米シカゴの研究者などの調査グループは4日、1978年以降の約40年間に、シカゴの高層ビルに衝突して死んだ鳥約7万羽を調査し、北米などで特定の鳥類の体の大きさが、地球温暖化の影響により縮小している可能性があるとの研究結果を公表した。
『ロイター通信』や米
『CNN』『ワシントン・ポスト』などの報道によると、本研究結果は、米学術誌「エコロジー・レターズ」に掲載されたものである。調査グループは1978~2016年、シカゴの高層ビル群に激突して死んだ鳥7万716羽について、その体の大きさなどを測定し、記録した。その結果、体の大きさの平均は確実に小さくなっている一方、翼幅は広がっていることが判明した。
研究者らは、地球温暖化によって北米の、そしておそらく世界中の特定種の鳥の体の大きさが縮小している可能性があると指摘した。...
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『ロイター通信』や米
『CNN』『ワシントン・ポスト』などの報道によると、本研究結果は、米学術誌「エコロジー・レターズ」に掲載されたものである。調査グループは1978~2016年、シカゴの高層ビル群に激突して死んだ鳥7万716羽について、その体の大きさなどを測定し、記録した。その結果、体の大きさの平均は確実に小さくなっている一方、翼幅は広がっていることが判明した。
研究者らは、地球温暖化によって北米の、そしておそらく世界中の特定種の鳥の体の大きさが縮小している可能性があると指摘した。彼らはベルクマンの法則と呼ばれる現象に着目している。同法則の下では、ある種の個体は、温暖地域で小さくなり、寒冷地域では大きくなる傾向がある。時の経過により気温が上昇すれば、種は縮小化するというのだ。
本研究では、52種の鳥類について調査している。その大半はツバメ、ウグイス、ツグミなど様々な鳴き鳥の種であり、北米の寒い地域で繁殖し、冬にシカゴ南部で過ごす鳥たちだった。シカゴは渡り鳥が移動するルート上にあり、風が強く高層ビルも多いため、特に春と秋の移動時などの飛行中にビルにぶつかって死んでしまう鳥が多い。
調査の結果、約40年間に52種全ての体の大きさは縮小した。体重は平均2.6%減少し、足首や下肢の骨の長さは2.4%縮んだ。一方、それを補うためか、翼幅は1.3%伸びたため、体が小さい鳥でも長距離の移動は、引き続き可能であるとみられている。
研究論文の筆頭執筆者であるミシガン大学の生物学者、ブライアン・ウィークス氏は、「気候変動がこれらの種の大きさと形の両方を変化させているようだ。」と語っている。さらにウィークス氏は、「人類が前例のないスピードと規模で世界に変化を及ぼしており、環境の変化に対し、広範に一貫した生物的な反応がみられる。」と指摘した。
全ての鳥を測定したシカゴ・フィールド自然史博物館のデイブ・ウィラード氏は、「気候の温暖化は、実質全員が同意していることだ。しかし、それが自然界にどのように影響しているかについての具体的な事例が、最近になってようやく出てきた。」と説明した。
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