スペイン暫定政権のサンチェス首相は17日、11月10日に再び総選挙を行う見通しであることを明らかにした。4月の総選挙以降、他党との連立交渉が難航し、政権を樹立できなかった。同国での総選挙実施は、過去4年で4回目となる。
『ロイター通信』『AFP通信』『AP通信』などの報道によると、スペイン国王のフェリペ6世は17日、これに先立ち各党の党首と会談した結果、連立政権の成立に必要な支持が得られる首相候補を提案できないとの考えを示していた。ペドロ・サンチェス首相は17日夜遅く記者会見を開き、11月10日にやり直し総選挙を実施することになると説明した。
ユーロ圏で4番目の経済国であるスペインでは、2015年12月の選挙で、急進左派ポデモスや自由主義の中道右派シウダダノスなどの政党が台頭し、伝統的な中道右派・国民党と中道左派・社会労働党の2大政党制が事実上崩壊して政情不安が続いている。...
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『ロイター通信』『AFP通信』『AP通信』などの報道によると、スペイン国王のフェリペ6世は17日、これに先立ち各党の党首と会談した結果、連立政権の成立に必要な支持が得られる首相候補を提案できないとの考えを示していた。ペドロ・サンチェス首相は17日夜遅く記者会見を開き、11月10日にやり直し総選挙を実施することになると説明した。
ユーロ圏で4番目の経済国であるスペインでは、2015年12月の選挙で、急進左派ポデモスや自由主義の中道右派シウダダノスなどの政党が台頭し、伝統的な中道右派・国民党と中道左派・社会労働党の2大政党制が事実上崩壊して政情不安が続いている。今年4月の選挙では、新興の極右政党ボックスも議席を獲得し、政治情勢はさらに複雑になった。
サンチェス氏は2018年6月、国民党議員の汚職事件でマリアーノ・ラホイ前首相に対する不信任決議案が可決された後、首相に就任した。サンチェス首相率いる社会労働党は今年4月の総選挙で勝利したが、議会の定数350のうち123議席しか確保できなかった。
このため、サンチェス氏が首相を続投するためには、スペインの大きく分裂した議会で他党の支持を得ることが必要だったが、これまでの協議は実を結ばず終わっている。社会労働党はポデモスとの連立を模索し、約5カ月の間政権樹立に向けた協議を行ったが、ポデモスの閣僚ポスト要求をめぐり両党が最終的に折り合わず、交渉が決裂していた。
サンチェス氏にはまだ23日まで連立協議の時間があるが、各政党はこれまで政権が樹立できなかったことについて非難合戦を繰り返しており、このまま時が過ぎれば議会は来週解散され、自動的に再選挙が実施される。
スペインは、北東部カタルーニャ自治州での分離独立運動や、高い失業率や低賃金といった不安定な雇用情勢など、様々な政治課題を解決するために安定政権を必要としている。世論調査によれば、社会労働党はやり直し総選挙で議席を上積みすることが予想されているが、それでも過半数には達しないとみられている。再選挙後も各党の政策の相違を調整するのは困難と思われ、連立政権がすぐに成立する保証はない。
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