10月1日付
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『AP通信』配信):「ウクライナ、分離独立派が支配する東部での地方選挙実施につき合意」
ウクライナ政府は10月1日、親ロシア分離独立派に支配されている東部のドネツク州・ルハーンシク州において、候補者や政党を制限しない地方選挙を実施することで、分離独立派と合意した旨発表した。
ミンスク(ウクライナ首都)で行われた合意文書の署名によって、2014年から続くウクライナ東部紛争(犠牲者1万3千人以上、避難民100万人以上)を解決に導く糸口になると期待される。...
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10月1日付
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『AP通信』配信):「ウクライナ、分離独立派が支配する東部での地方選挙実施につき合意」
ウクライナ政府は10月1日、親ロシア分離独立派に支配されている東部のドネツク州・ルハーンシク州において、候補者や政党を制限しない地方選挙を実施することで、分離独立派と合意した旨発表した。
ミンスク(ウクライナ首都)で行われた合意文書の署名によって、2014年から続くウクライナ東部紛争(犠牲者1万3千人以上、避難民100万人以上)を解決に導く糸口になると期待される。
合意交渉をリードしたウォロディミール・ゼレンスキー大統領は、“ロシア軍等武力の介入がない公正な選挙”が実施されることになると強調した。
また、欧州安全保障協力機構(OSCE、注2後記)の監視の下で行われる条件となっていることからも、公正が担保されるとも付言した。
なお、この合意に基づき、近い将来、ノルマンディ・フォー・サミット(注3後記)メンバーのゼレンスキー大統領、ウラジーミル・プーチン大統領、エマニュエル・マクロン大統領、アンゲラ・メルケル首相による協議が開催され、ウクライナ東部紛争停戦に向けた動きが期待される。
しかし、ゼレンスキー政権の反対派は、この合意によって東部2州をロシアに割譲する筋道を付けてしまうことになると非難している。
一方、ロシア議会連邦院(上院に相当)情報委員会のアレクセー・プシュコフ委員長は、ロシアが望んでいた合意形成だと評価した上で、ノルマンディ・フォー・サミットの協議を経て、“ロシアと欧州間の目覚ましい関係改善”に向かうことを願っているとコメントした。
(注1)ウクライナ東部紛争:2014年2月下旬に発生したウクライナ騒乱以後、クリミア自治共和国とウクライナ本土の東部2州(ドネツィク州とルハーンシク州)で起こっているウクライナ政府軍と、親ロシア派武装勢力や反ウクライナ政府組織、ロシア連邦政府・軍との紛争(軍事衝突や対立)。同2州の地名より“ドンバス紛争”と呼ばれる。
(注2)OSCE:欧州の国境不可侵と安全保障・経済協力などを約束したヘルシンキ宣言を採択して全欧安全保障協力会議として1972年に発足。冷戦終結後、紛争防止とその解決へ向けた新機構として、1995年に現在の名称に変更した国際機関。57ヵ国が加盟し、地域的安全保障組織としては世界最大である。民主主義体制の構築・強化および、基本的人権の保障と保護、武力行使の抑止における、加盟各国の協力と相互尊重を目的とする。本部はウィーン。
(注3)ノルマンディ・フォー・サミット:1944年6月6日ノルマンディ上陸作戦70周年記念式典が2014年に開催された際、ウクライナ東部のドンバス紛争の解決を目指して、ロシアとウクライナに、共同仲介者としてドイツ・フランスが加わって協議する枠組みが合意された。以降、この4ヵ国の閣僚が様々な機会に会合し、ウクライナ東部紛争停戦に向けて協議を進めてきている。
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