再選を目指すドナルド・トランプ大統領は、弾劾裁判手続きが進められたり、イランとの関係が極度に悪化したりと、逆風にさらされている。そうした中、大統領選で公約に掲げた北米自由貿易協定(NAFTA、1992年12月署名、1994年1月発効)に代わる新協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA、2018年12月署名)」が発効する可能性が見えてきた。
1月21日付米
『AP通信』:「カナダが来週、新NAFTA自由貿易協定承認手続きへ」
カナダのジャスティン・トルードー首相は1月21日、来週議会が開会されたら、NAFTAに代わるものとして新たに合意されたUSMCA発効のための承認手続きを進める旨表明した。
同首相は、数百万人のカナダ市民が依拠している北米他国との新貿易協定を、可及的速やかに発効させる必要があると説いた。
ドナルド・トランプ大統領は2016年の大統領選挙時、“史上最悪の貿易協定”であるとして、現行NAFTAを改定することを公約に掲げていた。...
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1月21日付米
『AP通信』:「カナダが来週、新NAFTA自由貿易協定承認手続きへ」
カナダのジャスティン・トルードー首相は1月21日、来週議会が開会されたら、NAFTAに代わるものとして新たに合意されたUSMCA発効のための承認手続きを進める旨表明した。
同首相は、数百万人のカナダ市民が依拠している北米他国との新貿易協定を、可及的速やかに発効させる必要があると説いた。
ドナルド・トランプ大統領は2016年の大統領選挙時、“史上最悪の貿易協定”であるとして、現行NAFTAを改定することを公約に掲げていた。
同大統領によれば、現行NAFTAは米国にとって、貿易赤字と製造業の雇用喪失を招くだけだと批判していた。
なお、メキシコは既に昨年6月に新協定の批准手続きを済ませ、また、米上院も先週、USMCA発効のための法制化について決議している。
一方、同日付カナダ『クロニクル・ヘラルド』紙(『ロイター通信』配信):「トルードー首相はUSMCA協定の速やかなる批准を欲するも、野党は拙速と反対」
カナダは唯一、トランプ大統領主導で進められたUSMCA協定の承認手続きを済ませていない。本協定は、3ヵ国が批准しないと正式に発効しない。
トルードー首相は、来週開かれる議会に承認取得のための法的手続きを踏むとしているが、場合によって決議が4月までずれ込む恐れもあり、今秋の大統領選の再選にかけるトランプ大統領としては、USMCA発効の遅延につながりかねないとイライラさせられることになろう。
何故なら、トルードー首相の与党・自由党は昨年の総選挙(注後期)で過半数割れしてしまい、政策決定・実行に当たっては他の少数党と連携する必要となっているからである。
しかし、野党勢力の本協定に対する不満は強く、最大野党・保守党のランディ・ホバック広報担当は、カナダの酪農家やアルミ産業への損害が疑われるため、当該協定詳細をじっくり精査する必要があると厳しく指摘している。
なお、米国では、上院が先週、本協定を圧倒的多数で承認決議し、トランプ大統領の署名を待つばかりとなっている。
(注)カナダ総選挙:2019年10月実施の下院総選挙(定数338議席)で、自由党157議席、保守党121、ブロック・ケベック32、新民主党24、緑の党3、無所属1と、与党が20議席を失って過半数割れの結果となっている。
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