新型コロナウィルス感染の世界的流行(パンデミック)は益々勢いを増し、3月31日現在、世界178ヵ国に及び、感染者80万49人、死者3万8,714人に達している(米ジョンズ・ホプキンス大学内研究機関集計データ引用)。そこで米メディアが、世界各国及び国際団体の直近の対応についてまとめて報道している。
3月31日付
『AP通信』:「新型コロナウィルス感染流行問題に対する直近の対応」
<特記事項>
●世界保健機関(WHO)、アジアや太平洋地域はまだ“感染鎮静化には遥かに遠い”状況だと警鐘。
●日本政府、これまでの中国・韓国に加えて、新たに米国・英国含めた49ヵ国への渡航中止を勧告。
●韓国、イタリア在住の韓国市民のために特別機手配。
●著名スペイン人オペラ歌手プラシド・ドミンゴ氏(79歳、世界三大テノールのひとり)、新型コロナウィルス感染が判明し自宅隔離。
<WHO>
WHO西太平洋地域事務局長の葛西健医学博士(54歳)は、新型コロナウィルス感染流行が中国から欧州や北米に移ったとみられているが、“未知のウィルスとの戦いは長期化が必至とみられ、アジア各国も決して油断してはならない”とした上で、“大規模な移動規制が必要となる場合に備えておくべき”だと強調した。
<日本>(感染者2,665人、死者67人;クルーズ船“ダイアモンドプリンセス号”乗船者含む)
外務省は3月31日、これまでの中国・韓国に加えて、新型コロナウィルス感染流行問題が深刻化している米国・カナダ・英国等を含めた49ヵ国への渡航中止勧告を出した。
更に同省は、当該国からの帰国、あるいは訪問者に対して、到着後の検疫、更には14日間の隔離措置に従うよう求めている。
<韓国>(感染者9,786人、死者162人)
●韓国政府は3月31日、イタリア在住の500人余りの韓国市民救済のため、特別機2機を送ると発表した。ただ、帰国後、規則によって検疫の上で14日間の隔離が求められるとした。
●同国疾病予防管理センターは、同国の感染者9,786のうち、少なくとも518人は、直近3週間内に海外から帰国した人たちだとしている。
●丁世均(チュン・セキュン、69歳)首相は3月31日、学校閉鎖が続いている生徒に対するオンライン授業提供を4月9日から開始する意向を表明した。
元々新学期は1月27日開始となっていたが、新型コロナウィルス感染流行問題によって4月6日まで延期されたが、これが更に延びる状況になっている。
<メキシコ>(感染者1,094人、死者28人)
●オペラ歌手プラシド・ドミンゴ氏は3月30日、自身及び家族の新型コロナウィルス感染が判明したことから、自宅で自主隔離しているが、回復に向かっていると発表した。
報道によれば、3月22日に感染が確認されて入院していた。
●メキシコ政府は3月30日、“不要不急の行動”を慎む指示を強化するとともに、50人以上の集会等を禁ずると発表した。この措置は3月30日から4月30日まで適用される。
<中国>(感染者8万1,518人、死者3,305人)
●中国政府は3月31日、新たな感染者が48人、死者が1人としたがいずれも海外からの帰国者だと発表した。
●武漢(ウーハン)及び湖北省(フーペイ)内のその他都市で、新たな感染者は発生していないことから、間もなくそれらの都市の封鎖が解除されるとしている。
<米国>(感染者16万1,807人、死者2,978人)
●ワシントンD.C.は3月30日、新たな感染者が94人出て総感染者が495人、死者が9人となったことを受けて、近隣のメリーランド州、バージニア州と連携して、非常事態宣言を出して、全校閉鎖並びに必要性の低い事業の停止を発令した。
●国防総省のマーク・エスパー長官は、感染が確認されて3月21日から入院していたニュージャージー州兵が3月28日に死去したと発表した。同省では初の犠牲者である。
●ドナルド・トランプ大統領は、目下国内での人工呼吸器の生産を倍増させているので、近々イタリア、フランス、スペイン等感染拡大が深刻な欧州諸国に必要な数を送付できると表明した。3月30日にイタリアのジュゼッペ・コンテ首相と電話会談し、1億ドル(約108億円)相当の医療品を送ると伝えたとも言及した。
●ナンシー・ペロシ下院議長(カリフォルニア州選出民主党議員)は、ウィルス禍対策の費用や景気刺激策に関わる4つ目の法案が準備され次第、可及的速やかに承認する手続きに入ると表明した。
●米下院は3月27日、2兆2千億ドル(約237兆6千億円)の大規模経済支援策を承認した後に閉会したが、早ければ4月20日には再開される。
<カナダ>(感染者7,398人、死者80人)
エアーカナダは3月30日、ウィルス禍による航空便激減のため、1万5千人余りの労働組合所属の従業員を4、5月の2ヵ月間一時解雇すると発表した。
同社は更に、国際便及び米国就航便の85~90%を減便せざるを得ないとも付言している。
<豪州>(感染者4,550人、死者17人)
ビクトリア州政府は3月31日、クイーンズランド州、西オーストラリア州に続いて、州内での銃器・弾薬の販売を規制すると発表した。
同州のリサ・ネビル警察相(55歳)は、先週の銃器購入申請が2,200件と前週の1,000件から倍増していることを上げ、新型コロナウィルス感染流行問題にかこつけた状況を懸念していると説明している。
<コロンビア>(感染者905人、死者12人)
左翼系反政府武装組織の民族解放軍(ELN)は、“ウィルス禍の国難に対応するため、4月1日を以て一方的に停戦する”と宣言した。
停戦を強く求めていた国連のアントニオ・グテーレス事務総長(70歳、ポルトガル元首相)は、この事態を歓迎した。
<国連>
●安全保障理事会は3月30日、テレビ電話会議を実施した上で、史上初めてメールによる投票によって、4つの決議を採択した。
採択された決議は、アフリカ・スーダン西部のダルフール紛争地域への国連軍の駐留を5月末まで、ソマリアでの監視隊の駐留を6月末まで、並びに対北朝鮮制裁の履行を監視する専門家委員会の任務を2021年4月30日までそれぞれ延長すること、及び国連平和維持軍派遣についての重要性を再確認することである。
●マーク・ローコック副事務総長(57歳、人権問題担当責任者)は安保理において、政治不安、医療体制が脆弱なシリアで感染者10人、死者1人が報告されたとして、“状況を注視し、必要な支援を可及的速やかに行うよう求めたい”と訴えた。
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