米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は12日、欧州初となる大規模な工場をドイツの首都ベルリン近郊に建設することを明らかにした。小型SUV(スポーツ用多目的車)の「モデルY」などを生産する。
米
『ブルームバーグ』や
『CNN』、
『CNBC』などの報道によれば、マスクCEOは、ドイツで行われた自動車関連の授賞イベントで、欧州の新工場建設について発表した。エンジニアリングやデザインの拠点もベルリンに設けるとしている。
テスラは長い間、欧州に工場を建設するための候補地を探しており、マスク氏は今年末までに発表すると述べていた。マスク氏は12日遅くツイッターに、ベルリン工場では、小型SUV「モデルY」の生産から始めると投稿した。バッテリー製造も行い、量販車の小型セダン「モデル3」の生産も視野に入れているという。
テスラは既にベルリンで、建設やエンジニアリング、自動車製造などの求人を開始している。新工場の場所は、建設中のブランデンブルグ国際空港の近くで、ドイツメディアは約1万人分の雇用が創出されると報じた。同社は新工場のEV生産台数や稼働開始時期などの詳細については明らかにしていない。しかし、マスク氏は今年、テスラの欧州工場稼働時期については、おそらく21年以降となるだろうとの予測を示していた。
テスラは建設候補地として、日産などの世界的な自動車メーカーが工場を構える英国も検討していた。マスク氏はドイツを選んだ理由について、業界誌「オート・エクスプレス」に対し、英国の欧州連合(EU)からの離脱をめぐる不透明さの「リスクが高過ぎる」ことが決め手となったと説明している。また、もう1つの理由として、大手企業フォルクスワーゲンやダイムラーなどを擁する自動車大国ドイツの技術水準の高さを挙げた。
ドイツ連邦政府のペーター・アルトマイヤー経済エネルギー相は、テスラの新工場建設を歓迎し、「テスラによるドイツでの極めて近代的なEV工場建設の決定は、自動車製造拠点としてのドイツの魅力をさらに証明するものとなった。」と述べた。
テスラはこれまで、同社唯一の完成車の生産拠点だった米カリフォルニア州フリーモントの工場で、全てのEVを製造し、世界各国に輸出してきた。欧州の新工場が完成すれば、米工場、先月試作車の生産を始めた中国・上海の新工場と合わせ、世界の3極でテスラEVの生産体制が整備されることになる。
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