を脅かすもの”だと批判した。
中国国営メディアによると、7月1~5日の間、(軍事演習が行われる)海域での通航が禁止されるといい、海南省(ハイナン)海事局も6月27日付で同様の通知を発信している。
フィリピンは、パラセル諸島海域では領有権問題に関わっていないが、西フィリピン海、すなわちスプラトリー(南沙)諸島海域でも“警鐘が鳴らされる”として警戒を強めている。
同国防相は、“中国は自国の排他的経済水域(EEZ)内で当該軍事演習を行えば済むことなのに、領有権争いのある海域で演習を行うことは、それこそ無用な挑発”だと言及した。
なお、同国防相によれば、2019年8月から2020年初めの間、同海域で中国軍艦、商船、また武装漁船によって自国漁船等に対する嫌がらせ行為が20件近く報告されているとする。
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