トランプ米大統領は22日、今週首都ワシントンで開催される米国最大の妊娠中絶反対デモ、「マーチフォーライフ」に米大統領として初めて出席し、演説を行う予定であることを明らかにした。
『AFP通信』のほか、
『CNN』『FOXニュース』など多くの米メディアによると、11月の大統選で再選を目指すトランプ氏は、24日に行われる全米最大の中絶反対デモ「マーチフォーライフ(March for Life)」に参加することについて、ツイッターに「金曜日に会おう … 大勢の皆さん!」と投稿した。ホワイトハウスは22日、トランプ氏が同デモに出席する初の米大統領になると発表し、デモ主催者も大統領の出席と演説の予定を認めた。
妊娠中絶の権利を主張する活動家らは、トランプ氏の反中絶の政策を非難しており、1973年に連邦最高裁が中絶の権利を認めた「ロー対ウェイド(Roe v. Wade)」訴訟の判決が危機にさらされていると懸念を表明している。最高裁判決は、適正手続(デュー・プロセス)などを定めた合衆国憲法修正第14条が、女性の中絶の権利を保障すると初めて判示し、人工妊娠中絶を規制する多くの米連邦法・州法を違憲・無効とするものであった。
マーチフォーライフは、今年で47回目となるが、通常ロー対ウェイド判決が下された記念日となる1月22日の前後に開催される。昨年は推定で約10万人が参加し、米政府からはペンス副大統領が出席した。トランプ大統領は出席しなかったが、ビデオメッセージの演説が放映されている。
デモの主催団体は、トランプ氏出席のニュースを歓迎し、「中絶反対の裁判官や連邦職員の任命から、国内外での中絶に投入される資金の削減などに至るまで、トランプ政権は一貫して反中絶の立場を守り、マーチフォーライフへの支援も揺るがない。」と称賛した。
連邦最高裁がロー対ウェイド判決で人工妊娠中絶を合法化したものの、米社会ではこれに反対する動きがあり、特に中西部から南東部のいわゆる「バイブル・ベルト(Bible Belt)」と呼ばれる諸州で反対が根強い。同判決をめぐり、中絶を合法化すべきか、憲法裁判における最高裁の役割など、米国では様々な分野で論議が絶えない。
トランプ氏は、最高裁判事に反中絶の立場を取る人物のみ任命するとの公約を掲げ、これまで9人中2人の判事を任命した。これにより中絶反対派は勢いづき、新たな判事らがロー対ウェイド判決を覆すか、少なくとも各州に中絶の制限を認めることを期待している。
閉じる