中国の中央銀行は15日、新型コロナウイルス感染拡大防止のための取り組みの一環として、紙幣を消毒する措置を取る方針を発表した。同中央銀行は、現金使用の際の安全性と衛生を確保する必要性を強調している。
『AFP通信』や
『ブルームバーグ』などのメディアの報道によると、中国人民銀行(中央銀行)の范一飛(Fan Yifei)副総裁が、記者会見で同方針を明らかにした。各銀行は、回収した紙幣を紫外線または高温で消毒・密封し、地域の感染の流行度に応じ、7~14日間保管した後、再流通させる手続きを取るという。
中国国営メディアによると、同国の習近平国家主席は、15日に行われた共産党中央委員会の会合で、「新型コロナウイルスの流行に対する現在の戦いは、中国の制度や政府の能力が試される大きな機会だ。...
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『AFP通信』や
『ブルームバーグ』などのメディアの報道によると、中国人民銀行(中央銀行)の范一飛(Fan Yifei)副総裁が、記者会見で同方針を明らかにした。各銀行は、回収した紙幣を紫外線または高温で消毒・密封し、地域の感染の流行度に応じ、7~14日間保管した後、再流通させる手続きを取るという。
中国国営メディアによると、同国の習近平国家主席は、15日に行われた共産党中央委員会の会合で、「新型コロナウイルスの流行に対する現在の戦いは、中国の制度や政府の能力が試される大きな機会だ。」「(政府が)流行で明らかになった欠陥や問題点に対応し、弱点とされた分野を強化し、抜け穴をふさぐ必要がある。」と述べた。
新型コロナウイルスの流行に伴い、中国を始め感染者が出ている国々では、公共の場所で消毒が行われ、人々の接触を避ける対策が取られている。中国では、オフィスビルのエレベーターにティッシュ箱が常備され、ボタンを押す際に使用するよう入居者に奨励している。また、配車サービス大手の滴滴出行(Didi)は、運転手に車を毎日消毒させている。
中国人民銀行の范副総裁は15日、感染者の多い各省・都市間での古い紙幣の流通を遮断するとともに、感染拡大の中心地である湖北省には、6000億元(約9兆4000億円)の新券を追加発行し、春節休暇前には、40億元(約630億円)を緊急発行したと説明した。
范氏によると、感染が深刻な地域では、リスクを下げるために古い紙幣の消毒を進めている。また、各銀行には、顧客に対し可能な限り新紙幣を供給するほか、病院や食品市場から持ち込まれた現金は再び流通させないよう要請したという。これらの施策は、「現金使用の際の公共の安全性と衛生を確保する」ことを目的としたものとしている。
しかしながら、紙幣消毒の施策については、どの程度の効果があるかは不透明だ。中国では近年、現金による支払いより、スマートフォンによる決済サービスの利用が普及しており、日常の支払いに現金を使うのは一部の高齢者に限られている。2017年に行われたある調査では既に、中国人の4分の3近くが、100元(約1,600円)超の現金を使わずに1カ月間生活できると回答していた。
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