国連総会で17日、人権理事会の47理事国の改選選挙が行われ、独裁的なマドゥロ政権による深刻な人権侵害が指摘されるベネズエラが選出された。米国はこれについて厳しく批判しており、人権団体からも不適格と非難する声が上がるなど、波紋が広がっている。
米
『CNN』や英
『BBC』『ガーディアン』などがベネズエラの選出を報じた。今回、同国と同様に人権侵害を批判されているリビアやスーダンなども理事国に選ばれた。日本は2017年から理事国を務めており、再選された。任期は来年1月から3年となる。
国連人権理事会は47理事国から成り、加盟国の人権問題を指摘する。理事国の数は地域毎に割り振られ、総会の絶対過半数の得票を獲得した上位国が選出される。任期は3年だが、投票は毎年行われて3分の1ずつが入れ替わり、3期連続再選は不可だ。中南米・カリブ海地域では今年2枠が改選され、ブラジルとベネズエラが選ばれた。コスタリカがベネズエラの人権問題を主張し、同国の選出を阻止すべく急遽出馬したが、及ばなかった。
ベネズエラの首都カラカスでは、同国のホルヘ・アレアサ外相が「歴史的な決定」と称賛し、「米国とこれに従属する同盟諸国が主導した激しく残忍な反対運動」にもかかわらず勝利したと宣言した。
選挙結果は、ベネズエラの選出に反対するようロビー活動を続けてきた米国にとっては打撃となる。ケリー・クラフト米国連大使は、「国連の恥であり、ベネズエラ国民にとっての悲劇である。」と述べた。人権団体なども強く反発している。
米国は昨年、人権委員会が反イスラエル的な姿勢を示し、理事国に中国やキューバなど米国にとっての人権侵害国が含まれており、改革の意思が見られないとして離脱した。クラフト国連大使は、ベネズエラ選出は「人権委員会が破壊状態にあることの確固たる証拠であり、米国の離脱理由を補強するものだ。」と厳しく批判した。
ベネズエラの現状について、国連のミチェル・バチェレ国連人権高等弁務官が今年7月、詳細な報告書を提出している。バチェレ氏は、ニコラス・マドゥロ政権が、疫病の蔓延を再度放任し、公的な食糧援助を政治目的で利用したなどと非難。また、同国の治安部隊による拷問や超法規的殺人などの人権侵害の証拠を示した。マドゥロ氏は、報告書の内容は不正確で一方的であるとして、これを認めていない。
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