低所得者層への永住権(グリーンカード)や査証(ビザ)発給を制限する米政府の新たな規則に関し、ニューヨーク州など3州の連邦地方裁判所は11日、その合法性を審理する原訴訟の継続中は、実施を差し止めるよう命じた。
『ロイター通信』や
『ブルームバーグ』『CBSニュース』などのメディアが報じた。ニューヨーク州の判事は、新たな規則は「アメリカンドリーム」の考え方とは矛盾すると指摘した。トランプ政権は、不法移民を厳しく取り締まっているが、合法移民に対する規制も強化する方針を取っており、今回の連邦地裁の命令は打撃となる。
米政府は8月、新たな制度に関する規則を発表し、今月15日から実施の予定だった。所得が一定水準に満たない移民や、食料配給、医療扶助、住宅補助などの公的支援を過去3年間に1年以上受け、将来も受ける可能性のある移民の永住権などを制限する。...
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『ロイター通信』や
『ブルームバーグ』『CBSニュース』などのメディアが報じた。ニューヨーク州の判事は、新たな規則は「アメリカンドリーム」の考え方とは矛盾すると指摘した。トランプ政権は、不法移民を厳しく取り締まっているが、合法移民に対する規制も強化する方針を取っており、今回の連邦地裁の命令は打撃となる。
米政府は8月、新たな制度に関する規則を発表し、今月15日から実施の予定だった。所得が一定水準に満たない移民や、食料配給、医療扶助、住宅補助などの公的支援を過去3年間に1年以上受け、将来も受ける可能性のある移民の永住権などを制限する。以前は制限の対象を、金銭的支援を受ける移民に限っていたが、その範囲を大幅に拡大した。
新たな制度ではまた、移民の年齢、教育・技能、英語の能力、健康状態などの点についても考慮し、政府の支援が必要か否かを判断する。移民の権利を擁護する団体などからは、中南米やアフリカ、アジアからの移民が不当に扱われるとの批判があり、同制度への反対を表明した9つの州の政府などが、実施の中止を求めて各地で提訴していた。
今回差し止めの暫定命令を出したのは、東部のニューヨーク州マンハッタン、西部のワシントン州リッチランド、カリフォルニア州オークランドにある3つの連邦裁判所である。カリフォルニア州北部地区連邦地裁のフィリス・ハミルトン判事は、「原告らは多くの理由で勝訴する可能性がある。」として、差し止め命令を出した。
ニューヨーク州南部地区連邦地裁のジョージ・ダニエルズ判事は、政府は制限の対象を拡大する理由について「合理的な説明」をしていないとして、差し止めを命じた。ダニエルズ判事は、政府の新たな措置は「勤勉や上昇志向により繁栄と成功の機会を得るアメリカンドリームとは相入れるものではない。」と指摘している。
ホワイトハウスのステファニー・グリシャム報道官は声明で、連邦地裁の決定には「極めて失望した」と述べた。報道官はさらに、米国に入国しようとする移民の自立を促す政府当局の政策の遂行を妨げ、寛容ではあるが弱者たる米国人のために確保された限られた公的資源を、米国人以外の国民が利用し続けることを許すものであるとして批判した。
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