新型コロナウィルス感染問題に絡み、米側が“武漢ウィルス”と強調して中国側の責任を追及すれば、中国側は米軍が持ち込んだ疑いがあると反論して、米中間の中傷合戦が止まらない。そうした中、米保健医療専門家が、今日の医薬品・医療用品等ほとんどが中国企業の生産・供給に委ねられているとの現実を直視して、この機会に中国による独占体制を切り崩す等の抜本的見直しが必要だと警告している。
3月26日付
『アメリカン・シンカー』誌(2003年創刊の保守系時事ニュース):「今こそ中国の医療品等供給独占を打破するとき」
米NPO法人ヘイスティング・センター(1969年設立の医療等生命倫理に関わる調査研究センター)顧問のローズマリー・ギブソン氏は、ニュースキャスターのシェリル・アトキンソン氏のインタビューに答えて、“例えば福島原発事故級の事態が発生したり、南シナ海が封鎖されるようなことになった場合、更には、感染症の世界的流行が発生した場合、抗生物質を作るための原材料が、中国の一部の企業に独占されていることに脅威を覚えるだろう”と語った。...
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3月26日付
『アメリカン・シンカー』誌(2003年創刊の保守系時事ニュース):「今こそ中国の医療品等供給独占を打破するとき」
米NPO法人ヘイスティング・センター(1969年設立の医療等生命倫理に関わる調査研究センター)顧問のローズマリー・ギブソン氏は、ニュースキャスターのシェリル・アトキンソン氏のインタビューに答えて、“例えば福島原発事故級の事態が発生したり、南シナ海が封鎖されるようなことになった場合、更には、感染症の世界的流行が発生した場合、抗生物質を作るための原材料が、中国の一部の企業に独占されていることに脅威を覚えるだろう”と語った。
ギブソン氏は国家医療保険制度に関わる顧問もしていた専門家で、2018年に発刊した「中国に関わる処方箋;米国が医薬品を中国に頼るリスク」(ジャナード・プラサド・シン氏との共著)の中で、米国が中国製医薬品等に頼らざるを得なくなっている深刻な状況について次のように詳述している。
・世界中に行き渡っている処方箋が必要な医薬品、通常の薬品、ビタミン剤、その他サプリメント(栄養補助食品)生成のために必要な原材料のほとんどは、中国企業の独占供給下にある。
・この背景には、中国共産党が国を挙げて、かかる原材料の供給網を牛耳るとの政策があった。
・例えば、抗生物質のペニシリンは、感染症に対する有効な治療薬として長い歴史があるが、2004年頃、中国企業の安値攻勢に負けて米企業は倒産に追い込まれた。そしてすぐさま、中国企業による高値販売が開始されたが、競争相手がおらず食い止めようがない。
・また、中国国営製薬企業群が、世界中の抗生物質、鎮痛薬、酵素、アミノ酸等の製薬会社を次々に買収して傘下に治めている。
・製薬業界のデータによると、今や中国は、世界のペニシリンの70%、アスピリン(消炎鎮痛剤)の50%、アセトアミノフェン(解熱鎮痛剤)の35%ものシェアを独占している。
以上は、単純な薬品に関わる惨憺たる状況であるが、果たして、もっと高価で貴重な心臓疾患やガン治療薬の供給体制はどうなっているのか、米議会はもっと注視する必要があろう。
なお、米議会内にも危機感を持つ議員はいるようで、マルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出共和党員)は3月12日、上院中小企業・起業家委員会の席上、同委員会委員長の立場から、“現下の新型コロナウィルス感染問題に鑑み、米国において必要な医薬品、医療用品の供給に異常を来しているのは、過去二十数年間に米産業界の空洞化、生産・供給元の海外移転が起こっていたことに問題がある”と強調した。
更に同議員は、“医療用マスク、防護服、処方箋が必要な医薬品等の供給先として、中国に頼らざるを得ないという状況は、国家安全保障にもつながる米国民の健康や経済が中国の掌中にあることを意味し、全く許し難い問題だ”とも付言している。
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