2月13日、米国国務省のオータガス報道官は北朝鮮の防疫体制の脆弱性を憂慮しているとして、米国と世界の各衛生機関は北朝鮮に援助する準備をすでにしていると発表した。一方北朝鮮の保健省は、北朝鮮ではまだ新型肺炎の症例は出ていないと述べ、WHOも北朝鮮はうまく対処していると述べている。
新型肺炎の潜伏期間にあわせて、隔離期間を日本では当初14日、その後12.5日としているが、北朝鮮では隔離期間を当初は24日とし、その後さらに30日まで延長した。...
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2月13日、米国国務省のオータガス報道官は北朝鮮の防疫体制の脆弱性を憂慮しているとして、米国と世界の各衛生機関は北朝鮮に援助する準備をすでにしていると発表した。一方北朝鮮の保健省は、北朝鮮ではまだ新型肺炎の症例は出ていないと述べ、WHOも北朝鮮はうまく対処していると述べている。
新型肺炎の潜伏期間にあわせて、隔離期間を日本では当初14日、その後12.5日としているが、北朝鮮では隔離期間を当初は24日とし、その後さらに30日まで延長した。一旦感染が始まれば、十分な医療体制もなく、基礎体力も劣っている人が多い北朝鮮では感染の拡大を防ぐことは難しい。このため感染の抑え込みに十全の対策をとろうとしていると思われる。
このような状況のなかで、北朝鮮は米国国務省が述べた援助の提案には乗って来ないだろう、と中国のある専門家はみている。
米国は北朝鮮との間の膠着した局面を打開するために、小さなコストですむ提案をしたにすぎず、北朝鮮の最大の関心事である「制裁の解除」には触れていない。昨年末の第7期五中全会以来、北朝鮮は米国には誠意が無いと見なしており、北朝鮮の米国に対する態度は「積極的な接触」から「強硬な態度」に変わってしまった。米国が妥協しない限り、北朝鮮が米国に対し、「オリーブの枝(平和の象徴)」を差し出すことはもはやないと思われる、とこの専門家は述べた。
一方中国社会科学院の朝鮮半島と米朝関係の専門家である王俊生は「朝米間の鍵となる問題の溝が小さくなる様子は未だ見えないものの、米国国務省の提案は米朝関係の突破口とまではならないが、両国関係を好転させるきっかけになるかもしれない」と述べた。
さらに王俊生は、北朝鮮は政策の重点を2018年以来経済建設に移し、国際社会との交流を望んでいた。しかし現在25か国で新型肺炎が蔓延し、伝染性が高いということになれば、北朝鮮自身の衛生や健康状態が比較的薄弱であることを考えると、国際社会との交流に影響を与えないわけがない」とも語った。
米国の援助の申し入れに対し、北朝鮮は未だ返答していないことから、援助を受け入れる可能性は現状では少ないと思われるが、援助を受け入れたなら、奇禍によって、新しい道が開けることもあり得るかもしれない。
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