フィンランドの首都ヘルシンキが拠点の独立研究機関CREAは16日、中国の大気汚染は、昨年の第4四半期に北京や上海などで大幅に改善したものの、その他の地域では悪化しているとの研究結果を公表した。
『ロイター通信』『AFP通信』や中国の地元メディアなどが報じた。エネルギーや環境問題に関する研究機関CREA(Center for Research on Energy and Clean Air)は、大気汚染の原因となる産業が閉鎖されず、国内で移転しただけであることが原因とみている。
中国の李克強首相は2014年、「汚染問題との戦い」を開始したが、工業化が重度に進展し、政治的に重要な北京・天津・河北地域や長江デルタ地域など、大気汚染の水準が国の基準をはるかに上回る地域を対策の主な対象としている。...
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『ロイター通信』『AFP通信』や中国の地元メディアなどが報じた。エネルギーや環境問題に関する研究機関CREA(Center for Research on Energy and Clean Air)は、大気汚染の原因となる産業が閉鎖されず、国内で移転しただけであることが原因とみている。
中国の李克強首相は2014年、「汚染問題との戦い」を開始したが、工業化が重度に進展し、政治的に重要な北京・天津・河北地域や長江デルタ地域など、大気汚染の水準が国の基準をはるかに上回る地域を対策の主な対象としている。
これら2地域では、空中に浮遊する粒子状物質PM2.5の平均濃度を、2020年3月までの6カ月間にそれぞれ4%、2%、削減する目標を掲げているが、達成できる見通しであるという。北京では、昨年の第4四半期、PM2.5の濃度が前年比18%低下し、中国最大の鉄鋼生産地であり、最も空気が汚染していると言われる河北でも18%低下した。
しかし、CREAによる政府統計の分析では、昨年第4四半期の中国のPM2.5平均濃度は変わらず、黒竜江省、江西省、広東省などの地域では10%以上上昇した。CREAの筆頭アナリスト、ラウリ・ミルヴィエルタ氏は、「北京、上海などの優先地域以外では、石炭や石油の消費量が引き続き増加しており、殆ど或いは全く進展がない。」と指摘した。
CREAは、河北では10~11月、鉄鋼生産が14%、セメント生産も7%減少した一方で、中国全土でのそれぞれの生産量は増加しており、大気汚染につながる工業生産活動がどこか別の地域へ移転したとしている。CREAはまた、中国の大気汚染との戦いは、化石燃料の削減より、環境に放出される汚染物質を削減する浄化技術の導入に依存し過ぎていると分析しており、クリーンエネルギーへの移行を加速化すべきと主張するとともに、増加しているオゾンや二酸化窒素などへの対策を急ぐよう促した。
中国生態環境省によれば、2019年の1~11月、中国全土でのPM2.5の平均濃度は2.9%低下しており、通年の数字を算出中であるという。2015~2019年の間で見ると27%低下した。李幹傑生態環境相は今週、2020年には非主要地域での大気汚染に関する取り組みを強化していくとの方針を示している。
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