国際通貨基金(IMF)は15日、最新の世界経済見通しを発表し、2019年の世界の成長率予測を3.0%と、前回7月時点の3.2%から0.2ポイント引き下げた。IMFは、米中貿易摩擦の影響が響き、08-09年の金融危機以降で最低の水準にまで落ち込むと警告している。
『ロイター通信』などの報道によると、IMFは今年の成長率予測を3.0%に引き下げたが、主要国の中央銀行がほぼ同時に金融政策を緩和しなければ、さらに0.5ポイント低下して2.5%にまで落ち込み、景気後退が深刻化する恐れもあると警告した。
IMFは今回の世界経済見通しを発表するにあたり、米中貿易戦争による市場への影響、投資の減少などの問題を詳細に分析し、「成長率の低下の原因は、投資や資本財への需要に悪影響をもたらす高額の関税や貿易政策の不透明感の継続により、製造業の生産高や世界貿易が急減していることだ。...
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『ロイター通信』などの報道によると、IMFは今年の成長率予測を3.0%に引き下げたが、主要国の中央銀行がほぼ同時に金融政策を緩和しなければ、さらに0.5ポイント低下して2.5%にまで落ち込み、景気後退が深刻化する恐れもあると警告した。
IMFは今回の世界経済見通しを発表するにあたり、米中貿易戦争による市場への影響、投資の減少などの問題を詳細に分析し、「成長率の低下の原因は、投資や資本財への需要に悪影響をもたらす高額の関税や貿易政策の不透明感の継続により、製造業の生産高や世界貿易が急減していることだ。」と説明した。サービス業は世界各国で好調さを維持しているが、米国や欧州などで減速の兆候がみられるという。
IMFは2020年までに、既に発表されている追加関税などの措置によって、世界経済の生産高は0.8%減少し、スイスの国内総生産(GDP)に匹敵する約7000億ドル(約76兆円)が失われると指摘した。世界の貿易量の伸び率については、19年上半期の実績はわずか1%となり、12年以降で最低の水準だった。関税の賦課と貿易政策の不透明さに加え、自動車業界の不振も影響している。IMFは19年通年の伸び率を1.1%と予測しており、7月時点の予測から1.4ポイント、4月時点の予測から2.3%も引き下げた。
2020年の世界の成長率については、ブラジル、メキシコ、ロシア、サウジアラビア、トルコなどの経済が上向き、3.4%と予測しているが、これも貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱などの要素を織り込み、7月時点の予測を0.1ポイント下方修正した。
日本については、今年前半の個人消費、公共支出などの伸びや、10月の消費税増税に伴う駆け込み需要後の反動に備えた景気対策を考慮し、19年は7月時の予測を据え置き0.9%、20年は0.1ポイント引き上げ0.5%と予測した。日韓の輸出規制にも言及し、現時点で影響は限られるが、緊張が高まれば両国経済に大きな打撃をもたらすと指摘した。
米国については、2019年が7月時から0.2ポイント引き下げて2.4%、20年は0.2ポイント引き上げて2.1%と予測した。中国は減速を予測し、19年は6.1%、20年は5.8%と、それぞれ0.1、0.2ポイント下方修正した。
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