中国発の新型コロナウィルスは、武漢市海鮮市場で売られていた食用の野生動物(コウモリかヘビ)が感染源と言われる。ことほど然様に、中国、特に南部では野味(野生動物を食べる習慣)が根強い。そこで、新たな問題になっているのが、絶滅危惧種に指定されているフロリダ州原産カメが、密かに乱獲されて密輸されていることである。更に、中国都市部の住民も、経済成長に伴って収入が増えることで、珍種のカメをペットとして高額で売買し始めていることで、フロリダ州原産カメは益々危機に瀕している。
2月22日付
『USAトゥデイ』紙:「フロリダ州当局、同州原産カメ保護のため取り締まり強化」
フロリダ州魚類・野生動物保護委員会(FWC、1999年設立の同州政府系機関)は、国際社会からの需要があるとして、淡水及び陸生の爬虫類、特に同州原産カメの密輸取引の取り締まりを強化する意向である。
同州では、2009年に野生のカメを商売目的で捕獲すること及び売却することが禁止されたが、違法行為が後を絶たないという。...
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2月22日付
『USAトゥデイ』紙:「フロリダ州当局、同州原産カメ保護のため取り締まり強化」
フロリダ州魚類・野生動物保護委員会(FWC、1999年設立の同州政府系機関)は、国際社会からの需要があるとして、淡水及び陸生の爬虫類、特に同州原産カメの密輸取引の取り締まりを強化する意向である。
同州では、2009年に野生のカメを商売目的で捕獲すること及び売却することが禁止されたが、違法行為が後を絶たないという。
秘密捜査の結果摘発された密輸行為では、数千匹の違法捕獲カメが数十万ドル(数千万円)で取引されている。
FWC法執行部門のカーティス・ブラウン局長は2月20日、ある希少種のカメは“金より価値がある”として、“世界から高値で取引される”ようになっており、取り締まり強化が必須であると語った。
同局長は、“フロリダ州に特に希少種が多く生息”していることから、それらを狙う“違法捕獲者”に対する取り締まりを徹底すると付言した。
フロリダ州には23種類の陸生及び淡水で生息するカメが、その中でも、フロリダハコガメ(注後記)、キスイガメ、ドロガメ、ミシシッピニオイガメ、スッポン、カミツキガメが引く手数多となっている。
特に珍種のスッポンやカミツキガメは、アジア市場で食用として取引されており、フロリダハコガメなどはペットして人気がある。
ブラウン局長によれば、密猟者はフロリダハコガメなどを捕獲して1匹300ドル(約3万3千円)」で捌いているが、上海近くの贅沢品オークション市場では、フロリダハコガメが最大1万ドル(約110万円)の根を付けたという。
2016年から2019年にかけて、米国から650万匹の生きたカメが輸出されているが、そのうちフロリダ州からは52万1,700匹が取引されている。
同局長は更に、2016年のマッキンゼー&カンパニー(1926年設立の米大手コンサルタント会社)調査報告によると、中国の都市生活者の76%が2022年までに中流階級になるとされており、従って、カメに対する需要も“ほとんど確実に”増加するとみている。
すなわち、希少種のカメが高値取引される“切手収集”のように扱われるようになると懸念している。
(注)フロリダハコガメ:北米原産のカロリナハコガメ6亜種のうちのひとつで、最も希少価値があり、成長しても12~15センチメートルと小さい。ワシントン条約(1975年発効の野生動物保護のための国際条約)において、1995年に絶滅危惧種に指定されている。
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