ニュージーランドのアーダーン首相は13日、銃器の登録制度創設などを含む、銃規制のさらなる強化に向けた新たな法案を議会に提出した。同国では3月、クライストチャーチのモスクで51人が死亡する銃乱射事件が発生し、政府はこれを受けて殺傷能力の高い一部の銃の販売を禁止するなどしていた。今回の措置はこれに続く第2弾の規制となる。
『ロイター通信』『AFP通信』などが報じた。3月15日に発生した同事件は、白人至上主義の容疑者が、クライストチャーチの2カ所のモスク(イスラム教礼拝所)に集まった人々を襲ったもので、平時に起きた銃撃事件としては同国史上最悪の犯罪となった。
本事件で容疑者が武器に用いた半自動式の銃を入手することができたのは、主に1983年に導入されたニュージーランドの銃規制法が緩いことが原因であるとの指摘がなされた。...
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『ロイター通信』『AFP通信』などが報じた。3月15日に発生した同事件は、白人至上主義の容疑者が、クライストチャーチの2カ所のモスク(イスラム教礼拝所)に集まった人々を襲ったもので、平時に起きた銃撃事件としては同国史上最悪の犯罪となった。
本事件で容疑者が武器に用いた半自動式の銃を入手することができたのは、主に1983年に導入されたニュージーランドの銃規制法が緩いことが原因であるとの指摘がなされた。政府はこれを受けて、事件から数週間以内に第1弾の規制強化として、軍用の半自動小銃の販売や使用を禁じ、銃器を政府が買い戻す法案を、議会のほぼ満場一致で可決させた。
事件から半年となるにあたり、今回議会に提出された第2弾の銃規制法案は、既に詳細を公表済みだが、24日に初めて議会に提示される。国内で合法的に保有されるすべての銃器を監視・追跡する登録制度の創設などが盛り込まれており、銃器取引業者や個人の免許の取得や維持に関する規則も強化した。免許のない人物に銃器を供給した場合の刑期を3カ月から2年に延長し、個人の免許の更新期間を10年から5年に短縮するなどしている。
ニュージーランドの人口は500万人弱だが、ある調査によれば、同国内には民間用の保有量としては世界17位となる150万丁の銃器があると見積もられている。アーダーン首相が進める銃規制の取り組みは、国内では野党の国民党やロビー団体などから抵抗を受けているが、規制がなかなか進まない米国などを始め、世界各国から高い評価を得ている。
アーダーン首相は13日、新たな法案に関する声明で、「銃器の所有は、与えられる特権であり、当然ながらの権利ではない。」とした上で、「襲撃事件により、我々に改定権限のある法制の弱さが露呈した。対処しなければ、我々は責任ある政府ではない。」と述べた。
アーダーン首相はまた、事件の影響を受けた人々のメンタルヘルス上のニーズに応じるための予算を増額すると併せて発表した。首相は、事件の犠牲者らへの支援により世界中で称賛されており、平和の国際的象徴となっている。しかし一方で、事件から半年が経過し、法手続の遅さや政府の事件調査の扱い方などをめぐる批判も高まっているという。
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