新型コロナウィルス(COVID-19)世界感染は、感染者581万3,997人、死者36万397人(致死率6.2%)と流行の勢いは止まらず、一日も早い治療薬及びワクチン開発が待たれる(米ジョンズ・ホプキンス大学集計5月29日14時半現在のデータ引用)。
5月29日付
『AP通信』、
『ブルームバーグ』他:「COVID-19感染流行問題に関わる直近の状況」
<注目ニュース>
●米国;失業者が4,100万人、失業率は4月の14.7%から5月には20%近くに更に跳ね上がる見込み。
●英国;毎週木曜夜に医療従事者への拍手で感謝を表す運動、最初の提案者が“政治利用”されつつあるとして取り止め宣言。
●ロシア;モスクワ保健局が、依然COVID-19致死率が他国に比べて極端に低いと発表するも、公表データより、同市の死者数636人に含まれていない925人は、COVID-19関連死であること明らか。
●フランス;4月の失業率が22%へ急上昇。
●インド;最高裁が、失職した出稼ぎ労働者の帰郷のため、電車・バス賃補助するのは政府の義務と裁定。
●南アフリカ;6月1日、アルコール売買解禁及び教会再開。
<米国>(感染者172万1,750人、死者10万1,617人、致死率5.9%)
・米労働省の公表データによると、3月中旬から突入した都市封鎖措置によって失業した労働者が4,100万人に上る。
・4月の失業率は14.7%と、1930年代の世界恐慌以来の高い数値となっているが、5月は更に20%近くまで跳ね上がる見込み。
<英国>(感染者27万508人、死者3万7,919人、致死率14%)
・ロンドン市民のアンネマリー・プラス氏(36歳女性)の提唱で、3月末から毎週木曜の夜の決まった時間に、バルコニー、玄関、歩道等で一斉に医療従事者への感謝の拍手を行う運動が定着。
・しかし、同氏はこの程、5月28日を以て取り止めることを提言。理由は、拍手の際にソーシャルディスタンスが守られていない、政府による医療従事者宛の防護具等の供給不足の責任回避に繋がる等の批判の声が上がっていること。
・そこで同氏は、善意や誠意から始まった運動が“政治利用”されるのを好まず、今後は、COVID-19感染収束以降、例えば、毎年3月最終木曜日に行う、COVID-19や医療従事者への感謝を忘れないための行事にすることを希望。
・ボリス・ジョンソン首相の主席外交顧問ドミニク・カミングス氏は、外出自粛規制を顧みず、3月下旬に400キロメートル離れた、ノースイースト・イングランド地方の実家まで帰省したことから、解任すべきとの批判の声。しかし、同首相は同氏の止むを得ない事情を理解し、擁護。
・また、地元ダラム市警も5月28日、“一部、外出自粛規制に違反する点が認められるが、訴追はせず”と発表。
<ロシア>(感染者37万9,051人、死者4,142人、致死率1.1%)
・モスクワ市保健局は5月28日、4月のCOVID-19に関わる致死率は、統計の取り方によって上下するが、1.4~2.8%の範囲に収まっていると発表。いずれにしても、英国、米国他の国々の致死率に比して極端に低い。
・ただ、データ詳細より、同市におけるCOVID-19による死者636人という公表値の他、756人が陽性だったが死因は別、また、169人が陰性だったが死因はCOVID-19による症状と区分け。
・内外の専門家からは、モスクワ市以外でも同様の措置が認められ、政治的意味合いから死者数が過少申告されていると非難の声。
・一方、モスクワ市は5月28日、感染流行度合が収まりつつあることから、6月1日より散歩解禁。但し、予め住所・散歩ルート・散歩の時間の登録が条件。
<フランス>(感染者18万6,364人、死者2万8,665人、致死率15.4%)
・4月の失業率は22%に急上昇し、更に、84万3千人以上が新たに加わる見込み。
・但し、一時帰休手当を受けている800万人は、徐々に職場復帰しつつあるので、上記失業率に含めず。
<世界保健機関(WHO)>
・WHO欧州事務所のハンス・クルージ所長は、“欧州各国には、今こそ国民の命あってこその経済活動であり、保健衛生、医療従事関係への資金拠出が重要であることを認識して欲しい”と強調。
・同所長は、国の特定はしなかったが、2008年の世界金融危機以降、保健衛生に関わる社会資本を大幅に削減してしまったことが、今回のCOVID-19感染流行、甚大な死者数の遠因だと付言。
<インド>(感染者16万5,799人、死者4,711人、致死率2.8%)
・最高裁は5月28日、都市封鎖措置で失職した出稼ぎ労働者が一時帰省するための電車・バス賃補助、また水・食糧を与えることは政府の義務であると裁定。
・飢えた出稼ぎ労働者が、鉄道駅や高速道路上の屋台を襲う事件のニュースが連日テレビ放映。
・特に今週、気温が華氏113度(摂氏45度)まで上昇した日に、数人の出稼ぎ労働者が死亡。
・なお、政府は3月25日より、都市封鎖措置の一環で、鉄道・バス等公共交通機関の運行も停止。
<南アフリカ>(感染者2万7,403人、死者577人、致死率2.1%)
・政府は5月28日、6月1日よりアルコール売買の解禁、及び教会の再開を発表。
・3月27日より実施の都市封鎖措置の一環での禁止措置であるが、購入可能なのは月~木曜日の4日間だけ、バー等は引き続き閉鎖で、自宅での飲酒のみ許可。
・また、教会も50人までの礼拝受け入れを許可。但し、司教も礼拝者もマスク着用義務、及びソーシャルディスタンスを保つことが条件。
<タイ>(感染者3,076人、死者57人、致死率1.9%)
・世界各国で採用されている渡航禁止措置に伴い、観光立国のタイは大打撃。
・観光業従事者だけで、全体390万人の64%に当たる250万人が失業。
・都市封鎖措置によって、その他産業の労働者も、全体590万人の25%相当の150万人が解雇。
・更に、その他サービス産業の労働者も、全体1,030万人の43%に当たる440万人が失業。特に小売業の影響大。
<中国>(感染者8万2,995人、死者4,634人、致死率5.6%)
・5月29日も、新たな感染者、死者ともゼロ。
・入院患者は70人に留まり、陽性のために一時隔離されている人数も414人と低数値。
<韓国>(感染者1万1,402人、死者269人、致死率2.4%)
・5月29日、ソウル近郊の倉庫で新たに58人の感染者発生。5月28日は82人と、直近3日間で177人の集団感染事態。
・丁世均(チョン・セキョン)首相は、電子商取引事業会社の同倉庫における労働環境等の調査を命令し、感染拡大防止を指示。
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