世界を代表する政治家や企業家、学者などが一堂に会し、世界の諸問題を議論する「ダボス会議」を運営する世界経済フォーラム(WEF)は20日、平等な機会が提供されているかを数値化した「社会的流動性指数」で各国をランキングした報告書を公表した。
『AP通信』『ブルームバーグ』のほか、各国メディアの報道によると、WEFは世界82カ国について、平等な機会が提供されているかを国毎に算出した新たな指数「社会的流動性指数」による2020年版のランキングを発表した。同指数の発表は初めてのことであり、21~24日、スイス・ダボスでの年次総会となる「ダボス会議」の開催に先立ち行われた。
同指数は、健康、教育、テクノロジーへのアクセス、仕事の機会、公正な賃金、労働条件、社会的保護などの諸要素から100点満点で計算され、一国が全ての国民の相対的な社会的流動性を全体として高めていくために何をすべきかを示すものである。...
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『AP通信』『ブルームバーグ』のほか、各国メディアの報道によると、WEFは世界82カ国について、平等な機会が提供されているかを国毎に算出した新たな指数「社会的流動性指数」による2020年版のランキングを発表した。同指数の発表は初めてのことであり、21~24日、スイス・ダボスでの年次総会となる「ダボス会議」の開催に先立ち行われた。
同指数は、健康、教育、テクノロジーへのアクセス、仕事の機会、公正な賃金、労働条件、社会的保護などの諸要素から100点満点で計算され、一国が全ての国民の相対的な社会的流動性を全体として高めていくために何をすべきかを示すものである。
これによると、上位5カ国は、デンマーク(85.2)、ノルウェー(83.6)、フィンランド(83.6)、スウェーデン(83.5)、アイスランド(82.7)で、北欧諸国が名を連ねた。日本は15位(76.1)に入り、アジア諸国の中ではトップだった。教育水準、健康、テクノロジー、仕事の機会などで高い評価を得た一方で、公正な賃金の面で労働者の低賃金に課題があるとされた。韓国は25位、中国は45位だった。
日本以外の主要7カ国(G7)では、ドイツが最高順位の11位で、フランスが12位、カナダが14位、英国が21位、米国が27位でイタリアが34位となっている。ロシアは39位だった。
WEFは、社会的流動性を高めるために正しい政策を進めている国はわずかであり、殆どの国で、公正な賃金、社会的保護、労働条件、生涯学習の4分野で対策が遅れていると指摘した。WEFは、グローバル化、テクノロジーの進展によって世界各国で不平等が定着、拡大していると懸念しており、各国政府がテクノロジーの急速な変化によって最も影響を受ける弱い立場の人々を、単に見捨てるようなことがないように、さらに手を打たなければ、世界的な不平等はさらに悪化すると述べている。
WEFは、出生時の社会的・経済的ステータスによって、人の運命がほぼ決定されてしまうという現実を変えるべき時期が来ていると主張し、今のままであれば、社会は「歴史的な不平等を減らすどころか、再生するのが当たり前になってしまう。」と警告した。
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