イタリア最大手銀行のウニクレディトは3日、約8,000人の人員削減を発表した。欧州の銀行で人員削減の動きが加速しており、今年公表された世界の銀行の総削減人数は、同行の発表により7万5,000人を超えた。
『ブルームバーグ』によれば、今年の銀行の人員削減は欧州に集中しており、世界の銀行で公表された削減人数の合計7万5,700人のうちの83%を占める。同地域では、マイナス金利や景気の減速などにより、銀行はコスト削減の必要性に迫られている。
欧州での人員削減数の多さは、同地域の銀行の弱さを強調している。欧州各国の経済は輸出依存型であるため、国際的な貿易摩擦の影響の直撃を受けており、マイナス金利が融資による収入を一層圧迫している。...
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『ブルームバーグ』によれば、今年の銀行の人員削減は欧州に集中しており、世界の銀行で公表された削減人数の合計7万5,700人のうちの83%を占める。同地域では、マイナス金利や景気の減速などにより、銀行はコスト削減の必要性に迫られている。
欧州での人員削減数の多さは、同地域の銀行の弱さを強調している。欧州各国の経済は輸出依存型であるため、国際的な貿易摩擦の影響の直撃を受けており、マイナス金利が融資による収入を一層圧迫している。政府の政策と金利の上昇によって金融危機からいち早く脱出した米国の金融機関とは異なり、欧州の銀行は今なお立ち直れていない。
こうした中、欧州の多くの銀行が行員を解雇したり、収益性向上のために事業を売却したりしている。欧州ではドイツの銀行の削減人数が最も多く、ドイツ銀行は、2022年までに1万8000人の従業員を削減する計画だ。
『AP通信』によれば、イタリア最大の銀行ウニクレディトのジャンピエール・ムスティエ最高経営責任者(CEO)は3日、同行ビジネスの改革のため、今後4年間の計画の一環として、約500支店を閉鎖し、約8,000人の要員を削減すると明らかにした。ウニクレディトは、人員削減によって総経費を10億ユーロ(約1200億円)ほど圧縮し、事務効率の向上と革新的な商品開発を推し進め、株主価値を大幅に上昇させるとしている。
収益性の改善のために人員削減を実行しているのは欧州の銀行だけではない。『ロイター通信』は、カナダのモントリオール銀行が3日、従業員の5%に相当する約2,300人の削減を発表したと報じた。同行のダリル・ホワイトCEOは、事業効率改善策の一環として、カナダの銀行では過去15年間で最大規模の削減を行うと説明した。効率化によって、2020年度には、2億カナダドル(約165億円)の経費削減効果を見込んでいる。
こうした人員削減の流れがある一方で、銀行も情報技術の最新化や法令順守の向上に努めており、そのための要員は増やすとしている。ウニクレディトは、今後4年間に、人件費込みで94億ユーロ(約1兆1300億円)のシステム投資をする予定だという。
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