イタリア政府は14日、82人の難民の上陸を認めた。同国は前政権でアフリカなどからの移民や難民の受け入れをたびたび拒否するなどの強硬な政策を取っていたが、新政権となって移民政策に変化の兆しがみられるとして注目されている。
『AFP通信』や英
『ガーディアン』米
『ウォール・ストリート・ジャーナル』などによると、イタリアは未成年者18人を含む82人の難民が乗ったNGOの救助船に対し、地中海のランペドゥーザ島の港への上陸を正式に認めた。同船はノルウェー船籍の「オーシャン・バイキング号」で、地中海で移民・難民の救助に取り組むフランスの慈善団体「SOSメディテラネ」と国際的緊急医療団体「国境なき医師団(MSF)」が運航している。
欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会は11日夜、オーシャン・バイキング号の難民受け入れを決定した。その上で、受け入れ可能なEU加盟国に配分する計画を立案していたところ、イタリアの上陸許可の発表が行われたものである。
ドイツとフランスは同船の難民をそれぞれ25%受け入れる用意があると表明しており、イタリアが10%を受け入れ、ポルトガル、ルクセンブルクが残りの人数を分担して受け入れる予定だ。SOSメディテラネとMSFはツイッターで、「イタリア当局がオーシャン・バイキングに、上陸する安全な港を提供してくれた」と歓迎のコメントを発表した。
イタリアでは昨年6月にポピュリズム政党「五つ星運動」と右派の「同盟」の連立政権が発足し、五つ星運動に近く、政党に属さない法学者のコンテ氏が首相に就任した。両党は政策をめぐって対立を繰り返し、8月に連立は崩壊。今月5日に五つ星運動と同党と長い間対立してきた中道左派「民主党」との連立政権が成立し、コンテ首相が再任された。
前政権の副首相で、同盟書記長のサルビーニ前内相は、移民を乗せた救助船のイタリアの港への入港をたびたび拒否してきた。コンテ首相は、第2次内閣の発足にあたり、サルビーニ氏の強硬な反移民政策を改めることを約束している。一方で、世論調査によれば、イタリア国民は移民や難民の大量流入を望んではおらず、新政権は難しい対応を迫られており、今回の上陸許可により、移民政策が大きく緩和されることになるのかが注目される。
サルビーニ前内相はツイッターで、「新政権が移民に対し、再び港を開いた」として、「新閣僚らはわが国を憎んでいるに違いない。イタリアは欧州の難民キャンプに逆戻りする」と皮肉を込めた投稿をしている。
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