米ニューヨークが本部の国際NPO、ジャーナリスト保護委員会(CPJ)は11日、世界各国で投獄されているジャーナリストが、今月1日時点で少なくとも250人に上ると報告した。国別では中国が48人で、前年最多のトルコを抜き、2015年以来のトップとなった。
『AFP通信』や
『ロイター通信』、
『CNN』などが報じた。投獄された多くのジャーナリストは、国家反逆罪や偽ニュースを発信した罪などに問われている。CPJは、中国、トルコのほかに、サウジアラビア、エジプト、エリトリア、ベトナム、イランなどの国々が、ジャーナリストの身柄を拘束したと説明している。
1位の中国では、習近平主席がメディアへの締め付けを強めており、昨年から1人増えて少なくとも48人が投獄中で、過去3年で最多となった。中国政府は11日、同国は法の支配を実行しているだけであり、報道の自由を尊重していると釈明した。外務省の華春瑩報道局長は定例の記者会見で、「何人も法を超越することはできない。」と述べている。
2位はトルコで、昨年の68人から47人に減少した。しかし、CPJは、トルコの状況は改善されておらず、エルドアン政権の独立メディアや批判勢力を弾圧する政策の効果が表れているだけだと指摘した。トルコ政府は100社超の報道機関を閉鎖し、多くの職員をテロに関連した罪で訴追しており、記者を失業させ、脅迫するなどしている。また、現在収監されていなくても裁判にかけられているジャーナリストが数十人いるという。
3位にはサウジアラビアとエジプトが並び、各26人が投獄されている。CPJは、中東での独裁体制や、不安定な情勢、抗議活動などにより、ジャーナリストの投獄が増加していると指摘した。サウジアラビアでは、ジャーナリスト18人に対する罪が明らかにされず、CPJは4人のジャーナリストを含む政治犯への拷問の報道をめぐり懸念を表明した。4位以下には、エリトリアが16人、ベトナムが12人、イランが11人で続いている。
偽ニュースの罪に問われた人数は、2012年には世界の合計でわずか1人だったが、今年は30人と昨年の28人からさらに増加した。エジプトが最も多いが、ロシアやシンガポールでも増えている。この2カ国では今年、論議の多かった偽ニュース対策法が成立した。
世界で投獄されているジャーナリストの約8%が女性で、その割合は昨年の13%から低下した。CPJは、政治情勢や人権保護の状況、腐敗した政治などが、投獄者数を最も増加させる要因になるとしている。
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