イスラエルで行われた調査によると、イスラエルの小規模新興企業の約65%が、新型コロナウイルスによる経済活動の低下が続く場合、企業活動が半年も持たないと回答したことが分かった。イスラエルのテクノロジー産業界は、危機感を強めておりコロナウイルス対策によって起こる経済減速を乗り越えるための更なる政府支援を求めている。
『ルフィガロ』によると、イスラエル国内での産業R&Dの開発促進を担当する、国の機関イスラエル・イノベーション・オーソリティが、今後の企業活動の見通しについてテクノロジー企業対象に調査を実施した。その結果、政府による経済活動の再開措置にもかかわらず、一部の新興企業の士気は横ばいとなっており、1から10人の従業員を抱えているハイテク新興企業の65%が「6ヵ月を超えて業務を維持するのに十分なリソースがない」と考えていることが分かった。
先端技術産業の企業や個人のネットワーク機関であるIATI (Israel Advanced Technology Industries)で代表を務めるカリン・メイヤー・ルビンスタイン氏は、「この調査の結果は、起業したばかりの多くのテクノロジー企業が破産に直面しており、政府から十分な支援を受けていないことを示している」と述べている。
また、緊急経済支援策としてすでに先端技術産業には12億シェケル(約375億円)の支援策が施されたが、それは「十分ではなく」 新しい公共投資がなければ、ハイテク部門が「崩壊する可能性があり、それが経済全体に影響を与える」とも述べた。
『エルサレムポスト』によると、調査に参加した414社のうち、4分の1は社員を一部解雇し、半数は社員の給与を下げたという。また、売上を上げている企業の63%は、25%の売り上げ減少を体験しているという。
現在の状態が続く場合、会社の運営をどれだけ長く維持できるかという問いに対し、調査対象企業の3.4%は1ヵ月以内に、21.3%は3ヵ月以内に倒産に直面するだろうと回答している。また、約3分の1(29.6%)は現在の状況が続いた場合、4から6ヵ月間は維持できるだろうと回答しており、4分の1(25.4%)は7から12ヵ月間持ちこたえることができると回答した。
調査対象企業の5分の1はより楽観的な見通しを持ち、現在の状況が1年以上続いた場合でも操業を続けることができると回答した。
ただし、最も楽観的な企業の多くは社員50人以上の規模の大きい企業が占めており、40%近くが1年以上の継続ができるだろうと回答している。それに対し、社員10人以下の小規模企業では同じような楽観的見通しを報告したのは、約15%に止まった。
IATIのルビンスタイン代表は、「イノベーション産業はイスラエル経済の成長の原動力であり、政府の支援をほとんど受けることなく、イスラエル経済をかつてないほどの成長と繁栄へと後押ししてきた」と語った。「今後予想される景気後退に対して業界の安定化を図れるよう、政府は、今回の危機で苦しんでいる業界の問題だけでなく、その後予想される問題に対し、包括的かつ即時的に対応しなければならない。」と指摘している。
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