英ロンドンが本拠の国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは21日、米IT大手フェイスブックとグーグルのデータ収集に基づくビジネスモデルが、世界中で人権に対する脅威となっており、変更を促す内容の報告書を発表した。
『AFP通信』や
『AP通信』などが報告書について報じた。同団体は、IT大手2社が「人々が接続し、オンラインの世界と関わり合う主要なチャネルをほぼ完全に支配」し、人々の生活に対する過去に前例のないほどの影響力を獲得したと説明している。
アムネスティ・インターナショナルは、グーグルとフェイスブックが無料のオンラインサービスを提供し、入手したユーザー情報を利用してターゲティング広告で収益を確保しているのは、言論や表現、思想信条の自由など広範囲の人権を危険にさらすと指摘した。...
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『AFP通信』や
『AP通信』などが報告書について報じた。同団体は、IT大手2社が「人々が接続し、オンラインの世界と関わり合う主要なチャネルをほぼ完全に支配」し、人々の生活に対する過去に前例のないほどの影響力を獲得したと説明している。
アムネスティ・インターナショナルは、グーグルとフェイスブックが無料のオンラインサービスを提供し、入手したユーザー情報を利用してターゲティング広告で収益を確保しているのは、言論や表現、思想信条の自由など広範囲の人権を危険にさらすと指摘した。
アムネスティは報告書で、両社を「監視の巨人」と呼び、「監視に基づく両社のビジネスモデルによって、人々はファウスト的契約を強いられることとなり、人権侵害を前提としたシステムに服従しなければ、オンライン上で人権を享受できない。」と述べた。同団体はさらに、両社は常に、至るところからユーザーを監視しながら、莫大な量のデータを収集しているが、これらが顧客の意向に反して用いられるかも知れないと警告し、そのビジネスモデルは「プライバシーの権利とは本質的に相いれない。」と主張している。
アムネスティ・インターナショナルのクミ・ナイドゥ事務総長は、「グーグルとフェイスブックは、我々の現代の生活を支配しており、数十億人の人々の個人データを収集し、収益化することによって、デジタルの世界をめぐる比類のない力を蓄積している。」と指摘した。また、「我々のデジタル生活を知らぬ間に管理することで、プライバシーの本質を害しており、これが今の時代を特徴づける人権課題の1つとなっている。」とも述べた。
報告書は60頁もの膨大なものであり、各国政府の義務についても記している。オンラインサービスを確実に提供する一方、ユーザーのプライバシーを法的に保証し、広告業者や第三者に追跡されないよう保護する政策の導入を求めた。過去20年、IT企業は自主規制の下にあったが、「政府は企業による人権侵害から人々を守る義務を負う」としている。
フェイスブックは、報告書に対し書簡を寄せ、同社のビジネスモデルが監視によるデータ収集に基づくとされたことに反発している。同社は、ターゲティング広告に用いるデータは制限しており、収益化しているのは広告であってデータではないなどと反論した。
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