新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、中国政府は27日から、海外への団体旅行を禁止した。春節の連休で多くの中国人観光客を見込んでいた日本だけでなく、世界の様々な国で観光産業への影響が懸念されている。
『フランス アンフォ』は、世界経済はコロナウイルスの流行の二次的被害者となるのか?と問いかけを投げかけ、「中国当局は 1月28日時点で、中国国内で4,500人以上が感染し、106人が死亡したと発表しているが、不安はもはや医学上のものではない。 ビジネス界は、世界の経済成長への影響を懸念している。 特に観光産業は、中国政府が海外での団体旅行を禁止したことで警戒感を強めている」と報じている。
特にカンボジア、タイ、シンガポールなどの東南アジアの国々は、2003年のSARS流行時のような状況が再発することを恐れているという。...
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『フランス アンフォ』は、世界経済はコロナウイルスの流行の二次的被害者となるのか?と問いかけを投げかけ、「中国当局は 1月28日時点で、中国国内で4,500人以上が感染し、106人が死亡したと発表しているが、不安はもはや医学上のものではない。 ビジネス界は、世界の経済成長への影響を懸念している。 特に観光産業は、中国政府が海外での団体旅行を禁止したことで警戒感を強めている」と報じている。
特にカンボジア、タイ、シンガポールなどの東南アジアの国々は、2003年のSARS流行時のような状況が再発することを恐れているという。当時、中国人観光客の数は約3分の1減少した。 経済コンサルタント会社のCapital Economicsは、今回同様の減少が起きた場合、最も影響を受けやすい国ではGDPが1.5から2パーセント下がるだろうと指摘している。
『デイリーメール』によると、中国で起きていることは、20年近く前にSARSが発生したときよりも、世界経済にとってはるかに重要な意味を持つという。国際通貨基金(IMF)によると、2003年、中国は世界の経済生産高の4.3%を占めていたが、昨年は16.3%を占めていた。
もともと中国人観光客は、香港のデモ抗議や中国とワシントンとの間の貿易紛争のためにウイルス問題が発生する前から減少傾向にあった。しかし、公式統計によると、2019年には約1億3400万人の中国人が海外に旅行しており、前年より4.5%増加した。新型肺炎が発生する前は、中国海外旅行研究所(COTRI)は、2019年の630万人から、今年の旧正月は約700万人の中国人が海外に旅行すると予測していた。
中国人旅行者に最も人気の高い国は、香港、タイ、日本、ベトナムであり、中国からの観光客はロンドン、ミラノ、パリ、ニューヨークなどの都市で特に多額の出費をするという。
経済専門家および観光業界関係者らは、最も影響が大きいのは中国の近隣の国々であり、米国や欧州は、新型肺炎の問題が長期化した場合にのみ多大な影響を受けるだろうと見ている。
旧正月の旅行先として人気の高いタイでは、500億バーツ(約1769億円)の潜在的損失を見積もっているという。
米国では、中国人観光客からの観光収入はカナダ、メキシコ、英国、日本に次いで5番目に多い。2018年には約300万人の中国人が米国に旅行し、2兆7000億円以上を費やしたという。2018年から、中国-米国間の経済紛争で減少気味にあった中国からの観光は2020年には回復が見込まれていたが、新型肺炎が長引けばかなりの影響が出ることが考えられる。
英国では、中国からの訪問者は、1回の訪問あたりの支出は、中東からの旅行者に次いで2番目で、2018年の平均は約24万円だったという。
『フランス アンフォ』によると、フランス観光産業界でも新型肺炎による中国人観光客減少の懸念が広がっているという。 中国からは年間200万人以上がフランスを訪問しており、フランスにとっては重要な顧客。フランス旅行業界の労働組合「Entreprises du voyage」の代表者ジャンピエール・マスは 「中国人は観光客の2.5%を占めているが、経済的には更に比重が高い。40億ユーロ(約4800億円)の支出で、観光収入の7%を占めている」とAFP に述べている。
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