米政府は18日、中国の主要国営メディア5社を大使館などと同様に外国機関に分類し、規制を強化すると発表した。事実上、中国共産党の宣伝組織として活動していると認定し、職員名簿の提出や米国内で保有・賃貸する不動産の登録などを義務付ける。
『ロイター通信』や
『AFP通信』などによると、米国務省は18日、中国国営の新華社通信、外国語放送の中国国際電視台(CGTN)、ラジオ部門の中国国際放送局(CRI)、共産党機関紙の人民日報と英字紙チャイナデイリーの5社に、規制強化の方針を伝えた。
国務省は5社の米国拠点に対し、米国内にある各国大使館や総領事館などの外国公館と同様に、米国で活動する全従業員を対象とした職員名簿や雇用・解雇などの状況を開示するとともに、米国内で保有・賃貸する不動産を届け出るよう求めた。...
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『ロイター通信』や
『AFP通信』などによると、米国務省は18日、中国国営の新華社通信、外国語放送の中国国際電視台(CGTN)、ラジオ部門の中国国際放送局(CRI)、共産党機関紙の人民日報と英字紙チャイナデイリーの5社に、規制強化の方針を伝えた。
国務省は5社の米国拠点に対し、米国内にある各国大使館や総領事館などの外国公館と同様に、米国で活動する全従業員を対象とした職員名簿や雇用・解雇などの状況を開示するとともに、米国内で保有・賃貸する不動産を届け出るよう求めた。職員名簿については、米国籍の職員も対象としている。
5社はまた、米国で新たに不動産の購入や賃借をする場合には、事前に承認を受けなければならない。米国内での中国メディアの報道活動自体については、一切規制が設けられなかったが、これらの措置は中国政府の反発を招きそうだ。
国務省高官らは、規制強化は貿易摩擦などの最近の米中間の緊張とは関係なく、以前から検討されていたと説明した。決定の背景には、中国政府がメディアへの統制を強めていることや、習近平氏が2013年に国家主席に就任して以降、政府のプロパガンダを行うためにメディアを積極的に使う傾向が強まっていることなどがあると指摘している。習体制になってから、報道内容と編集権限の両方に対する統制が強化されているという。
中国は、米国内で英語メディアへの投資を加速しており、現地職員を雇用して頻繁に専門的な記事を書かせているが、微妙な話題を避けるため内容に手を加えることもあり、日常の話題の間に、ウイグル人の人権問題や香港の民主派デモなどに関する中国政府の主張を盛り込むこともあるという。チャイナデイリーの米国での投資額は、2009年前半の50万ドル(約5500万円)から19年後半には500万ドル(約5億5000万円)に膨らんだ。
米政府による海外メディアなどに対する規制については、批判も出ている。ジャーナリストの権利を守り、世界各国の言論弾圧を監視する非営利団体のジャーナリスト保護委員会(CPJ)は、米政府はどの報道機関が宣伝活動を行っているかを決めつけるべきではないと主張し、懸念を表明した。
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